エクソシスト ディレクターズ・カット版のレビュー・感想・評価
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“今や「マスト!」と言われ続けていることに違和感!…”な映画
この作品の公開当時はまだ子どもでしたが(もちろん観に行けませんでしたが)、すごく話題になっていたのを覚えています。予告編もテレビでやっていたのを観た記憶がなんとなくありますが、あの“180度1回転”の映像まで見せていたのかどうかはハッキリとは覚えていません。恐らくこの作品を初めて観たのはテレビが初めてだったと思いますが、公開からどれだけ経っていたのか?…超自然的なものがよく分からず、神父までなぜ死んでしまったのかよく分からず、モヤモヤした記憶があります。しかし、多くの人がそうだったように、悪魔に取り憑かれたリンダ・ブレアーが凄すぎて…細かいストーリー展開とか全然気にならなかった…(当時、個人的に圧倒的に怖かったのは、クリストファー・リー演じるドラキュラだったが、この作品は予告編からしてなんか“リアル”だった笑)。
で、今やこの作品…全ホラー作品の中でもかなり評価の高いものになってるんですが、個人的にはちょっと違和感ありです。この手の作品は、長い間結構ゲテモノ扱いで、あまりまともな評価なんてされて来なかったと思うんですよね。
公開当時は、世界的に超能力ブームで心霊写真なんてのも流行っていて(ネッシーも!)、テレビと雑誌と新聞ぐらいしか情報源のなかった時代、もしかしたらオバケとか未知の生物や“あの世”なんてものが存在するかも知れない…なんて、今よりももっと信じられていた時代だったと思います(マスコミに煽られるがままです笑)。世間的にも、爆弾テロにハイジャック、銀行強盗、誘拐事件、公害や薬害事件などなど、不安で不穏な出来事がもっと多かった…。
そんな時代にこそ嵌(はま)った作品だったと思います。みんなの怖いもの見たさに見事に嵌ったなぁと…(その後の『オーメン』の首チョンパも話題になりました)。
元々映画作品としての質が高かったから、この作品は生き残ったのでしょう。しかし、あの時代の不穏な空気感があったからこそ、一層記憶に残るものとなったと思います。
「兆しの恐怖」を味わう映画だったのか
「午前十時の映画祭」で鑑賞。
有名な作品なので内容はなんとなく知っていたけれど、まさかアザーン(イスラム教における祈りの時間を知らせる呼びかけ)から物語が始まるとは意外でした。
時間をかけてじわじわと観客を追いつめていく手法と手腕はさすがだと思いました。
けれども、「怖さ」ということで言えば、それほど怖くなかったです。
不気味だけど、怖くない。
汚物を吐くところなんかでは、笑ってしまいました。
たしかに面白く、見応えじゅうぶんでしたが、前半、人物の関係が少々わかりにくかった。それから全体を通して見たストーリーの繋がりにもわかりにくいところがありました。もう一度ていねいに鑑賞すれば、それらのもやもやがスッキリするのかもしれないですね。
――と、こんなふうに映画の感想を書き終えてから、ほかの方のレビューを読んでハッとさせられました。
僕はリーガンのシーンに着目しすぎていたようです。本作は「兆しの恐怖」を味わう映画だったのですね。そこのところの意識が足りませんでした。
相変わらず自分のものの見方は浅いな、と今回も反省です。
事実は闇の中、今も封印されている
イラクの地面を掘ると建造物の痕跡が出てくるという映像が好きで、そのまま最後まで観てしまいました。
建造物にばかり目が行く序盤、そして時々サブリミナルで顔を映し出し、録音したテープを逆再生したら聞き取れたエピソードや、聖水ではなく水道水なのに効き目があるという描写など、興味が尽きない内容でした。
医者の無力さにガッカリする母親クリス他、出演者たちの演技がすばらしかったです。
階段をブリッジ(スパイダーウォーク)しながら駆け下りる12歳の少女の映像が、特に印象に残りました。
世界にオカルトブームを巻き起こした名作!
ホラーベスト5にも入れている名作映画です。しかし、当時子供の頃にはこの映画を観た時は、オカルトという映画にトラウマを感じた作品ともなりました…。
懐かしく当時を振り返ると、最初の上映時はまだ産まれていない時代でしたので、たしか中学の頃くらいにに今では懐かしいビデオテープをレンタルして観た記憶があります。その後に本作のディレクターズカット版が映画館で上映するということで観に行きました。が、怖い怖すぎる。何度観ても怖いのです。前述したように衝撃の映像のオンパレードで途中で映画館を抜けたい気持ちになるほど…。もぅ涙目です。。。
ですが、この映画への感想があるときから変化していきました。割といい大人になりホラー映画にも耐性が付いてきた時に、改めて鑑賞したのですが、単純に怖いだけのホラー映画と語れない感じるものがあったのです。
少女救うため命を張る神父達と母親の姿。少女を助けることが出来ない自分達の力に苦悩しながらも自らの力を信じ戦い続けます。母親からしてどうしようもない少女を命を懸けて救おうとしている神父たちがどれほど心強かったことでしょう。しかし少女にとり憑いた悪魔は、あざ笑うかのように悪態をさらけ出し続ける…。ほんと憎たらしいしいのです。
そして…神父の悲しい結末…もう何とも言えません…
監督はこの映画をホラー映画と単純に片付けて欲しくないといいます。恐怖に克服して映画の本質を知ることができた今はそのメッセージが伝わりました。怖いものに命を懸けて立ち向かう人達の姿、少女に関わる周りの人達の苦悩の日々を描くことで、人間ドラマの一面を持っているのです。まさしく本作が特別に高い評価をされる所以ではないでしょうか。
伝説のカルト映画と言われるのには訳がある気がします。
日本にオカルトブームを巻き起こした衝撃作。 原作兼脚本のウィリアム・ピーター・ブラッティと監督のウィリアム・フリードキン執念の完全版!
午前十時の映画祭13にて。
この“ディレクターズ・カット版”の公開は2000年とのことだが、私は勤務先の後輩と劇場に行った記憶がある。
リンダ・ブレアが演じる少女リーガンのブリッジ背面歩行(スパイダーウォーク)が追加されたことが、宣伝のポイントだった気がする。
遡って、オリジナル版が日本で公開された1974年は私は小学生で劇場には入れず、初鑑賞はテレビの洋画番組だった。(※)
悪魔祓いの場面は案外短く、病院での検査が延々と映し出される。オリジナル版ではカットされていた初期の検査シーンも復活しているから尚更だ。
もっぱら恐怖映画の代表作に位置付けられている本作だが、難病と闘う人間ドラマだとも言える。
少女リーガンを襲う症状は尋常ではなく、医学的な解明ができない。途方に暮れた医師団が悪魔祓いを奨めるという驚きの展開に、母親(エレン・バースティン)は当然激昂する。優秀な医師たちが雁首そろえて出した答えがそれか…と。
しかし、科学者(医師)たちが非科学的な方法に頼ったわけではなく、悪魔を追いはらったという暗示の効果を期待した苦肉の策だというのが、あり得ないがリアルだ。
ここでは母親の悲嘆と怒り、医師団の無力感が描写されている。
母親は有名な女優。裕福で交友範囲も広いが、娘をめぐって別れた夫との言い争いが継続している。
医師団の提案を拒絶したものの、その後の娘の症状の異様さから悪魔憑きだと確信する。
カラス神父(ジェイソン・ミラー)は、教会の資金援助で医師の資格を得ているが、神父として多額の報酬を得ることはできず、遠く離れて暮らす年老いた母親のケアができない。教会と私生活との板挟みで、信仰心に揺らぎが見られる。
医師でもあるので当初は悪魔祓いに否定的だった。
メリン神父(マックス・フォン・シドー)は、悪魔祓いに精通しているベテランで、参加していた発掘調査の現場で発見した悪魔の像が恐怖の予兆だと直感していた。
深刻な心臓の病気を抱えている。
少々ひねった見方をしてみると、こうだ…。
この映画の結末は、カラス神父が悪魔を自分に呼び込んで自分もろとも葬ったのか、悪魔がカラス神父に乗り移って彼を殺したのか、どちらにも解釈できる余地を残している。
が、そもそも悪魔はいなかったと解釈できる余地も残していると言えないか。
母親やカラス神父が悪魔の仕業だと確信するほど、リーガンの症状には超自然の作用が見えるし、ポルターガイスト現象なども起きている。
たが、リーガンが知らないはずの事実を喋ったり、知らない卑猥な言葉や不明な言語を発したのには苦しいながらも説明がついていた。
ベッドが触れたり身体が宙に浮いたりする現象は、ダイアー神父(ウィリアム・オマリー)やキンダーマン警部補(リー・J・コッブ)の目の前で起きたわけではない。
病院の検査で医師に対して男の声で罵ったり、同居の使用人が目撃したりはしているが。
つまり、リーガンは原因不明の精神疾患から身体に異常が出ているが、超自然的な現象は心に闇を抱えた者だけが見た幻覚だったのではないか。
リーガンが回復したのは、医師団が期待した暗示効果によるものだったのだ。
さぁ、どうでしょ!
多くの人が指摘しているが、カラス神父がリーガンの言葉を録音したテープを聴く施設に「TASUKETE!」と書かれた貼り紙がある。このあと、リーガンの腹部に「HELP」という文字が浮き上がってくる場面に続くので、どういう意図なのかと話題になった。だが、その部屋には明らかに日本の文字(を模した)の「?うより慎れよ」という意味不明の貼り紙もある。
映像に怪奇現象が映り込んでいるという噂もあったが、フリードキン監督がサブリミナル効果を狙って細かいカットを挿入したりしている。
日本語の貼り紙もフリードキンの遊びなのだろう。東映ヤクザ映画のファンだったらしいので。
※私の記憶が確かなら……
オリジナル版の公開時はかなりの話題だった。アメリカでは原作小説がベストセラーで、映画化された本作もヒットしていたから配給側の期待は高かっただろう。かなりのパブリシティが展開されていたと思う。当時の小学生にとってはテレビが最大の情報源だったから、テレビで頻繁にとりあげられていたのだと思う。
ところが、私の郷里では12歳以下入場禁止のローカル・レーティングが適用され、劇場で見ることが叶わなかった。非常にガッカリしたのを覚えている。観に行った母親から感想を聞いたことを覚えている。
テレビ放映は、調べてみるとTBSの1980年が最初らしい。ということは、荻昌弘氏が解説する月曜ロードショーだろうが、意外と遅かったのだ。このテレビ放映も注目を集めていて、学校でも話題になっていた。思えば高校卒業目前だったのだが、これも記憶では中学生くらいだった気がするのはなぜだろうか。
1980年といえば、かの『13日の金曜日』が発表された年だ。オカルトブームは映画から離れてサブカルチャーのジャンルの一つになっていて、映画界は間もなく空前のスプラッターブームを迎えるのだった。
数十年ぶりの鑑賞でこのバージョンは初めて
映画監督役のジャック・マッゴーランやカラス神父の母親を演じたバシリキ・マリアロスが公開直前に死亡。他全員で関係者9人が死亡し、さらには死者こそ出なかったが、火事でセットが全焼し事態を重く見たワーナー・ブラザースがセットを作り直したときに悪魔祓いの儀式をすることを提案したという呪われた映画。
悪魔の声を演じたマーセデス・マッケンブリッジはハスキーボイスが魅力の個性派のアメリカの女優。
闇の中からじっと覗いている
オジサン涙目でした。オリジナルは子供の頃にTV放映で観たかな?位な感じ。それでも、超が付くメジャータイトルなので知ってるつもりが満ち満ちでしたが、全く印象の違う作品でした。どうやら色んなものが脳内合成されていたのだろう…笑。
思いの外本題に入るのを出し渋ってる展開でしたが、母親と娘ちゃんと神父&神父其々が心の闇に抱えてるモノをボンヤリと見せてくれたので、後半に至る頃には完全に世界の中に閉じ込められた感覚に陥っておりました。ひたすら淡々としているのに、要所要所でめっちゃ怖い。監督が"怖すぎるからダメ!ぜったい"と言っていたのが分かる「ディレクターズカット版」になっておりました。フリードキンおそるべし。
70年代は作りが超丁寧
終活のため午前10時の映画祭鑑賞。
出だしのイラク発掘現場も怪しい感満載。
リーガンが徐々におかしくなっていくのと
カラス神父がオカンの死でトラウマになるのが
並行して映し出され
当時の最新病院機器での検査風景(現代はもっと痛くないよね)
が入り込んでくる。
で、いよいよ悪魔的所業開始。
バックドロップしながら階段を下ったり
クビが回るし、おしっこ漏らすし、ゲロ吐くし
リーガンのオカンをひっぱたくし
(このシーン迫力出すためにピアノ線をエレンバースティンに
くくりつけ、監督のフリードキンは操演者に死ぬ気で
あの女を引っ張れ、と指示。
絶叫とその後の痛そうな芝居はマジだったわけです)
そういったショッキングな描写と対照的に
医者に卑猥な言葉を浴びせる
カラス神父オカンの病院行きと死
謎を呼ぶ殺人事件
などは具体的表現を避けセリフだけで終わらせメリハリをつける。
ここまであらためて観ても息をつく暇がなく
メリン神父登場は残り試合30分(ここまで100分かかった)
悪魔付きリーガンのアップだけでいよいよ決戦!を盛り上げる。
テーマ曲チューブラーベルズはこれぞ映画のテーマ曲
といえる決定版。(映画のためのオリジナルではないが)
ディレクターカット版は2000年にも見たが
初回上映1973年からちょうど50年
拙も年をとったもんです。
100点
京都シネマ 20230925
名作!!僕には程よい「怖さ」だった。
僕はホラー映画は好きではない(夢に出てくると嫌だから)ので滅多に観ないのだが、何故だか今回は気が向いて劇場に足を運んだ。
映画に出てくる呪われた少女は基本ベッドにくくりつけられて動けないので、人間に対してそんなに積極的に悪さはしない(少女がするのは家具を揺らしたり、緑色の液体を吐きかけたりするくらい)ので、ゾンビやジェイソン、チャッキーに追い詰められるような怖さは無かった。
(どちらかといえば、病院で色んな器具を使って少女を検査をするシーンの方が怖かった)
とはいえ、それでもこの映画が上映された当時、この映画を観た人が感じた恐怖の大きさは想像できる。音楽も特撮も呪われた女の子の演技も凄かったから。
ちなみにこの映画を観る前は(過去に1度くらいは観たことあるかな)と思っていたけど、今回が全くの初見だった。どうやら「ポルターガイスト」を観た記憶と混同していたようだった。
エ・ク・ソ・シ・ス・ト〜
先月、鬼籍に入ったウィリアム・フリードキンの代表作の一つ、劇場初鑑賞
昔、テレビで楳図かずおが首を回しながら「エクソシスト〜」と叫んでいたシーンを思い出す
散々、テレビ等でネタにされたシーンが出るたびに、「よッ!待ってました〜」と心の中で叫ぶ
例の有名なテーマ音楽も1~2回しか流れず、ラストクレジットで全編流れるのも最高
こういう子役映画は、子役のその後を調べるのも一興である
元祖にしてリアルで怖い
悪霊系ホラーの元祖なのかな?
元祖はその後の作品に影響を与えたという点で評価されて、今見ると古臭いチープって印象を与えがちだが、今作は全くそんなことない。むしろめっちゃ怖いし、娘のリーガンがどんどん悪化していくのは普通に同情しちゃった。
外因→内因→心因と医学の力を頼るも全く効果がなく、フラストレーションが溜まる中、やっとのエクソシストの登場で期待値が高まる良い展開だと思った。
ひたすら気持ち悪かった
エソシスト(73)に15分間の未公開シーンを追加したディレクターズ・カット版との事。
一人娘リーガンと暮らす女優・クリスの家では屋根裏から不気味な音が聞こえたが原因がわからなかった。そのうち、リーガンが奇妙な行動をとるようになった。ベッドが激しく揺れだし、リーガンの部屋だけが異常に寒いなど謎の現象も起こるようになった。クリスが友人達を家に招待してる時に、リーガンが、客に汚い言葉を吐き、立ったまま放尿した。リーガンを病院で検査しても原因がわからず、そのうち、自傷行為を起こしたり、激しく揺れるベッド、そこから浮かび上がったりと、怪奇現象が起きた。悪霊に取り憑かれたリーガンはどうなる、という話。
50年前の有名な作品だが、観たことあるかどうかもうろ覚えで、ほぼ初観賞同様の状態で観た。
感想は、とにかく気持ち悪かった。黄緑の汚物を吐くのが気持ち悪く、リーガンの顔つきが気持ち悪く、リンダブレアの怪演に尽きる。
数々の気持ち悪い作品を観てきたが、50年前のこの作品は今でも気持ち悪さは一級品だと思う。
そういう意味でも名作なんだろうと思う。
悪魔払い映画の基本
午前十時の映画祭13、にて観賞。
『エクソシスト』は、これで3~4回目ぐらいですが、
前観たのは、通常版かディレクターズカットか覚えておらず、もしかしたらディレクターズカットは今回が初めてかも?
通常版より12分長く、ブリッジしながら階段を降りてくる有名なシーンは、ディレクターズカットでしか観れないそう。
これから観るなら、ぜひディレクターズカットで。
久々に観たけど、やっぱ名作。
これを観ずして映画ファンは名乗れない。
悪魔払い映画の基本であり、ホラー映画の基本でもあります。
ぜひ観て下さい。
やっぱり傑作。
やっぱりお話も映像も音楽も全てが傑作。オカルト映画の金字塔だよなー。今回も4K上映リバイバルで展開も知っているけど魅せられる。当時はリンダブレアーとか色もん的に思ってたけど改めてみるとすごいな。メリン神父が夜霧に佇むシーンとかをポスターとかのメインビジュアルにしたのも美しすぎる。
私には「ミーガン」が限界かな。
有名作品で、大まかな筋と一部の映像は知っているけど、見るのはずっと敬遠していた「エクソシスト」。レビュー表題の通りです。怖かった。一人で見に行って後悔しました。
イラクで撮られたであろう最初の場面がずっと気になった。今作品とイラクの関係(あの場面の必要性も)がよくわからないままだが、この映画を撮影していた頃は普通に入国し撮影できたのかなあ。この映画の本質とまったく無関係に、イラクの近現代の歴史が気になった。
主人公は博多大吉さんがもう少し歳をとって、悲しくなったような顔の人だった。
劇場公開時、前代未聞の2日前公開延期の謎と共に忘れ得ぬ映画
今回20数年ぶりに劇場での再鑑賞を果たしたので、改めて感じたことを追加して書き残しておきたいと思います。
最初の制作公開が70年代中期であったこの作品に関しては、恐怖描写やショッキングシーンなどに関しては当然、以降の後発のフォロワー作品にインパクト的には既に凌駕されているであろうし、この作品自体が同系統の先駆的・伝説的作品だったとしても、このジャンルにおいて、現時点で抜きん出て強い衝撃を残すような事は、もはや難しいだろうと思われます。
しかし今になって再鑑賞してみると、むしろ逆にそうしたホラー作品的ショッキング描写に極端に目を奪われるということが抑えられて、映画をストーリー的に客観的な目で見ることができるようになった事により、改めてこの作品の出演者とその演技、それぞれのキャラクターの個性に関して、実によく描かれていることに気付かされ、深い感銘と、作品からの感動を受けました。
それと、この作品の“主演(主人公)”に関しては、次作『2』の主演がマックス・フォン・シドー氏になっているため、以降の印象、存在感が薄れてしまった感がありますが(第3作目も追加撮影で再登場となった)、明らかに、主演はジェイソン・ミラー氏であることに間違いないと思いました。
この映画の“主人公”は若き悩める神父であり、結果としてこの事件に巻き込まれた事により、“悪魔”という存在を通し、また、その実在を突き付けられた事により、己の信仰心が揺いで疑念を抱くようになっていた自分自身とも対自する事で、自身の(神への)信仰の迷いについてを突き付けられ試されるかの状況のうちに、クライマックスを迎える。
ある意味「悪魔の存在を、実在を認めた」ことによって、「神の存在を改めて強く実感する」と言う皮肉な結末である話とも取れるが、終盤の2人の神父による「神に使える者」との確信の元に壮絶な闘いを挑むその姿には、正直、信仰心等を超越して、感動を覚えずにはいられませんでした。
現在、改めてこの作品が50年近くを経過した今も、それでも色あせる事はないと言う事に関して、それはひとえに人間ドラマとしての基礎の部分をフリードキン監督が如何に重視していたか、に他ならないと思います。
フリードキン監督による演出(脅迫?)が、このような現実離れしたストーリーにも関わらず、出演者たちから生々しい人間ドラマの迫力を引き出している事は間違いないでしょう。
そしてまた、今回気づかされたのは、“悪魔”という存在が中心となって、それまではお互いに何らの接点も無かった、それぞれが自身の苦悩やバックボーンを持った人々の運命が、そこで交錯すると言うストーリーの展開の仕方についてでした。
ある意味この手法は、今作の次回作であった『恐怖の報酬(Sorcerer)』(121分版)についても同様に活かされていると解釈しています。
ニトロトラックを軸にして、やはり「それまではお互いに何らの接点も無かった、それぞれが自身の苦悩やバックボーンを持った人々の運命が、そこで交錯する」。
そして、全体のパートが前半の導入部と、後半のクライマックスへと向かう部分とに分けられる印象なども。
これが日本公開短縮版だった『Wages of Fear』では、回想処理にして短縮で嵌め込まれてしまい、完全に台無しにされてしまいました。
これではもはや、フリードキン作品とは言いがたい、単なるアクション・サスペンス作品に成り果ててしまったのは言うまでもないです。
このフリードキン監督の手法について、更に踏み込んで言うなら、やはりそのような展開の原典は「七人の侍」にあるのではないかと。
以下は、DC版初公開時の所感等です。
2000年10月7日日本での公開が決定されていた本作は、既にアメリカでは9月22日から公開が開始されていたにも関わらず公開数日前になって突然にワーナーから公開延期が発表され、前売り券も予め買ってあって初日に行く気満々でいた私は余りの事に唖然という感じでした。
そのような事は、長年の映画人生に於いて、後にも先にも「そんな事態唯一無二」な出来事だっから。
その理由についても、「監督の意向」という事くらいしか伝わって来ず、何だか釈然としないものだったし。
しかし、監督からの「作品をより完璧にしたいから….」というようなメッセージが伝われた事から前向きに捉え、その仕上がりを楽しみに、更なる期待を高めてその日を心待ちにした事を今でも思い出します。
その後公開日の再調整がなされ、結果として約1ヶ月半後の同年11月23日に公開の運びとなり、晴れて無事に鑑賞を果たすことが出来たのでした。
実に、初公開版を中学生時の1974年7月13日(土)の初日に東急文化会館の「渋谷東急」で鑑賞して以来、26年ぶりの劇場鑑賞となり、感無量でした。
今回は同施設の地下の「東急レックス」という、当時のロードショー館としては可成り小規模なクラスの小屋だったのが少し残念でしたが、当時そこはリヴァイバル上映を主にしていた関係上という事と、その当時フリードキン監督の知名度や評価が、今作の4年後に万を期して公開した次回作『恐怖の報酬』のアメリカでの興行的不振による世界的失敗以降で失墜してしまっていた事とも無縁ではなかったのかも知れません。
これはある意味、‘77年同年の先行公開作SW時代の到来による、不当に低い不名誉に甘んじた、時代に泣いた不運作でした。ETに泣いた『遊星からの物体X』と同じ図式です。
ちょっと寂しかったのは、元のバージョンの公開時から比べたら、この時のメディアでの扱われ方は、一部のコアなファン以外からすれば可成りひっそりと公開されたみたいにすら思えたのでは無いかと。
個人的に今バージョンを初見した時の記憶として、事前情報で得ていた例の『スパイダー・ウォーク』部分については可成り意識して注視していたのだけれど、その数年後にDVDで再見した際に「アレっ?」と思ったところが。
劇場鑑賞の際に『スパイダー・ウォーク』部分が暗転して終わる際、リーガンがこちらに向かってきてその血まみれの口がクワッと開いた状態が画面一杯のアップになって終わったように記憶していたのが、そうでは無くなっていた点です。
可成りインパクトのある場面だったので、記憶違いの可能性は低いように思える反面、そのインパクト故に過剰な記憶になってしまってたのかな?とも考えられなくもなく、長年、いまだに謎のままです。
公開延期の理由についてはその後、「フィルムに一部色調等に納得ができない部分があったので」的な事で伝えられていますが、上記のことも何か関連あるとかどうなんだか、大元のアメリカ初公開版が分からず比較不可能なので、確認しようもないですね。
どなたか、当時ディレクターズ・カット版を日本劇場公開時に鑑賞された方が居られたら、是非どのように記憶されて居られるか教えて頂けたらと思います。
今更ですが、作品内容については、原作者の意向も締めくくりなどにも反映され(主人公的に3への繋がりを予感させる)、これまで敢えて削除していたシーンや随所に現れる“悪魔のイメージ”など、敢えて細述を避けて観念的な表現に押さえていた初公開版と比較すると、分かりやすい、イメージの掴みやすい娯楽作品的な要素が増したような印象を感じます。
ある意味、若かりし頃の「これが俺の映画なんだっ!」的だった作品から、26年の時を経てその間の、ある程度鑑賞者の疑問や不明瞭に受け止めれた部分へ、柔軟さ(理解に一助)を示したものに昇華したかのように思えました。
因みに、『エクソシスト』シリーズというか、この関連シリーズというかは、関連する関係者がほぼ皆無の「ビギニング」以外の全作品を劇場公開時に鑑賞していますが、どれもそれぞれに持ち味があって良さを感じています。
だがしかし、いずれのが作品も「相当な難産」というか、曰く付きというか、公開までの経緯に伴って『2作品づつある』状態になっちゃってるところが『呪われてる』ていうよりも興味深いというか笑える(?)というかスゴイです……
まず『2』は、「試写会版(初期プリント)」と劇場公開版で相当違う。詳細は他に譲りますが、試写版=ディレクターズ版→公開版=短縮版、と言えます。
現在にDVDはある時点から何も断りなく、DC版に近い形に戻ってます。
『3』の最初の完成版はジェイソン・ミラー氏抜きで全編撮影して関係者試写されてダメ出しがあり、映画会社からの「ジェイソン・ミラーで追加撮影して再編集するよう」という意向によって大幅に改変され、完成版に至って公開になったということです。
こちらは現在、海外版BDではセットになってます。
『ビギニング』はポール・シュレーダー監督で完成されてますが、『1』との連関性に乏しすぎる事で「全面ボツ」作品になり、レニー・ハーリン監督作として、全く同じ出演者なのに「完全取り直し別作品」で完成から公開になりましたが、あまり評価良くなかったようで、後出しでポール・シュレーダー版も追加で限定公開(アメリカ)しっちゃって、公認で二作という珍事に。
これも海外でDVD二作セット有りで、シュレーダー版は『ドミニオン』とタイトルされています。
ついでに『1』については、現在も手元にある、初公開‘74年版とDC’00年版との間の‘98年に VHS と DVDの豪華限定50000セットという触れ込みで、初めて本物のサウンドトラックCDが同梱された「25th-anniversary special edition box set 」というのが出ており、混乱させます。
ウリとしては当時、「カットされたシーンや別エンディグを収録」とそれらの処遇についてなど原作者と監督の完成作品についての意向のくい違い等に言及したドキュメンタリーなどで、本編自体に変更は施されていなかったようです。
2年後のDCへの繋がりを予感させる前哨戦というか、布石というか、当時としてはとても興味深いものではありました。
そしてこの度、ワーナー・ブラザース創立100周年記念の一環もあって「午前十時の映画祭」により2023年9月1日よりの再上映が決定し、またしても20数年ぶりの劇場でのご対面が出来ると知りそれ以来、その日を心待ちにしている今現在です。
純真無垢な少女が、オカルト化
12歳の少女リーガンに取り憑いた
悪魔を抹殺すべく、
エクソシスト(悪魔祓い師)の
想像を絶する闘いの話。
全く普通の健康で幸せな少女、
母娘の関係も愛情と親密さに
溢れている家庭が何故、
悪魔の標的となってしまった
のか。父親が不在で別の親しい
男性(監督)の存在がリーガンの
心に不安の隙間を生んだのか。
純真無垢な少女が憑依され、
医学では治せないと分かり、
神父さまによる悪魔祓いに
助けを求める。
だんだん悪魔が暴れる様は
不気味で衝撃的。
2人の神父による悪魔との
善と悪の闘い。キリストを信じ、
結局、善が勝つってことかな。
サスペンスなシーンでよく流れる
音楽はこの映画からだったんだー。
全く別物
🎦エクソシストとは全く別物でメッチャ完成度が上がっている。完成度が数段アップしてて今見ても全く遜色のない最新の傑作ホラー作品となっていて驚いた。過去の傑作とは思わずにホラー好きの方には今一度見直して頂きたいレベル。お勧めです。
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