劇場公開日 2004年6月5日

デイ・アフター・トゥモロー : 特集

2004年5月15日更新

「インデペンデンス・デイ」の監督として、あるいはハリウッド版「GODZILLA/ゴジラ」の監督として有名な、ローランド・エメリッヒ。しかし、作品の派手さの一方で、その素顔は意外と知られていない。公開が迫ってきた「デイ・アフター・トゥモロー」の予習を兼ねて、この監督の横顔を覗いてみよう。

第1回:ローランド・エメリッヒ監督について

あまり知られてない10の事柄

編集部

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ローカルのスピルバーグと呼ばれていた

ローランド・エメリッヒ監督
ローランド・エメリッヒ監督

ドイツ時代にマスコミがつけたニックネームは「シンデルフィンゲン出身の小さなスピルバーグ」。というのも、彼がデビューした80年代初頭のドイツはファスビンダーやシュレンドルフらのニュー・ジャーマン・シネマが熱い注目を集めていた時期。そのブームとは無関係に、エメリッヒはハリウッド的なSF映画を撮ったことからついたアダ名がこれだった。「小さな」というのは、製作費が小さかったから(ということにしておこう)。ドイツ人だが、監督第2作から使用言語は「英語」。最初からハリウッドを目指していたのは、この言語選択からも明かだ。

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オタクじゃないけどSFが好き初監督作「ディストラクション/地球滅亡(スペースノア)」(84)はアイデア勝負の正統派SF。以来、ホラー2作を挟んで、ドイツ=アメリカ合作の第4作「ムーン44」(90)もSFだし、ハリウッドに進出した「ユニバーサル・ソルジャー」(92)以降は「スターゲイト」(94)、「インデペンデンス・デイ」(96)、「GODZILLA/ゴジラ」(98)とすべてがSFな上にに超大作。前作「パトリオット」(00)は歴史ものだが、今回もSF超大作。インタビューの度に「SFが好きだ」と公言している。

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ライバルは、往年のパニック大作「インデペンデンス・デイ」公開時のインタビューで挙げている好きな映画は「ポセイドン・アドベンチャー」(72)、「大地震」(74)、「タワーリング・インフェルノ」(74)。70年代に大流行したパニック映画の代表作だ。55年生まれのエメリッヒはその頃、高校生。世界中を席巻したパニック・スペクタクル映画ブームに熱中した若い観客の一員だったのだろう。「インデペンデンス・デイ」にも「デイ・アフター・トゥモロー」にも、こうした一連の名作パニックを超えてみせようという気概が見て取れる?

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ん? デブリンはどこに行った?

「デイ・アフター・トゥモロー」
「デイ・アフター・トゥモロー」

「ユニバーサル・ソルジャー」「スターゲイト」のB級テイストは、共同製作者だったディーン・デブリンの趣味だったようだ。監督作「ムーン44」に俳優として出演したデブリンの「セリフのアレンジの巧さに感銘を受けて」(エメリッヒ談)以来、いっしょに脚本と製作を担当するパートナーとなったが、今回「デイ・アフター・トゥモロー」にはデブリンは参加していない。

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努力の人、勤勉の人ディーン・デブリン曰く「ローランドが言ったんだよ、“いいかい、ディーン、君は天才じゃない。僕も天才じゃない。そして僕らは天才にはなれない。でも、僕らが本当にものすごく必死になってやったら、ひょっとしたら、ある日いい映画が作れるかもしれない”って。ローランドが僕に言ったことのなかで、もっとも価値のある言葉はこれだね」(96年発言)。

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