チャップリンのレビュー・感想・評価
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放浪紳士は死せずしても放浪する
チャップリンの出自のルーツに迫ったドキュメンタリー。チャップリン映画を観て映画好きになり、自伝や評伝をむさぼるように読んできたが、彼がロマ(ジプシー)の血を8分の1引いているとは今回初めて知った。もっとも本人もそれを知ったのは30代になってからとか。
身なりこそボロでも、スーツを着る放浪紳士役が当たり役となったチャップリン。定住することなく(まあ結婚して家庭を持つ役も少なくないけど)どこにでも現れ、トラブルを巻き起こしたりトラブルに遭いまくる放浪紳士。そもそもこの「放浪」という言葉がロマと直結している。
出生地イギリスからアメリカに渡り成功するも、赤狩りの嵐に追われてスイスへと「流れ」る。実生活でも放浪すれば、本人は知ってか知らずか、ロマのルーツを持つ音楽家の曲を作品に使っていたという事実。極めつけは遺児クリストファーも語っていたように、墓荒らしに遭って遺体を持ち去られてしまう(墓荒らしの詳細は『チャップリンからの贈りもの』に詳しい)。亡くなってもロマとして「放浪」し続けるという、なんだか落語のオチのような展開。
やはりロマの血を引く(らしい)ジョニー・デップがチャップリンについて語っているのが見どころ…とはあんまり思えず。むしろエミール・クストリッツァの考察がいかにも映画監督らしくて興味深かった。
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チャップリンのルーツを探る旅に出る
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