「彼が天才である必要はなかった」グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち abuさんの映画レビュー(感想・評価)
彼が天才である必要はなかった
常人離れした頭脳で活躍する天才は他にもいる。
「プリズン・ブレイク」のマイケル・スコフィールドや、「スーツ」のマイク・ロスのように、彼らは圧倒的な頭脳で困難を次々と打開し、観る者を爽快な気持ちにさせてくれます。
けれど本作は、同じように天才の若者が主人公でありながら、問題をスマートに解決していく物語ではありません。
彼が生きていくために身につけざるを得なかった“鎧”を、少しずつ脱いでいく過程が丁寧に描かれています。
その鎧は、大人たちが彼に着せてしまったもの。だからこそ、脱がせてあげるのもまた大人の役目。
この物語の本質は、“天才”という設定そのものではなく、人生の一歩を踏み出そうとする若者に対して、大人がほんの少し手を差し伸べる——その温かさにあると思います。
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