「社会や日常や心の奥底に潜む怪物性」グエムル 漢江の怪物 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
社会や日常や心の奥底に潜む怪物性
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「パラサイト」を見て、改めて本作に舞い戻ると、ポン・ジュノ監督作としてはここで初めて「家族」というテーマが前面に取り上げられていることに気づく。「ほえる犬」では夫婦生活が描かれ、「殺人の追憶」ではラストで一瞬、家族の朝食風景が描かれるのみ。三作目となる飛躍作で、過去の常連や主役級を招集しチーム戦に挑んだことで、「個」と「集団」がダイナミックかつ複合的に融合した傑作が誕生した。
気になるのは、どんな時も惰眠をむさぼる主人公と、同様に眠る姿の印象的なグエムルがどこか比較されているように思えるところ。返り血を浴びたことによる共振関係も示唆されつつ、ラストでは川岸に怪物が潜んでやしないかと主人公が闇を凝視する姿も描かれる。似たような場面は「殺人の追憶」のラストでも。得体の知れない怪物性はポン・ジュノ作品の永遠のテーマだ。それは社会や心の奥底に潜み、ふと気を緩めると、闇の向こうから這い出てくる。
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