「ひとりの青年が回復し成長する様をシンプルに描いた、心温まる一本。」グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
ひとりの青年が回復し成長する様をシンプルに描いた、心温まる一本。
天才的な頭脳を持ちながら、過去のトラウマから心を閉ざし非行に走る青年ウィルが、同じく心に傷を抱える心理学者ショーンと出会うことで人間的に回復し成長する姿を描くヒューマンドラマ。
監督は『ドラッグストア・カウボーイ』『マイ・プライベート・アイダホ』のガス・ヴァン・サント。
主人公ウィルを演じるのは『戦火の勇気』『レインメイカー』の名優マット・デイモン。
ウィルの親友チャッキーを演じるのは、『バッド・チューニング』『チェイシング・エイミー』のベン・アフレック。
友人の1人モーガンを『誘う女』『チェイシング・エイミー』の、ベン・アフレックの弟であり後のオスカー俳優ケイシー・アフレックが演じる。
心理学者ショーンを演じるのは『ミセス・ダウト』『ジュマンジ』のロビン・ウィリアムズ。本作でオスカーを獲得。
元は学生時代のマット・デイモンが授業の為に執筆した戯曲であり、それを幼なじみの友人ベン・アフレックに見せたところ、2人で映画用の脚本として作り直すことになった。
第70回アカデミー賞において、脚本賞(デイモン&ベン・アフレック)と助演男優賞(ロビン・ウィリアムズ)を受賞。
第55回ゴールデングローブ賞において脚本賞を受賞。
第3回放送映画批評家協会賞において、オリジナル脚本賞を受賞。
大きな事件が起こるわけでもなく、1人の青年の日常を淡々と描いていく作品。
地味なテイストの作品だが、ウィルの心情が変化する様が丁寧に描かれているため、物語に引き込まれていく。
繊細な青年ウィルを演じたマット・デイモンの演技が素晴らしい。
アカデミー賞を獲得したロビン・ウィリアムズの演技も良い。
心に傷を負った男性を陰のある演技で表現しているうえ、コメディアンとしての資質を活かした笑えるシーンも健在である。
アカデミー賞をはじめとして、数々の賞を受賞した脚本を書いたのは無名時代のマット・デイモン。ヒロインがハーバード大学に在籍しているのは本人もハーバード大出身だからだろう。
ベン・アフレックとマット・デイモンは少年時代からの親友らしいが、その2人がハリウッドの第一線で未だに活躍しているというのは、よく考えると凄い。
非常に良くできている映画なので、特にケチを付けるところもないのだが、少々自分と映画との間に距離を感じてしまうのは、主人公があまりにも天才すぎるからかも。
数学の天才というだけでも物凄く濃いキャラ付けなのに、歴史や芸術にも精通しているという天才の中の天才。
その為、アメリカ中の大企業や国防総省の情報機関NSAからオファーがくる。
ウィルがあまりにも現実離れしすぎた天才の為、凡人の自分にはちょっと感情移入しづらいと感じてしまった。
あと、ウィルの周りにいる人たち。教授や友人や恋人、みんないい人すぎ。
ウィル、お前十分恵まれてるじゃねえか!!とか思ったりして。
むしろ自分はショーンというキャラクターに惹かれた。
妻を失った悲しみを癒すことができていない中年心理学者。
彼がウィルをカウンセリングしていくうちに、彼自身も癒されていくという設定は非常に良いと思う。
…が、ウィルに対してショーンの描写が極端に少ない為、ショーンが回復していく過程が分かりづらかったのはちょっと勿体ないな、と感じてしまった。
もっとウィルとショーンの心の交流を全面的に描いてもよかったのかも。
クライマックスシーンは確かに感動的なのだが、ちょっと待てっ!
友人たちはウィルの就職祝いとして車をプレゼントしたのに、結局ウィルは旅に出てしまってますけど?しかも親友のチャッキーにも何も言わずに。
そりゃ、あの友人達ならウィルが就職しなくても文句言わないだろうけどさ、なんか違和感ありますよねぇ。
とまぁ、何点かケチをつけてしまいましたが、基本的には良く出来た作品で、誰にでもお勧めしやすいタイプの映画かな。
ハリウッド的ではない、地に足が着いた上品な映画。名優達の若い姿を見ることができる良作です。
こんばんは🌸
コメントいただきましてありがとうございました😊
日々精進
耳の痛いお言葉を拝聴させていただきまして、あっ、たなかなかなかさんのことであって私は無関係と気づき、胸を撫で下ろした次第です。 フゥ〜
レビューの内容だけでなく誠意を持ってきちんと対応されておられるのも好感が持てますね。
『若草物語』の事で、エイミー役の俳優さんのお顔の美醜というより、性格が出ているなと感じたのです。もちろん見た目では分かりませんが、そう感じたのです。ジョーが結婚する方のお名前ベア先生でした。たなかなかなかさんに教えていただいてた上に画面にも出ていたのにずっと間違ってました。
こんばんは、😊
やっぱり文章上手いです。
詳しくしっかり書いておられますね。
それと、以前にも書いてしまいましたが、本レビューもちょっと後回しにして拝読させていただきましたが、全作品のレビューにポリシーを持っておられて手抜き(言葉悪くてすみません)せずに取り組まれておられる姿勢は、誠実さを感じます。
私もショーン教授と話がしたい一人です。
話は変わりますが、やはり、
『若草物語』お薦めです。
ウィノナ•ライダー綺麗!
ローリー役のクリスチャン•ベール、ハンサム。ジョーとローリー役は、誰もが美男美女と言える人選。
『ストーリー•オブ•マイライフ』より四人姉妹がしっくりしていたように思います。エイミー役の俳優さんはなぜ二つの作品とも、(私には)一癖あるような顔の方なのかとつくづく思いました。ジョーは両方とも女神様の美しさなのに。こっちのメグ役のエマ•ワトソン、ぱっとしませんでしたね。と、勝手な事で。
こんばんは!
共感ありがとうございました。
ウィルはカウンセラーのショーンに寄り添えるほどにはまだ熟成はしていない。
天才だけどまだその成長は幼児的。でもやっと自分のやりたかったことが分かってチャッキーやショーンの見送りのもと出発する。
・・そういうことでしたね。
忘れてもらうために存在を隠し、フェードアウトするのがカウンセラーの務めですから、ショーンに尺を費やさなかったのはある意味仕方ないことかも。
でもそんなショーンを たなかなかなかさんはじっと見つめておられたんですねー。