「【”人生は雨のち晴れ。想い残しある過去に通じる扉を次々に開け、心に残る壮大なる旅を続ける男女。そして・・。”今作は小津安二郎を敬愛するコゴナダ監督による人生肯定ファンタジックヒューマンドラマである。】」ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”人生は雨のち晴れ。想い残しある過去に通じる扉を次々に開け、心に残る壮大なる旅を続ける男女。そして・・。”今作は小津安二郎を敬愛するコゴナダ監督による人生肯定ファンタジックヒューマンドラマである。】
■デヴィッド(コリン・ファレル)は友人の結婚式に出発しようとするも、路上駐車していた車が、駐禁の為ロックされているために、不思議なレンタカーショップで車を借りる。
レンタカーショップの男女の店員は、笑顔を浮かべながら執拗なまでに、ジェネラルモーター社の「サターン」と、自分達で車に装着したナビゲーションを使うように勧めるのである。
デヴィッドは、土砂降りの中車を走らせ結婚式に出席し、会場でサラ(マーゴット・ロビー)と出会うが、そのまま二人は別れる。
がデヴィッドは、ある場所で同じレンタカーショップの車が動かなくなった彼女を乗せて、次々に扉が現れる不思議な旅に出るのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は小津安二郎を敬愛するコゴナダ監督らしい、人生肯定の映画である。鑑賞後の余韻も宜しい。何よりも品が良い作品で鑑賞後の気持ちが良いのである。
そして、今作では冒頭から雨のシーンが続くのであるが、その雨のシーンは徐々に少なくなっていく演出も上手いと思ったのである。
・デヴィッドもサラも、過去に様々な蟠りがあり、独身である。デヴィッドは両親に可愛がられて育った男だが、高校時代に好きだった女の子から振られて以来、やや女性には距離を置いている。
又、サラも母が亡くなった時に、大学教授と不倫していたために立ち会えずに、それが深い悔いとして心に残っているのである。
■今作の発想が面白いのは、「すずめの戸締り」に影響を受けたかのような様々な【扉】が旅を続ける二人の前に現れる設定であろう。
二人がその扉を開けると、そこはサラの思い出の美術館であったり、デヴィッドのやり直したい高校時代の学芸会の日であったり、サラが母の死に間に合わなかった場所であったり、サラが生きている母と会う場所であったり、未熟児で生まれたデヴィッドを心配する父が居る病院の待合室であったりするのである。
その中で、二人は夫々の【思い残しある過去】にもう一度足を踏み込み、【思い残しのない過去】に変えて行くのである。ファンタジックながらも、良く出来た意匠、衣装及び音楽が画のレベルを高めているのも素晴らしいのである。
そして、二人は一度は別れるのであるが、サラはデヴィッドの家に爽やかな顔でやって来て、二人は一緒にデヴィッドの家の【扉】を開けて家に入って行くのである。
このシーンは、二人が続けた心に残る壮大なる旅の終わりであり、始まりでもあるのである。
<今作は、想い残しある過去に通じる扉を次々に開け心に残る壮大なる旅を続ける男女を描くロードムービーテイストを取った、小津安二郎を敬愛するコゴナダ監督による人生肯定ファンタジックヒューマンドラマなのである。>
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