「冷徹なプロフェッショナルと対峙することで定まったアン・ハサウェイのしっかりとした生き方」プラダを着た悪魔 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
冷徹なプロフェッショナルと対峙することで定まったアン・ハサウェイのしっかりとした生き方
デビッド・フランケル 監督による2006年製作(110分)のアメリカ映画
原題:The Devil Wears Prada、配給:20世紀フォックス映画、劇場公開日:2006年11月18日。
ニューヨークの一流ファッション誌編集部が映画の舞台で、アン・ハサウェイの出世作とのこと。確かに、衣装担当のパトリシア・フィールドがコーディネートした複数のブランド品(シャネルやルイ・ヴィトン、等)を身につけたハサウェイのお洒落感は、その個性的な美貌とスタイルの良さもあり、とても際立っていた。
ノースウエスタン大学(42人のピューリツァー賞受賞者を輩出のシカゴ近郊名門私大)を卒業したアン・ハサウェイ演じるアンドレアはジャーナリスト志望であったが、そのためのステップとしてファッション誌のアシスタント募集に応募し、カリスマ編集長メリル・ストリープの面接により採用される。ファッションに関心は無く面接時の服装も適当な選択で、髪はかなりボサボサ。薄青等3色配色のスカート、青色のセーター、ベージュのコート、3色の毛手袋、茶白マフラーと、確かに色が多すぎるせいか垢抜けた感じはしない(とはいえ、センスが無いからだろうが、コレはコレで初々しくて個性的で、良いジャンとは思ってしまった)。
採用されたが、高額ブランドコートをはおりプラダバッグを抱えるストリープ鬼編集長の猛烈な要求に振り回されて、疲れ果ててしまい、悪態をつくハサウェイ。程度は違えど、社会人の一般的な通過儀礼の様なところも少し有り、彼女の表現力もあり、共感を覚えた。
そんな彼女も、No.2スタンリー・トゥッチのお小言と衣装セレクトのおかげでファッションにも目覚め、カリスマ編集長の元で仕事人間になり、昇進も成し遂げる。しかし、仕事が過剰すぎて私生活はボロボロで、彼氏との仲も壊れてしまう。そんな彼女が、ファッション誌編集部の仕事を辞めジャーナリスト志望という初心に戻る選択をするストーリー展開は、暖かいものを感じさせて、とても良かった。
新聞社の面接時、あの鬼編集長派が雇わないのは大馬鹿と、強く推薦してくれたことも判明。彼氏との仲も回復し、最後ニューヨークの交差点で編集長を見かけたハサウェイは、彼女に手を振る。素っ気なく車に乗り込んだストリーブだが、車の中で満足げに微笑んでいた。ハサウェイの服装はGパンに黒のタートルネックニット,茶色のジャケットにブーツ。カジュアルだけど、もしかすると本映画で最高に知的でカッコいいお洒落な服装だったかも。素敵なラストシーンだった。
あと、カリスマ編集長が衣装の色に無頓着だった主人公に話した「あなたのセーターの色はブルーじゃない、ターコイズでもラピスでもない。セルリアンよ。2002年にオスカー・デ・ラ・レンタがその色のソワレを、サンローランも同色のミリタリージャケットを発表。セルリアンはその後8つのコレクションに登場。すぐに全米でブームになり、安いカジュアル服の店でも販売されあなたが購入。その色は無数の労働の象徴。ファッションと無関係と思ったセーターはそもそも、ここにいる私たちが選んだもの(不正確かもしれませんが)」は、強く印象に残った。
何かを創っていく人間(映画制作も含めて)のプロフェッショルなプライドを、強烈に感じさせられた。
監督デビッド・フランケル、製作ウェンディ・フィネルマン、製作総指揮カレン・ローゼンフェルト ジョー・カラッシオロ・Jr.、原作ローレン・ワイズバーガー、脚本アライン・ブロッシュ・マッケンナ、撮影フロリアン・バルハウス、衣装パトリシア・フィールド、美術ジェス・ゴンコール、編集マーク・リボルシー、音楽セオドア・シャピロ、音楽監修ジュリア・ミシェルズ。
出演
アン・ハサウェイアンドレア・サックス、メリル・ストリープミランダ・プリーストリー、エミリー・ブラントエミリー、スタンリー・トゥッチナイジェル、エイドリアン・グレニアーネイト、サイモン・ベイカークリスチャン・トンプソン。
本作、オードリーの『麗しのサブリナ』と同じく、アン•ハサウェイも垢抜ける前と後、どちらも美しいので、やはり、中身やな、と
思いました。『ブロークバックマウンテン』にも出てられてびっくりしました‼️
こんにちは♪
『太陽がいっぱい』に共感コメントしていただきましてありがとうございました😊
ラストの対比ですね。なぜ、海に投げた時、潜って確認しなかったんだ⁉️と声かけたくなりましたが。やはり、発覚するんですね。