劇場公開日 2006年2月11日

「袖すりあうも他生の縁…がまさかの展開」クラッシュ(2005) とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0袖すりあうも他生の縁…がまさかの展開

2024年1月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

泣ける

難しい

萌える

同じ街に暮らしながらも、それぞれ生きる場が違う人々。単にすれ違っただけの人もいれば、偶然の玉突きのような出会い・連鎖が、その人の人生を大きく変える。人生を立て直す人、取り戻す人、堕ちていく人…。

たくさんの糸が見事によりあわされて。
時に手に汗握り、時に癒され心が温かくなり、時に唖然とする。

個人的には天使のマントが好きだな。オチはやっぱりと言う感もあるけど、とても心に残る。

ラストのキャメロン・クリスティン夫妻、アンソニーがいい顔してますねぇ。
                 (テレンス氏&タンディさん、クリス氏)
グラハム。心が張り裂けそう。
           (ドン氏の表情がいい)
ハンセン。ちょっとしたタイミングが違ったら結末は変わっていたと思うと、悔やみきれない。けど、その後の行動が…。あるよな人間には、こういうの。
               (ライアン氏はこういう役やらせるとハマる)

他のレビュアーの方が言うように、ここまであからさまな差別や犯罪は日本には無いのかもしれない。
 でも、教育格差等で、アンソニーらのように犯罪の周辺でしか生きられないと思い込んでいる子どもたちは日本でもすでに存在している。
グラハムとその母の関係は日本でもよく見かけ、胸が引き裂かれそうだ。
 それに、
 もし、あの時、私なら…決して他人事ではないエピソードの数々。常にイライラしている私。周りに気を使っていないように見せて気を使って日々を過ごしている私。ああ、ここに登場している人々のある部分は私だ。
 どうせ縁を結ぶなら他生になるようにしたいと日々反省はしているけど…。

ラストは決してハッピーエンドばかりではないのだけれど、優しい音楽に包まれて「良い夢を」と本を閉じたくなるような終わり方。

ロスアンゼルスに生きる、ある人々の2日間を切り取った映画です。
最初は苦いけど、上質な酔いを堪能できます。

秀逸です。ぜひご覧ください。

とみいじょん