劇場公開日 2005年7月23日

「興行的に失敗だったっていうからどんなクソ映画かと思ったら」アイランド(2005) alalaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5興行的に失敗だったっていうからどんなクソ映画かと思ったら

2019年12月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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興奮

いや、そんな失敗と言う程か?それとも製作費かけ過ぎて、思ったほど回収できなかっただけ?
確かに金はかかってると一目でわかる映画ですが。もう、最初のシーンで「あ、これある程度金かけてるやつ」とわかりますが。途中からもう、「えっ、これ思った以上に超大作…」と笑ってしまいました。
興行的に大失敗して、スカーレット・ヨハンソンにその責任を押し付けたとまでいうから、B級感ハンパないクソ映画かと思って逆に期待してたんですが、全然でした。超大作でした。金かかってました。ストーリーもちゃんとしてました。そんな「失敗作」とかいって叩かれるほどの映画では全然ないと思います。

内容に特に関係しないネタバレを少々しますと、自分は一番最初にスカーレット・ヨハンソンが、海と交互に映るシーンが一番好きで…
いやー、スカーレットの輝く金髪と、真っ青な海の対比。これが凄く美しい。このシーンのお陰で、開始から数十秒見ただけで「これ全然クソ映画じゃないわ」と気付きました。
風にたなびく布(多分服)が、スカーレットの顔の前に漂い、なかなか顔が見えない。この演出が素晴らしかったです。恐らく、顔が全面出ていたら、人間そちらに目が行ってしまうので、スカーレットの顔を隠したり、目元だけ見せたりすることで、海の青と金髪の美しさが目に焼き付きます。
最初の数十秒、ずっとスカーレットの顔の一部と海だけなんですが、ここだけでも見る価値ありますと言えるくらい(笑)、本当に計算された演出でした。

予告編等は見てないのでどんなふうに宣伝されてたのかわかりませんが、映画サイトなどのあらすじを読んでサスペンスだと思ってた人(ハーイ!)、サスペンスパートはほぼ無いです。
自分は、上に書いた通りスカーレットのWikiを何気なく読んだ際、「興行的に失敗した責任を押し付けられた」と書かれていて、そこから「どんなクソ映画だったんだよw」と興味を持っていたのですが、昨日たまたまGYAO!で無料配信されていたので漸く見ました。
で、見始めた時はその程度の知識しかなく、GYAO!のあらすじには『近未来。大気汚染から守られ、管理の行き届いた安全で快適なコミュニティで暮らすリンカーン。彼やその他の住人にとっての夢は、地上最後の楽園といわれる“アイランド”へ行くこと。そしてその抽選会が毎日のように行なわれていた。だがある日、リンカーンは換気口から入ってきた一匹の蛾を見て、ある疑念を抱く。』と、これしか説明がない(いや、ていうか映画.comのあらすじはネタバレし過ぎじゃない?)。
なので、自分は「は~、そんで自分の暮らす場所に疑問を持って、施設内を探索して悪い事やってるのたまたま見付けちゃってついでに暴くとかそんな感じね~」と雑な理解力で見始めたんですが、サスペンスパートは序盤30分くらいで終わります。笑
CMではどうだったか知りませんが、ゴリゴリのアクション映画でした。サスペンスだと思ってたのに、突然めちゃくちゃ金かかってそうな本格アクションが始まったので「めっちゃ走るやん…」と途中から目が点でした。

期待とは全然違ったけど、面白かった!
この作品、確認したら2時間以上あるんですよね。で、ほとんどがアクションパートなので、実を言うと見ていて途中で結構疲れたなーとか思ってしまう部分もありました。
ただ、それも退屈する間もなく色んな事が起きてハラハラするせいなので、特に嫌だとは思いません。

映画.comで見て初めて知ったんですが、監督かなり有名な人だったんですね。それを知ってて、「こりゃスゲェの来るぞ!!」と期待値上げて見てたらもっと評価は低かったかもしれません。でも、少なくとも☆3~4はつけていたと思います。
ストーリーには突っ込みどころチラホラありますが、何しろ演出やカメラワークが良く、迫力がありました。これ映画館で観てたら凄かったんだろうなぁ。逆に、おうちで何かやりながらタラタラ見てると、あまり面白くないかも。
ストーリーはアメリカ映画のまさに王道という感じで、確かに驚きも意外性もなく、かといって泣けるシーンがあるわけでもなく、この辺は物足りない人も多いかも。単にアクションに全振りの映画が撮りたかったんですかね?という印象。主人公たちの苦悩みたいな、こういった内容の映画にありがちな感情に訴えるシーンも少なく、本当にアクション映画撮りたい発作が抑えられなくて作ったくらいの、無駄を削ぎ落としに落としまくったゴリゴリアクションです。
ただ、定番のアメリカ映画を見たい人には、どの方向にも外さないと言って良いほど本当に「王道」。
ちょっとだけエッチなシーンがありますが、これも恥ずかしくなるほどダラダラ続くわけでもないため、割と誰にでもお勧めできます。

一昨日『俺たち喧嘩スケーター』を見たばかりで、こちらも期待を遥かに超えて良かったので「アイランドがクソ映画過ぎて落差が凄かったらどうしよう、最後まで見られないかも…」とか思っていたんですが、2時間以上もあるのにバッチリ最後まで楽しみました。良かった。
珍しくネタバレなしのレビュー。ネタバレなしでこれだけ長く書けるってのも凄いな。文章まとめる才能ゼロ。笑

alala