「劇場を出ても、何かが続いていた」無こその存在 あるいは鮎子の人生 ばななさんの映画レビュー(感想・評価)
劇場を出ても、何かが続いていた
※公開前劇場試写にて鑑賞
見終わったあと、しばらく黙って歩きたくなるような、そんな映画でした。
iPhoneで撮影されたという映像には、どこかドキュメンタリーのようなリアリティがあり、街の空気感や人物の佇まいが生々しく伝わってきます。
タイトルにもある「無こその存在」という言葉の通り、誰にも理解されないと感じている主人公・鮎子の姿が心に残り、彼女の行動は、ある種の“心の衝動”そのものとして描かれていたように思いました。
鮎子を演じた佐久間あゆみさんの存在感も強く、特に、他人を信用していない彼女がひとりのときにふと見せる表情に、ただの孤独ではなく、「どこにでもいる普通の女の子」としての輪郭が浮かび上がっていたのが印象的でした。
また、ディエゴ・マルティーナさん演じるレオの存在も、日本文化に親しみながらも日本社会ではどこか異質であり、鮎子の孤独と静かに共鳴していたように感じました。
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