劇場公開日 2006年2月11日

「その人を知ろうとする勇気」クラッシュ(2005) きーとろさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0その人を知ろうとする勇気

2019年11月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

群像劇による、多視点からの「衝突(クラッシュ)」。日常に潜んだ人種差別や偏見を浮かび上がらせた、社会派な作品でした。

序盤は不安と怒りの感情が目立ち、あからさまな人種差別発言や外見からくる偏見に、観ているこちらももやもやしてしまうのですが、中盤以降からは各登場人物が繋がったり、様々な展開に目が離せませんでした。
最初は酷いことを口にする悪い人物に見えても、後々事情が見えてくると感情移入できるようになっていくのもおもしろかったです。絶対的な悪人がいないのが素晴らしい。人は一面だけでははかれないと改めて思いました。
人によってグッとくる人物が異なりそうなのもいいですね。個人的にはグラハム、ライアン、ダニエルが特に心にきました。トムには考えさせられました。

グラハムとリックのやりとりがわかりにくく感じたので、そこだけ注意した方がいいかもしれません。

私自身は衝突を避けてしまう方なのですが、勇気を出してぶつかることも時には必要だと思わせられました。自分を出すことで、相手に自分をわかってもらうことも必要なのかなと。そうしたやり取りの中で、徐々に相手のことも見えてくるのではないかと思いました。

未知への不安や恐怖からくる差別や偏見は、完全に無くすことは難しい。だからといって避け続ければ、その溝が埋まることはない。衝突することでその人と分かり合えたり、自分自身が得られるものもあるのだろうと考えさせてくれました。
いい作品です。

きーとろ