「とべない沈黙」ペンギン・レッスン 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
とべない沈黙
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もちろんペンギンはかわいいし、重油まみれのペンギンたちは可哀想!と思うが、全体としては狂言回しの位置づけで、問題は強権的な為政者による民衆への弾圧である。政権にとって都合の悪い人間を不当に拘束し収監する。人々を恐怖で支配し、沈黙させる。ソフィアが拉致されるのをただ見守るしかできない主人公の表情が如実に物語っている。
これは当時のアルゼンチンのみの話ではなく、今も世界のあちこちの国で平然とまかり通っている現状がある。そうした報道に接するたびに暗然とした気持ちになる。アルゼンチンも今でこそ軍事政権ではなくなったようだが、当時政権内部にいた人間の一部はまだ残滓のように(素知らぬ顔をして)国のどこかに健在でいるのだろうし。
最後にソフィアは帰ってきたけれども、笑顔はない。どんな扱いを受けていたのだろうか。けっしてハッピーエンドとは言えない。
ペンギンは飛べないから、ベランダからどこにも行けない。話しかけられても何も返せない。
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