ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー(仮題)

劇場公開日:2026年

2025年製作/110分/ブラジル
原題または英題:Milton Bituca Nascimento
配給:リアリーライクフィルムズ、Palmyra Moon
劇場公開日:2026年

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(C)2025 Canal Azul, Nascimento Música, Gullane / ReallyLikeFilms

映画レビュー

2.5 熱狂的ファンが見れば十分満足できる内容なのだろうが…

2025年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原題タイトルにある「ビトゥーカ(Bituca)」とは、ブラジリアン・ポップスの巨人ミルトン・ナシメントのニックネームだ。子供の頃、機嫌を損ねた時に唇を尖らせる癖(いわゆるふくれっ面というやつだ)を指して「ビトゥーカ」とあだ名をつけられたのが由来だとか。ナルホド。

本作は、そんな彼のフェアウェルツアーに密着し、彼のワン・アンド・オンリーな音楽性や人となりを浮き彫りにする——はずだったのだが…。

全編これ「予告編」といった感じのシーンの繰り返し。ありがちな、少年期の想い出にまつわる再現ドラマの挿入。単なるフォトセッションにしか見えないミルトン本人の静止画的アップショット。顔見世的な印象が強いビックネームたちのインタビューコメント…。そんな映像が115分間えんえんと続く。

こんなありきたりな編集で見せられるくらいなら、いっそのことフェアウェルツアーの中からどこか一か所に絞って、そのライヴ模様を楽屋裏からリハ、本番ステージに至るまでじっくり映し出してくれた方がどんなによかっただろう。

劇中、座ったままのミルトンがほぼ板付きに近い状態で歌っている様子が何度も出てくる。その感動的なステージパフォーマンスを「動きに欠ける」「絵的に退屈だろう」と判断し、先のような構成・編集を採ってしまったのか。
本人が歌う楽曲の数々をフル尺で聴かせてくれないのも、そんな同じ理由からか。あるいはクリアできない著作権などの法的問題でも残っていたのだろうか。

…とまあ、実に残念な仕上がりに、いろいろ邪推が止まらない。とにかく好事家が見ればそれで十分、といった内容のドキュメンタリーだった。

ついでにひとつ、個人的に「おっ」と思ったシーンのことも書いておきたい。それは、ミルトンが長年闘病中のウェイン・ショーターの病床を訪ねるくだりだ。心なしか目の焦点が定まらない老いたショーターのアルカイック・スマイルが、ちょっとした衝撃だった。

以上、特集「TIFF/NFAJクラシックス ブラジル映画週間」にて鑑賞。

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