劇場公開日 1992年7月18日

「こんなに面白い映画だったんだ」紅の豚 セロファンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0こんなに面白い映画だったんだ

2022年1月22日
PCから投稿

ジブリ映画の中では、それほど好きな作品ではありませんでした。トトロや魔女の宅急便とは異なり、おじさんの豚が出てくるちょっと大人な雰囲気の近寄りがたい映画という印象があったと思います。
先日録画しておいたのをなんとなく観始めたら冒頭から惹き込まれました。隠れ家的な浜辺。明るい太陽の光。陽気な海と空の色。ラジオから流れる音楽。そんな中でグテ~っと寝そべる丸っこいポルコ。中々の癒やしで思わず口元がゆるんでしまいました。
戦争や恐慌による厳しい時代背景、空賊がのさばる物騒な状況なはずなのに、それをほとんど感じさせない。間抜けな空賊や、活き活きと働く女性達からは明るく、力強く、微笑ましい雰囲気が溢れていて心が和みました。ポルコの立ち位置やジーナの魅力、二人の微妙な距離感も大人になった今だからこそ感じられるのかもしれません。

 ヒーローでも悪党でもない、どこにも属さない自由人。
 女性に弱くてキザで、ぷにぷにとした可愛らしいおじさん。
 過去の哀しみと絶望から自らに魔法をかけた世捨て人。

昔は渋いおじさんというイメージしかありませんでしたが、今になってようやくポルコの奥深さがわかってきたような気がします。

セロファン