劇場公開日 2025年12月5日

手に魂を込め、歩いてみればのレビュー・感想・評価

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5.0夕方に観てまだ映画に憑依されているような状態で感想が全然まとまりま...

2025年12月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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驚く

夕方に観てまだ映画に憑依されているような状態で感想が全然まとまりませんが、とにかく一人でも多くの人に観に行っていただきたい気持ちを書いておきます。
生まれてから24年間一度もガザから出たことのないファトマと、18歳でパリに暮らして映画監督として成功して、モントリオールやチュニジアなど世界中を飛び回るセピデ・ファルシ監督。「私もその人生が欲しい」とファトマは一度口にしたけれど、カンヌの誘いも、必ずガザに戻れるならばと条件をつけていたことをパンフレットで知った。ガザに生きていることをどう思う?という質問に、まず「PROUD」と答えていたことが印象的だった。そして劇中で紹介されるファトマの詩が本当に素晴らしいというか、あんな詩を読んだことがなくてとても驚いた。パンフレットでも紹介されていたけれどできれば全文を掲載して欲しかった。(全文はどこかで読めるのでしょうか?)

何もできなくて、と言うファルシ監督に、私たちの話をしてくれてるじゃない、それで十分だ、とファトマは言ってくれた。だから全然感想がまとまらないけど、少しでも注目度が上がればと思って取り急ぎ書かせてもらいました。1日でも早くファトマに会いに行ってください。 追記:「オリーブジャーナル」をご存知ない方がいらしたら、ぜひ検索してみてください。日本からできることをまとめてある、パレスチナ関連アクションが日々更新されているすごいサイトです!

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Mejiro

5.0「メディア」の存在意義を示してくれた大切な作品

2025年12月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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悲しい

怖い

ファトマのことは日本語のネットニュースで「知っていた」つもりだった。
ガザの惨状も「知っている」つもりだった。
でも、実際は何も「知らなかった」。
自分が「全然知らない」ことに気づいていなかった。

まだ20代の若きフォトグラファー、ファトマは激しい攻撃を受け続けるガザに留まり、生まれ故郷の酷い惨状を、そしてそんな死と隣り合わせの〝地獄のような〟街で懸命に生きているガザの住人たちを撮影し、SNSで発信し続けた。
世界にガザの真実を知ってもらいたいという一心で。
いつか平和が訪れることを信じて。

私はファトマを「知っていた」。「知っている」つもりだった。
それは彼女が母国の状況を世界に発信している報道カメラマンであり、爆撃により亡くなったということ。
ガザでは報道メディアが攻撃対象となっているということ、彼女も同様の理由で狙われたのではないかということ。
(映画のテロップでは211名ものメディアクルーが亡くなっていると表示されていた)

今、私たちを囲い込むメディアは「とにかくクリックさせることを最優先」に考えた、デフォルメされたニュース情報を拡散している。

大小限らずほとんどのメディアは、「真実かどうか」というファクトチェックや「メディアとしてどう発信すべきか」という矜持はなく、ただただ〝資本主義原理〟で活動している。
大袈裟な見出しを立て、多くの人が興味をそそる切り口でニュースのごく一部分を強調して「とにかくPVを稼ぐ」ことしか頭にないのは、今やネットメディアだけでなく、テレビでも新聞でも同じだ。

そんな偽りの情報をメディアから得て、私は世界のいろんな出来事を「知っている」つもりで生きてきた。

そんな無知な私の頬を、この映画が思い切りぶっ叩いてくれた。

私たちが東京で窓に映った無表情な顔を眺めながら満員電車に揺られているこの時、パレスチナやウクライナでは、兵士たちだけでなく、私たちと同じ普通の人たちが次々と殺されている。

ファトマは、戦争前は自然や人物を撮影するフォトグラファーで、将来は海外で写真についてもっと学び、美しい祖国を写真に収め、祖国の素晴らしさを遺すことを夢見ていた。

ファトマがモノクロの、時に鮮血が散る恐ろしい事実を被写体にし始めたのは、戦争が起こってから。
もし戦争が起こらなければ、もしかするとファトマは戦争フォトグラファーとして注目されることはなかったかもしれない。
けれど、自然豊かな祖国の素晴らしさを遺す写真家として充実した活動を送っていたはずだ。

映画のほとんどのシーンで、ファトマは満面の笑顔でガザについて、自身の生活について途切れ途切れのスマホ越しに語っていた。
けれど、戦争が長引くと、ファトマの表情が暗くなり、弱音を吐くようになっていく。
そんな戦地で暮らす彼女の変化は、どんなネットニュースからも得られない真実を語っていた。

映画鑑賞後、どうにかしてこの作品をより多くの人に観てもらいたい。
観てもらって、ガザのことはもちろん、自分たちが住んでいる国や街についても、上っ面でなく、リアルな姿に目を向けてほしい。

カタルシスはなく、刺激に弱い人にとっては直視できないシーンもある作品だけど、これぞ「メディア」だと強く感じた素晴らしい映画だった。

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livest!

5.0文句なし!映画鑑賞の範疇を超えた作品

2025年12月5日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

文句なし!映画鑑賞の範疇を超えたドキュメント作品である。題名も素晴らしかった。この題名を考えたこの作品の日本配給会社も◎。現在進行形のイスラエル、ガザ問題。監督とパレスチナ人女性ファトマとのスマホ電話でののやり取りを記したドキュメントだが、とにかくやり取りが言葉出ない。ガザのリアルがここまでだったとは想像もつかなかった。今年の5月までやり取りしていた事に驚き。ファトマにぜひカンヌ国際映画祭を見せてあげたかった。今、世界がこのような状況だからこそ考える価値がある。特にサナ活、推し活に燃えている女性はファトマの気持ちになって観てほしい。考えさせられる作品です。おすすめします。

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ナベさん

5.0「レビュー」書けない

2025年12月5日
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鑑賞方法:映画館

ファトマの言葉のひとつひとつ、彼女が撮影した写真、彼女の歌、彼女の笑顔とユーモア。それを書き出して思うことしかできない:一切れでいいからチョコレート食べたい!そうだなあ、ローマに行ってみたいかなあ。美術館に行ってみたい。ママのお料理、チキンを長いこと食べてない。コロナの頃?幸せだった!通信環境はよかったし、ラップトップで仕事できたし、モールス信号も学んだよ!それにセピテも共感;投獄された時にモールス信号を勉強して隣に入れられている人と壁越しに意志疎通した。

タバコ1本が50ドルもするんだよと笑うファトマ。紙幣の裏に描かれている女の人の顔をめているんだけど、これはイスラエルのお金、どうしてだろうとファトマは独り言のようにつぶやく。病院も、シェルターでもあった受けた。一日中、夜中もずっと、飛行機音や爆音が聞こえて、そういう状態が日常になって、落ち着いて考えることができなくなった、考えがまとまらない。でも写真は撮り続ける、私が撮らなくては。みんなに見てもらうために。彼女が写すガザの町、人々、老人、子どもたち、血痕。瓦礫の山と無惨に爆撃を受けた建物、こちらを見つめる子どもの目。ファトマの故郷でファトマにとって世界一大切な居場所、ガザ。

24歳のファトマはスマホの向こうのセピデとビデオ通話をする。ファトマのヒジャブは濃い色、明るい色、小花柄といろいろで美しい。彼女は背が高いので年齢より大人に見えるから、ママに言われて13歳からヒジャブを身につけている、ヒジャブ着用は人それぞれ、家庭によっていろいろだよ、とヒジャブについて質問してきたセピデに説明する。ファトマは、画面越しにセピデの顔を認めるとすぐに太陽のような笑顔を見せる、最初から最後まで。私たちもファトマの笑顔につられて笑顔になる。友達が殺されても、お腹がどんなにすいていても、シェルターの中にいても、セピデに最初に見せるのは太陽の笑顔。自分が生まれ育った町ガザが自分の故郷で一番大事な場所。だからどこかに逃げたいとかは思わない。目がキラキラして笑顔のファトマは、セピデを慕い彼女との会話から知識と励ましと外の世界との繋がりを得てそれを力にしていることを私たちは感じる。ガザとファトマの為に何もできない無力感に襲われるセピデ、彼女はファトムを、彼女とのやりとりを映画にしてみんなに示してくれた。私は何ができるのだろう、

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talisman