劇場公開日 2005年10月22日

「ティム・バートンの今後を見守る、という楽しみ方もあるのでは?」ティム・バートンのコープスブライド ダース平太さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ティム・バートンの今後を見守る、という楽しみ方もあるのでは?

2009年2月5日

笑える

楽しい

評論家筋では、「あのティム・バートンが大人になってしまった」と、作品の評価とは少し外れた部分で、寂しさを感じる人も多かったようだけど、結婚をし、子供を授かって父親になったバートンが、何をどのように捉え、映画化したかを見守るという映画の楽しみ方もあるのでは?なんて思いました。

 かの黒澤明も「晩年の作品はつまらない」と言われることが多いけど、全盛期のパワーを80を過ぎても発揮できる人など、まずいないのであって、完成した映画を見届けることしかできない観客の僕らは、「80を過ぎた黒沢監督が、何を考え、どんな映画を作りたかったのか」を見届ける、という楽しみ方もあると思うので。これと同じことがバートンや他の映画作家にも言えるんじゃないかな。観客自身も、自分が歳を重ねていくと、同じ映画でもまったく感じることが違ってくるだろうし。

 で、本作の話に戻るが、何よりバートンが我が子のために作ったことが強く感じられる作品なので、全編に愛情を感じられた。そして何より最大の魅力は、バートンが描いた死後の世界。歌と踊りと美酒美食、そしてガイコツになってしまったとは言え、子供の頃に愛したペットとも再び再会できるのだから、映画を観た人は「あんな死後だったら、いいかもなぁ」と、思うこと請け合いだ。まあ、それでも死にたくはないだろうけどさ。

ダース平太