チャーリーズ・エンジェル フルスロットル : 映画評論・批評
2003年7月1日更新
2003年6月28日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー
3人娘の自然体ヒロイン像に元気をもらえるのだ
設定の説明が不要な続編で、題名通りオープニングからアクセル全開のフルスロットル。アクション、ダンス、コスプレ、お色気、お笑いと、すべてが前作をはるかに凌ぐ快作だ。
しかも、映画のパロディ&オマージュにあふれ、映画ファンにはこたえられない。例えば冒頭のモンゴルでのシークエンス。猛者たちが集う酒場にナタリーが入ってくるところは「レイダース/失われたアーク」で、彼女がロデオ・マシーンにまたがるのは「アーバン・カウボーイ」といった具合。殺される政府要人に扮したブルース・ウィリスほか、カメオ出演も多く、見るたびに発見がある。
しかし、最大の魅力は、なんといっても3人娘が体現するユニークなヒロイン像だ。名誉や他人の評価には興味なし。友情を支えに、スリルと冒険と達成感を求めて突っ走るが、恋もダンスも大好きで、どこまでも自然体。
男性は、3人が男なら嫌みに感じてしまうが、セクシーな女性ゆえに、いつしか少年の心を思い出す。一方、女性は、社会に出ても肩肘はらずに自分らしく生きればいいと癒される。対する敵が、男に負けじと野心に憑かれた有能な女性という仕掛けも現代的で嫌みがなく、男女を問わず、元気をもらえるのだ。
(山口直樹)