日記 愛する人たちへのレビュー・感想・評価
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ユリの成長とハンガリーの命運が重なる、愛すべき第二章
モノクロからカラーになり、ビジュアルが映える。
ソ連の同盟国として翻弄されるハンガリーの歴史をなぞりながら、主人公ユリの成長を重ねていく。
社会科の教科書でサラッと記述されていた東欧の戦後史が、庶民レベルでよりリアルに追体験できる。
ユリの射抜くような眼差しは前作から変わらないが、キリリとした表情に逞しさが加わる。
そして史実やエピソードだけでなく、微妙な心の描写も忘れていない。
例えばユリとヤーノシュと息子のアンドラーシュの微妙な関係性。ユリがヤーノシュにファザコン的感情を抱いているのは間違いないが、ヤーノシュの不在時には歳の近いアンドラーシュともいい仲だった。
ヤーノシュが釈放されて戻ってきた時、この思慕の情、若者同士の恋情、そして親子の愛が三様に複雑に描かれる。繊細で素晴らしい場面である。
ユリはハンガリーとソ連を何度も行き来するが、最後に滞在中のソ連から出国出来なくなる。1956年のハンガリー動乱だ!そして終章への流れ込む怒涛のこの切り方。「ロード・オブ・ザ・リング」ばりのラストシーンである。
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