ハリー・ポッターと炎のゴブレット : インタビュー

2005年11月22日更新

いよいよシリーズも4作目となり、折り返し地点に到達した「ハリー・ポッター」。最新作「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」の公開も間近に迫った11月18日には、キャスト、スタッフご一行が来日。eiga.comでは、監督とプロデューサーに話を聞いた。(聞き手:編集部)

マイク・ニューウェル監督インタビュー
「これは挑戦に値する、とても大きなチャンスだった」

多彩なジャンルを扱えるのも起用理由のひとつ
多彩なジャンルを扱えるのも起用理由のひとつ

クリス・コロンバスが監督した「賢者の石」「秘密の部屋」、アルフォンソ・キュアロンが手がけた「アズカバンの囚人」に続き、シリーズ最新作となる「炎のゴブレット」でメガホンを引き継いだのは、「フォー・ウェディング」「フェイク」で知られるマイク・ニューウェル。シリーズ初のイギリス人監督であり、ニューウェル監督はホグワーツのような寄宿学校で育ったということも起用のポイントだったと言われている。

「劇中、ハリーとロンが勉強しながら舞踏会に誰と行くかと相談しているところで、先生に隠れてメモを回しているが、スネイプ先生に見つかって容赦なく頭をはたかれる。あれは私の学生時代によくあった思い出なんだ(笑)。今だったら児童虐待だと言われてしまうかもしれないけど、昔は当たり前のことだったよ」

そんな英国人らしいユーモアを出しながらも、かつ、これまでの監督や作品との違いとして、また原作に負けない魅力をもたせるためにニューウェル監督が意識したことは「リアルさの追求」だと言う。

「劇中に登場するドラゴンやマーピープル(水中人)は実在しないが、もし彼らが本当に存在したら、どのような形でどのような動きをするか、そして彼らを見たハリーたちがどのような反応を示すかを考えた。空想の生物が出てきても、それを見た人物のリアクションや感情がリアルでなければならないし、そうであって初めて観客は登場人物や物語にも共感を持てる。ただのファンタジーには絶対にしたくなかったんだ」

リアルさを追求して描かれたドラゴンは迫力満点
リアルさを追求して描かれたドラゴンは迫力満点

また、スケール感を演出するために用いられたのは、ロングショットや広角で捉えたダイナミックな映像だ。

「この物語はいわゆる大河ドラマだし、今回の3大魔法学校対校試合の3つの試練は、とても過酷なものだ。いかに今回ハリーが直面する問題や試練が大きなものであるかというスケール感を出すために、そのようなショットが必要だったんだ」

本作では子供たちも成長し、複雑な感情が入り混じった人間ドラマも深い。しかし、一方で進めなくてはいけないイベントやストーリーも盛りだくさんだ。

スケール感を出すための画作りが随所に
スケール感を出すための画作りが随所に

「女性記者リータ・スキーターやダンブルドア校長について、ハグリッドとマダム・マクシームの恋物語なんかも、もっと深く掘り下げたかったけれど、残念ながら時間がなかったと言えるね。今回は、レイフ・ファインズ演じるヴォルデモート卿の復活への陰謀をひとつの核として、それと関連しないものはなるべく削ったよ。そうしないと、あまりに内容が多すぎて、その重さに作品自体が耐え切れなくなってしまうからね」

そうして出来あがった「炎のゴブレット」だが、実はベテランのニューウェル監督にしても、本作を手がける前は「とてもナーバスになった」と言う。

監督の苦労は報われた?
監督の苦労は報われた?

「最初はとても脅威に感じたよ。巨大なスケール感、シリーズの4作目であるということ、やるべきことはやりつくされて新しいものがないという現実……。また、私は特撮のことも詳しくなかったからね」

しかし、これらの要素は同時にニューウェル監督にとって魅力的な挑戦でもあった。

「とても大きなチャンスで、同時にそれは挑戦するに値するものだった。頑張ればいい結果が出せると思ったし、今となってはやってよかったと思っているよ。結果として特撮についても多くのことを学べたしね」

インタビュー2 ~デビッド・ヘイマン プロデューサー インタビュー
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