ヘルボーイ(2004) : 映画評論・批評
2004年10月1日更新
2004年10月1日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にてロードショー
めちゃくちゃに可愛い地獄からの使者
可愛いだけじゃダメかしら? その答えは普通「ダメ」である。しかし、可愛らしさが愛に裏付けされていたら? もちろん、答えは変わってくる。
それは「ヘルボーイ」を見ればいい。赤い皮膚に覆われた巨体、額にはふたつの角の跡、やじるし型の尻尾があり、右腕は石。そのタイトル通り地獄からの使者であるヘルボーイは、しかし、この映画のなかではめちゃくちゃに可愛い。自分を育ててくれた養父を敬愛し、ファイヤースターターのリズに一途な愛を注ぐ。「これ以上醜くならない、そして君にずっと変わらぬ愛を誓う」なんて純情な言葉を彼女に告げるんだからたまらない。
その一方で彼は、怖れることなく悪と対峙する。仕事の時はあくまでクールかつコワモテに、愛には少年のように純真に。この落差も彼のキャラクターをより豊かに彩っている。彼がこうも変身したのは、監督デル・トロの愛のなせるワザ。「ヘルボーイ」の映画化を実現するため7年近くも奔走しまくり、その熱い想いを込めて、誰もが夢中になる魅力的なキャラクターに変えたのである。やっぱ愛はすべてを変えるんだよ、うん。早く続編が見たい!
(渡辺麻紀)