殺し屋のプロットのレビュー・感想・評価
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クールな中にも情感が漂うマイケル・キートン流浪花節。
ひねりの利いたソリッドなノワールスリラー。なんならソダーバーグあたりがサラッと撮りそうなジャンルで、マイケル・キートンが監督&主演。物語のツイストが早めに読めてしまうのはちょっと物足りないが、ソダーバーグであればどこまでもクールに撮りそうなところを、キートンはどことなく浪花節に、情感を込めていて、撮る人が違えば映画はまったく違う性格を帯びるという好例だと思う。気がつけばマイケル・キートンは74歳。この調子でジャンル映画を極めてもらってもいいし、また全然違うタイプの映画も監督してもらいたいところ。
バランスの難しい素材をクレバーかつ明快に織り成している
マイケル・キートンが長編監督を手がけるのはこれで2回目。その作品選びの基準は非常に独特で、派手さはないが堅実な面白さや人間関係の妙を秘めた素材を、彼は最初から術を心得ているかのように迷いなく、無駄なく真摯に調理してみせる。「記憶を失うプロの殺し屋」というありふれた人物像も、熟練のキートンの手にかかれば途中までは安心感が漂い、途中からは何が正常なのか靄に包まれゆく適度なミステリーがグラデーションを成す。このバランス感覚にハマるかハマらないかが楽しめる/楽しめないの境界線となりそう。加えて、シニカルさとユーモアとのバランスも心地良く、特にアル・パチーノが登場してからは単なるちょい役とは一味違う飄々とした立ち回りが笑いを誘う。そして追う側の女性刑事も、彼女は彼女で家族の事情を抱えているのが面白い。敵味方ではなく、パズルのごとく人と人とが入り組んで陰影を彩る、なんとも蔵人好みなノワール世界である。
記憶を失っていく状況を追体験させるかのような映像表現
すでに伝説の俳優となっているアル・パチーノがマイケル・キートンと初共演しているというだけでも、映画ファンにとって必見の作品と言えます。除隊したノックスを殺し屋にスカウトし、彼の“最期の仕事”に協力するゼイヴィアを、傑作「ゴッドファーザー」シリーズなどでアカデミー賞に9度ノミネートされ、「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」で同賞を受賞したパチーノが演じています。ノックスとの長い関係の歴史と去りゆく友への想いを、その佇まいや息遣い、目の表情だけで表現し、パチーノが画面に登場しただけで、裏の世界で生きてきた2人の関係性に緊張感と説得力を与えます。
しかし、本作は、彼らの演技をじっくりと堪能できる作品とともに、実は映像表現にも独特なこだわりを見せています。まるで記憶を失っていくノックスの状況を見る者にも追体験させるかのように、カメラのフレームは瞼を閉じるようにフェードアウトしたり、シーンやカットが飛んだりします。そうしているうちに、今見ているのは劇中の現実なのか、ノックスの記憶や頭の中で曖昧になっていく世界なのかわからなくなってくるという仕掛けです。記憶を失う直前の、明晰な頭脳と膨大な知識を駆使して計画したノックスの“完全犯罪”は果たして完遂するのか、最後まで目が離せません。
上質のミステリ小説に似た味わいと、温かな余韻
グレゴリー・ポイリアーによる脚本がまず巧い。読んで惚れ込んだマイケル・キートンが主演・製作に加え、自身2度目となる監督まで買って出た(初監督は2008年製作の「クリミナル・サイト 運命の暗殺者」)。記憶障害を扱ったサスペンス映画としては、クリストファー・ノーラン監督の「メメント」とアンソニー・ホプキンス主演の「ファーザー」という2大傑作があり、これらには及ばないものの、「殺し屋のプロット」もよく練られたストーリーが知的好奇心を刺激する。ベテランの殺し屋が認知症を患うという設定が似ている「MEMORY メモリー」、認知症の老人がナチス逃亡犯への復讐の旅に出る「手紙は憶えている」も思い出される。高齢化と認知症患者の増加は世界的な傾向であり、ドラマ作品はもちろんのこと、サスペンス系でもこの題材を扱う映画が増えそうだ。
アクションシーンを雑多に散りばめたB級サスペンスとは趣を異にする。凄腕ヒットマンのノックスにしてはあり得ない序盤のミスと、後半に自らが襲撃されて対処するシークエンス、アクションの見せ場はその2つのみ。ミステリ要素が盛り上がっていくのは、長年絶縁状態だった息子マイルズが衝動的に犯した殺人の現場の後始末を、ノックスが引き受けてからだ。しかし彼が熟考の末に開始した工作は、それ一体どういうこと?と観客に疑問を抱かせることの連続。やっぱり病気のせいで頭がぼけているのか、それとも息子のことが憎くてやっているのか?
そうした疑問を生んだ伏線はわかりやすく回収され、満足感とともに温かな感情を呼び覚ますエンディングに至る。地味ではあるが、滋味豊か。アル・パチーノの元気な姿を見られたのも嬉しい。
もっと皆に観て欲しい(上映劇場を増やして!)
マイケル・キートンは素晴らしい役者です
思えば「ガン・ホー」からの付き合い
今作はそのマイケル・キートンが病や老いを
メインテーマにしています
内容的に終活をイメージするので年配層にオススメです
人間誰しも老いてくれば物忘れや
ケアレスミス、勘違いが酷くなっていきます
ましてやそれが病気からくるものだとしたら…
過去を忘れていく自分に腹を立てる事なく
淡々と向き合う主人公ノックスを
マイケル・キートンが哀愁を漂わせながら
演じています
ノックスは仕事に誠実で仲間からの信頼も
厚かったと思われます
仲間達の手助けがなければ病気が進行していくなか今回の偽装工作も進まなかったでしょう
この作品の裏のテーマは家族、そして友人との信頼だと感じました
アル・パチーノ演じるゼイビィアがとても良かったですね
彼が出演することで作品の深みがとても増したと思います
完璧な終活のプロット
殺し屋の終活
自分が犯したミス、息子の思いもよらぬ殺人、進行の早い脳をむしばむ病気。主人公が何をしているのかも全く分からぬまま、警察の捜査は息子や自分にまで及びます。また病が進行する主人公の目に映る映像も間に入り、どうなるのか予測もつきません。冷酷無比なプロの殺し屋なら、長年連れ添った?「木曜日」の愛人(or娼婦)が自分を裏切ったら容赦なく命を奪うと思いますが、意外に優しい一面も見せます。暗い映像で、しかも主人公の家や部屋など冷たい感じがしたのですが、人間の暖かさを感じさせてくれる映画でした。
主人公が記憶を失うという点でいえば「手紙は憶えている」という映画を思いだしました。
YOUTUBEの「【殺し屋のプロット】地味だけど面白い!拾い物」というレビューで
は、この映画のタイトルを変えたほうがいいという話が出ていますが、私も一つ思いつきました。「殺し屋の終活」です。ただこれだと、映画の内容そのまんまで、インパクトに欠け、コメディ映画のような感すらしますね。邦画ならありかもしれませんが、日本人の俳優でこの役を演じられる人間が思い浮かびません。ほかの方も、このタイトル思いつかれてますね。失礼しました。
私には刺さらなかったです。。
2025年最後の映画鑑賞となった映画。
上映中の映画ではイマイチ見たい物が無かったので、近場の映画館でやっている中で口コミが良いこの映画を選んで行ってみた。
マイケル・キートンが、監督、製作、主演。
初監督ではないみたいですね。
あらすじを見る限り、よくある話と感じた。
ある殺し屋が、記憶を失っていく病気に侵される中で、疎遠だった自分の息子のために奮闘するという話。
マイケル・キートン出演作で映画館で直近で見たのは『ワース 命の値段』。
私の中でのイメージとしては、『バットマン』の印象が強い。
『バードマン あるいは』で再注目され、私は嫌いではない役者さんですね。
今現在74歳。
年を取りましたね。
70代には見えませんでしたけど。
映画の感想はというと、特に目新しい展開もなくベタな記憶喪失物だったかな。
意識を失うシーンなどはもっと映像にこだわってほしかったと思う。
それと、博士号を二つもっている点、元陸軍将校という過去がほとんど描かれず、そのバックボーンが今の主人公の特徴に生かされていないのが気になった。
アル・パチーノは良い味を出してました。
さすがの存在感。
良いアクセントになってと思う。
ただ、私には刺さらなかったですかね。
この手の作品を見過ぎたせいなのか。。
よくある設定だが、素晴らしい脚本&〆
マイケル・キートン、俳優としても監督しても素晴らしい作品だった。
記憶を失っていく殺し屋というのは、最近よくある設定になってきているが、
その設定をうまく利用した脚本、特に息子による殺人を
息子へ一旦は警察の目が向くようにしつつも、
必ず自分が犯人として特定されるように
仕組んでいるところはグッとくるし、
遺産を娼婦に渡さないところもグッときた
(ここは欲を出しちゃいけないよね、と思った)。
ラストの息子との対話も刺さる。息子の気持ちもよくわかる。
息子のことは忘れていなかったジョン。
お見事!!
メジャー系ではないし、LOOKもインディペンデントだけれど、
こういう作品をもっと観たい!!
こういう作品がヒットする日本市場であって欲しいと切に願います。
製作・監督・主演マイケル・キートン!共演アル・パチーノ! 無駄を排した引き締まった構成、完全犯罪のプロットが素晴らしい そして一瞬泣ける!
気持ちいい
主人公が記憶を失って行く過程で、こちらが観ているだけでは不可解な様々な行動を起こしていきます。恐らく何か目的があるのだろうと思いながら観つつも、何をしてるんだろう?記憶が消えていく中での正常ではない考えが、このわけの分からない行動を起こしているのかな?とさえ思っていました。
しかし、ラストへ向けて、テトリスでブロックがストーンストーンと落ちていくかのように、すべての、あらゆることが腑に落ちて行きました。それはもう気持ちのいいぐらいにです。もう見事としかいいようがなかったですね。
最近、やたらと考察系の作品が多くて、それはそれで嫌いではないのですが、なにかこう、スッキリしない終わり方をすることが多いな、という印象が強かったので、本作品のようなラストがスッキリする作品は久しぶりだったような気がします。
もちろん、ただ単に伏線を回収するだけの映画ではなく、主人公の人間関係、例えば家族や友人などとの過去から築いてきたであろう、切っても切れない関係性や、相手方の感情や想いなど、それらのこともじっくりと見せてくれるので、作品としての深みも増していたと思いました。
正直なところ、友人で自称「泥棒」のアル・パチーノなんて、いつ裏切るかとヒヤヒヤしながら観ていましたが、結局「いい人」だったのでなぜかホッとしました。
逆に娼婦は裏切りましたが、主人公が最後にささやかな情(本)を贈っていたのはなんとも心憎い。私なんて葬ってしまえ!と思いましたが⋯。
あ、しかし一つだけ。鍵が何の鍵なのか結局分からずじまいだったのでは?私の見落としかな?ジムっぽいところのロッカーでもなかったし、山の別宅の門の鍵でもなかったようだし⋯。
まあ、それぐらいどうでもいいか。
よくできたプロット
新鮮な題材
泣けるな〜
自分自身、認知症が近い将来の年代です。自分自身に同じ状況が訪れる事を想像すると彼の姿に泣けて来ました。殺し屋を模範には出来ませんが自分もいざという時のために今、やるべき事を後悔なくやっておこうと思います。
あたまいいなぁ
「上手く行ってもそれが判らないのが残念だ」上手く行ったよ、ジョン。
2025.12.23(火)
キノシネマ新宿で「殺し屋のプロット」を。
新宿伊勢丹の向かいのビルにあるこの映画館は、以前新宿文化シネマだったが4階がアニメ専門館に、7階がシネマート新宿になった。その後アニメ専門館はキノシネマに代わった。キノシネマになってから来たのは初めてである。この通りの並びにあるレインボービレッジのビルには、かつて私が「エイリアン」をロードショーで観た新宿スカラ座やビレッジ1、2のロードショー館があったが今はもう無い。周辺の新宿ロマン、新宿日活オスカー、新宿日活名画座も無くなった。名前が変わっても映画館が残っているだけまだ良いか。閑話休題。
博士号を二つ持ち、大学でも教えた事があり(家には書物が一杯だ)陸軍偵察部隊の派兵経験もある元税務署員ジョン・ノックス(マイケル・キートン)、彼の裏の顔は殺し屋だった。
そんな彼に病魔が忍び寄る。認知症を疑い専門医で検査を受けるとアルツハイマーよりも進行が早いクロイツフェルト・ヤコブ病が確認される。治療の方法は無く、あと数週間で全ての記憶が飛ぶ事になるだろうと言われる。
最後にしようと出かけた殺人の現場で症状が出て、誤って仲間を射殺してしまう。なんとか現場を取り繕うが、警察も不審に思う。捜査線上にジョンが浮かび上がる。
そんな時、16年以上疎遠だった息子が殺人を犯してしまい父親を頼ってくる。(息子に娘が生まれた事さえ元妻から聞いている)
息子は父親が殺し屋だと言う事を知って疎遠になったようだが、死体の始末を頼みに来たのだ。孫娘には一度も会った事も無かったが、16歳の娘を妊娠させたクズ男を刺殺した息子の頼みを聞く。
しかし、病気は進行し、ジョンは自身の殺人事件の捜査をかわしながら、残り少ない自身の終活と息子の殺人事件の隠蔽をする。
離婚した妻と息子に渡すため、記憶が消えないうちに隠してあった資産(絵画・宝石・現金)を整理し、仲間(アル・パチーノ)の協力を得て息子の殺人事件を隠蔽する「仕込み」をして行くが、ジョンの木曜日午後の恋人の野心で破綻しそうになるのだが、…。
仕込みの過程でジョンの目論見が読めてしまい、どう理由付けをするのか位で、警察は騙されてもこちらの驚きは小さかったかな。
ジョンの病気が進行する中、限られた時間で自身の終活(資産整理と殺人の隠蔽)を行い、妻と息子に全てを残して(全てを引き受けて)消えて行くのが愛情だった。
ラストで木曜の売春婦に「二都物語」を送るのも愛情だったね。
Knox Goes Away
もう少し演出がシャープだったら、もっと良くなったと思えるのが残念。
惜しい気がしてならない
お父さん泣いちゃった
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