「“今や「マスト!」と言われ続けていることに違和感!…”な映画」エクソシスト ディレクターズ・カット版 stoneageさんの映画レビュー(感想・評価)
“今や「マスト!」と言われ続けていることに違和感!…”な映画
この作品の公開当時はまだ子どもでしたが(もちろん観に行けませんでしたが)、すごく話題になっていたのを覚えています。予告編もテレビでやっていたのを観た記憶がなんとなくありますが、あの“180度1回転”の映像まで見せていたのかどうかはハッキリとは覚えていません。恐らくこの作品を初めて観たのはテレビが初めてだったと思いますが、公開からどれだけ経っていたのか?…超自然的なものがよく分からず、神父までなぜ死んでしまったのかよく分からず、モヤモヤした記憶があります。しかし、多くの人がそうだったように、悪魔に取り憑かれたリンダ・ブレアーが凄すぎて…細かいストーリー展開とか全然気にならなかった…(当時、個人的に圧倒的に怖かったのは、クリストファー・リー演じるドラキュラだったが、この作品は予告編からしてなんか“リアル”だった笑)。
で、今やこの作品…全ホラー作品の中でもかなり評価の高いものになってるんですが、個人的にはちょっと違和感ありです。この手の作品は、長い間結構ゲテモノ扱いで、あまりまともな評価なんてされて来なかったと思うんですよね。
公開当時は、世界的に超能力ブームで心霊写真なんてのも流行っていて(ネッシーも!)、テレビと雑誌と新聞ぐらいしか情報源のなかった時代、もしかしたらオバケとか未知の生物や“あの世”なんてものが存在するかも知れない…なんて、今よりももっと信じられていた時代だったと思います(マスコミに煽られるがままです笑)。世間的にも、爆弾テロにハイジャック、銀行強盗、誘拐事件、公害や薬害事件などなど、不安で不穏な出来事がもっと多かった…。
そんな時代にこそ嵌(はま)った作品だったと思います。みんなの怖いもの見たさに見事に嵌ったなぁと…(その後の『オーメン』の首チョンパも話題になりました)。
元々映画作品としての質が高かったから、この作品は生き残ったのでしょう。しかし、あの時代の不穏な空気感があったからこそ、一層記憶に残るものとなったと思います。