劇場公開日 2025年12月19日

「安っぽいラブストーリーかと思いきや・・・」楓 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 安っぽいラブストーリーかと思いきや・・・

2025年12月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ドキドキ

今週は“楓”、“新解釈・幕末伝”、“アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ”の3本の新作を観たが、当たりの週だった。 まずは“楓”から書いていきます。

福原遥は嫌いではないが、興味は薄い。助演としてなら良いが、ヒロインとしての魅力は物足りないというのが俺の持つ福原像。また、予告編で示される「双子の兄が亡くなった恋人になり替わる」という設定がちょっと面白うと思う一方で、安っぽい安易なラブストーリーを予感させた。

そう思っても観るのは俺くらいか(笑)
「じゃあ、なんで観たの?」と聞かれたら、何に期待して観たのか自分でも答えられない。でも、「期待できない」と思って観た映画が「意外に面白かった」がしばしば起きるのが映画の面白いところ(笑)

【物語】
須永恵(福士蒼汰)と恋人の木下亜子(福原遥)は星を見るという共通の趣味を持っており、あるときニュージーランドのある天体観測地として世界的に有名なスポットへ車で向かっていた。ところが目的地が間近に迫ったところで対向車がセンターラインを越えて二人の乗る車に突っ込み、恵だけが命を落とす。

恵には双子の兄涼(福士蒼汰)がおり、亜子の様子が気になった恵は怪我から回復した亜子を訪ねる。しかし、精神的混乱から抜け出せていない亜子に「恵!!」と迎えられた涼は真実を伝えることができなかった。涼は亜子の前では恵、家を出ると涼として仕事に向かう二重生活を送り始める。

【感想】
前述の鑑賞前の「安っぽい」という予感についてもう少し書くと、思いつきはいいけど現実にはあり得ない、リアリティーのないご都合主義の展開になっているのではないかと思った次第。 実際、序盤は「そんなことある?」の連続。例えば「いくら顔がそっくりでも、話せば別人であることはすぐわかるだろう」「閉鎖された世界に暮らしているわけでもなく普通に暮らしていて別人であることを隠し通せるものか」等々。ところが、ところがである、中盤以降二人のそれまでの経緯や過去が明かされて行くと、抱いていた疑問が「ああ、それなら有るか」ひとつまたひとつと消えていった。

そして、終盤に至る頃には俺の頭に渦巻いていた「嘘っぽいこと」は見事に消滅。
リアリティーだけでなく物語としての結末も
「お、これいいね」
と思える素敵な終わり方。観終わってみれば、「これまで俺が観て来た邦画ラブストーリーの中でも指折りの秀作かも」に変わってしまった。

ここまで褒めてしまうのは、あの予告編がミスリードしてくれたお陰で観賞前のハードルが思いっきり下がったからこそ。 そう考えると予告編制作者の意図的ミスリードなのかも知れないと思い始めた。俺的には「予告編制作者ありがとう」なのだけれども、予告編観て「ああ、安っぽいラブストーリーだな」と観賞をやめた人も多そう。そういう意味で予告編はなかなか難しい。見どころを見せ過ぎて観賞時の楽しみを奪うのは持ってのほかだが、過剰に期待を持たせると観賞後のガッカリ感を生むし、逆に期待を削げば観てもらえないし・・・
それでも最近はSNSのクチコミが興行に大きく影響するようなので、観た人が「観て良かった」につながる予告編を作ってくれる方向に流れて行くとありがたい。
そういう意味で本作は、興行的には地味なスタートだけれども多くの方に観て頂きたい作品としてお勧めしたい。

もう1つ印象に残ったこととして、エンドロールで映される二人が訪れたニュージーランド天体観測スポットの星空が感動的! 必ずや行きたくなります。
エンドロール開始と共に席を立って見逃さないようにご注意を。

泣き虫オヤジ
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