マザーのレビュー・感想・評価
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マザー・テレサの真実
TIFF2025コンペティション
聖人とか神のような存在ではなく、まさにこの世を生き抜いたマザー・テレサという存在をいま生きている我々にも実感がもてるようにリアルに描ききったという印象です。
当初はドキュメンタリーをつくるつもりで始まったというこの作品、一見、創作しているような事柄が満載に思えてしまうのですが、描かれている事柄は綿密場取材とリサーチに基づいたものであり、誠実にテレサの人物像を描ききっているとのこと。そしてまた、実際の彼女を知る人がこの作品を見ても実際のテレサに近いという証言もあるということで、そういったことを聞いた上で作品を振り返ってみると、実に感慨深い作品にも見えてきました。
あらゆるものに縛られ身動きがとれない自分自身、それを何とか打破して自らの手で解放して、外へと羽ばたいていくさまが描かれていて、見終わった開放感は清々しいのですが、同時に、世の中の不条理な事柄もしっかりと認識できたような作品です。
聖母としてのマザーか、それとも女としてのマザーか
マザー・テレサは名前こそ知っていても、聖人となった経緯などは全然知らない。半生を映像化した作品もいくつかあるがどれも未見なので、本作が初マザー・テレサ映画鑑賞。
1948年、インド・カルカッタのロレト修道女会を離れて自身の修道会の設立に向けて動くさなか、次期後継者となる修道女の妊娠が発覚。まさに掟破りな事態に右往左往する一方、修道会設立に向けて野心を燃やしたり、とうとう手に入れられなかったものへの後悔と恐怖に囚われていくという、ニュース映像などで散見した落ち着き払って貧困者に恵みを与えて歩く姿からは想像できないマザー・テレサが見られる。聖母としてのマザーか、それとも女としてのマザーか、それが問題だ。
劇伴にパンクロックやデスメタルを使っているのもインパクト大。「マザー・テレサの生き方はフリーダム。フリーダムと言えばパンクでしょ」と語る監督の言葉に妙に納得。そういえばマザー役のノオミ・ラパスと、妊娠した修道女役のシルヴィア・フークスの両者とも“サランデル”役を演じてる奇縁もある。
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