「豚という色眼鏡」紅の豚 SIEGさんの映画レビュー(感想・評価)
豚という色眼鏡
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この作品の最も謎はポルコがなぜ豚か。
悪い魔法使いに魔法をかけられたとか、
お姫様のキスで魔法が解けるとか、劇中でところどころでてくるものの、みんな気になりながらも自然と慣れていき、気づいたら美しい世界と、熱い男たちのぶつかり合いと、猛烈な女の闘いに引き込まれてどうでも良くなっていく。
でもそれがおそらく正解で、ポルコは本当に豚なのか。
豚から解けたと思わせる瞬間が2箇所ある。
フィオナが寝ながら横顔を見ていた時と、カーチスと殴りあった後。
これが意味するのは、別にポルコは豚の顔をしてるわけじゃないんじゃないかと。
英雄だったポルコが戦線から逃げ帰ったことで、おそらく彼は非常に非難を受けた。軍からも備考され、彼は豚の烙印を押されたのだろう。
それが魔女の魔法か。
あるいは、彼が豚であると魔法をかけられたのは周囲の人間たちか。
でも若い世代のカーチスやフィオナはそういう評判を知りつつも、彼と殴り合ったり、恋をしたり、それ以上の関係になっていた。だから、色眼鏡を外して彼の本当の顔が見られたのではないか。
そう考えると、その2人以上近いところにいて彼の理解者であったはずのジーナにも豚の顔に見えていたことが腑に落ちないところもあるけど、彼女の大切な人を失ったことや、それを深く後悔して罪を感じているポルコの間が少しあるのもわからないでもない。
周りの評価ではなく、実際に恋をしたり殴り合ったりしないとその人が見えてこないよなと感じさせてくれた素敵な作品である。
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