デイ・アフター・トゥモロー : 映画評論・批評
2004年6月1日更新
2004年6月5日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
エメリッヒ監督の豪腕で見せる天変地異スペクタクル
地球温暖化によって極冠の氷が溶けたことで、海流に異変が起き、その結果として超大型低気圧――スーパー・ストームが発生して、地球に氷河期が訪れる……彗星直撃の「ディープ・インパクト」(助かっちゃう「アルマゲドン」は別ね)以来、久々の世界破滅映画。
気象学的考察はさておき、現実に起きている異常気象に対する人々の不安を前提に「インデペンデンス・デイ」のごとく、エメリッヒ監督の豪腕で見せる天変地異スペクタクルは、迫力も説得力もある。しかも、その世界の破滅を、俯瞰的、あるいは多視点で描くのではなく、父と息子の絆をメインにおいて、惨劇とその後に残された細やかな希望を描ききった点も好もしい。つまり、この映画には、いかにもハリウッド映画的なヒーローは登場しない。主人公も含め、誰もが自然の猛威の前にはなすすべもない等身大の人々なのだ。
ただし、その分、唐突に挿入される東京、スコットランドの気象台を除けば、アメリカ以外の大災害シーンがなく、宇宙ステーションからの眺望が補っているとはいえ、世界的なスケールに欠けるのがちょっと残念。でも、見ている間は、パワフルな映像に圧倒されっぱなしなので、OKなのです。
(高橋良平)