エッジ・オブ・タイムのレビュー・感想・評価
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カラー違いすぎて面白い
東京国際映画祭にて鑑賞。
3つ目の話だけやけに気合いが入っておりしかもカラーも他とだいぶ違う。なんだこれは。なんでこんな不思議な企画が成立したのだろう。というのが最初の印象。
1.ウォン・ミン監督 『海之眼』
海の話。海の底で泳いでいた潜水少女がおもちゃを取りに来た地上少女と仲良くなり海の底で巨大なピアノを一緒に足踏みする、そんな展開。
地上少女が地上に戻ったら地上は既に死滅した感じの世界になっていて潜水少女悲しい、みたいな終わり。
海の中の絵はかなり綺麗だった。
2.森田修平監督『弦の舞』
森の話。霧がすごい森の国の姫様が主人公。姫様は霧の中から来る怪物に民がやられて悲しい。なんか野生の部族女と仲良くなる。そして姫様は戦う決意をして鎧を着る。
うわーと兵士達が霧の中で怪物と戦い姫様と部族女は敵対関係になる、みたいな展開。
どこかで観たようなデザイン、展開なのは惜しい感じがした。
3.リー・ウェイ監督『再见,小欧』
街の話。
この話だけ明らかに時の水晶とほぼ関係ない。なんだがとにかく気合いの入り方がすごい。映画の紹介カットはこの話からなんだがそれも納得。
世界観の作り込みとか話の展開とか明らかに他より凝っていた。ゆえに一番浮いてるようにも感じた。
映画監督の男が主人公。学生時代にのちに女優になるヒロインとのちに軍人になる友人と3人で学生映画を撮っている。
学生時代は仲良かったのに大人になって敵対関係になっちまったな、みたいな話。
機械の体に改造した人々が増えてきた街で機械好き側と機械嫌い生身重視側が争っている。
監督男は機械側で機械側が喜ぶ映画を作りヒロインはその映画に出演する。軍人男は生身側について飛行機に乗って戦う。機械側が優勢で生身側の友人はやられた!と思いきや生きてる。
監督男は機械側が嫌になって機械側の偉いやつを殺そうとするが!ヒロインも機械側と見せかけて生身側で!お前もそっち側だったんかいと監督が気づいたタイミングでヒロインに協力してる暗殺者に監督は殺されちまう。
ラストはヒロインと軍人男が学生時代の映画を観ながら監督主人公は英雄だったよみたいなこと言ってビターエンドな感じで終わる。
美術がえらい凝っていてよくこの短編にこれだけの気合いを込めたなと思った。アクションもかなりヌルヌル動き並々ならぬこだわりを感じる。
今作が渡辺監督かなと思うくらいなかなかバイオレンスで、でも中国の街感すごいなと思ってたら渡辺監督ではなかった。
個人的にはこの3話目が一番良かった。しかし明らかに他と対象年齢すら違いそうなノリなのでそこが謎の面白さにつながった感はある。
4.渡辺信一郎監督 『A Girl meets A Boy and A Robot』
廃墟の話。
この話は最初の海のやつとつながっているような雰囲気はあった。
女の子が廃墟になった世界を歩きロボットと少年に会う話。
これラストは女の子は既に死んでる霊で少年だけが生きていたことが明かされる。そういう意味では悲しい話。
絵柄が可愛かった。
総じて
全編通して時の水晶の役割がいまいちよく分からないのだがなんとなく各ストーリーをつなぐ謎物体です、みたいな感じだった。
赤と白の花が2話目と3話目で意味深に示されたので生まれ変わりとか愛情とか何か象徴してるのだろう。
正直チグハグな感じもあるがこういう新しい試みをやってくれるのは素晴らしいとと思う。国際プロジェクトだと色々調整するのも難しかっただろう。
中国のプロデューサーが頑張って企画してコロナで中断しながらも8年くらいかかって完成させたらしい。新しい試みはやっぱり大変なんだな。
太素より戦争
日中4監督により制作された長編アニメ…との事だが、中国はもちろん日本の監督についてもよく知らないので、各人の作家性とかも全く把握しない状態で鑑賞。2話目と4話目のエピソードが日本人監督作らしいが、2は『アバター』、4は大友克洋の『武器よさらば』や『フィンチ』っぽい内容。3はいかにも中国らしいビジュアルやデザインで、数年前のTIFFで観た『チェリー・レイン7番地』を思わせた。
作品全体の共通テーマとして、時空を超えるエネルギー“太素”がモチーフとの事だが、それが何なのかよく分からずじまい。というか一番のモチーフは“戦争”としか思えないほど戦いが根底にあり、そういう意味では“太素”を説明する1話がやたらと浮いている。
いずれもビターな結末という事もあり、取り立てて好きなエピソードもなかったが、こういうアニメも観られるのもTIFFならではとポジティブに解釈。日本での一般公開はあるのかな…
2話目と3話目が良かった
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