ローズ家 崖っぷちの夫婦のレビュー・感想・評価
全72件中、21~40件目を表示
オリヴィア・ゴールドマンで評価が分かれる
スタッフ、キャスト、そして製作スタジオから察して、インテリ中高年層向けコメディだと思っていたが、その通りの映画だった。
脚本はオリヴィア・コールマンを想定して書いてる感じで、彼女はその期待に応えた見事な演技。映画ファンならそれを観るためだけに映画館に行っても良いと思う。
だがしかしこの映画の最大の欠点はオリヴィア・コールマンなのだ。理由はハッキリと言えないが、彼女が出てくると途端につまらなくなる。ケイト・マッキノンとベネディクト・カンバーバッチの絡みなんてクスクスするけど、そこにオリヴィア・コールマンが加わると笑えなくなってしまう。
映画で一番難しいのはコメディとよく言われるが、どんなに素晴らしい脚本でも何がが狂うと全く面白くなくなる。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主役交代劇は有名だが、作品の本質に主役が合わない、または共演者と息が合わないとなど、コメディにおける役者は最重要。オリヴィア・コールマンがこの映画の本質に合っておらず、そのため、悲劇と喜劇は紙一重とも言うが、その間を行ったり来たりのどっちつかずの展開になってしまって、この映画をどんな角度から観て良いのか分からなくなってしまった。
でもまたコメディは観客のセンスも問われるので、この映画を心の底から楽しんだ人もいても全く不思議ではなく、むしろ己の底の浅さが悔しい感じも。
因みにオリジナルの「ローズ家の戦争」は大好きで、華やかなスターが見せるあざとい笑いが俺の性には合っていた。
サタデー・ナイト・ライブ出身のコメディアンがスクリーンを賑わせ、センスある観客で埋め尽くされた銀座の映画館の椅子が、観客の笑いでリアル4Dになった時代が懐かしい。
熟年カップルの下ネタバトル
アメリカに移住した熟年カップルの離婚バトルをコミカルに描く。あんま笑えないけど。
日本人夫婦はセックスレスと言うけど、欧米人夫婦は、だいぶガツガツしてるようですね。
しまいに友だち同士でもパートナーのプライドを傷つけるような自虐下ネタ言いまくったり、友だちの旦那に欲情したりする奥さんいたりでさすが肉食だと思わせる。シーフードレストランだけど。
子育てとか共働きとか、主夫とか現実的な課題も描いてるけど、結局仲違いの決定打も下ネタの口喧嘩でもうぼちぼち飽きた頃に、衝撃のラスト。
畳み方はなかなか渋い感じで悪くない。
映画では一切描かないけど、逆説的に相手を思いやる気持ちが大事だと気付かされる。
子供が出て行ったら夫婦は・・・
イギリスのロンドンで出会い、アメリカに移住した建築家のテオ(ベネディクト・ガンバーバッチ)と料理家のアイヴィ(オリビア・コールマン)は、順調な仕事と可愛い2人の子どもに恵まれ、理想的な夫婦だった。ところがある時、テオの建てた幌付きの建物が暴風雨の時に設計倒壊し、設計ミスにより彼の建築家としての仕事が無くなった。一方、アイヴィの店は有名な料理評論家に絶賛され、予約も取れないほどの大人気店となった。そして、仕事がなくなったテオは家事・育児を担当し、子供をトレーニングしながら鍛えていた。このことをきっかけに、2人の関係は崩れだし、妻はどんどん支店を出し仕事に没頭し、夫は家事と子育てで子供の悩みも相談を受けていた。数年後、13歳になった子供たちはフロリダのスポーツアカデミーに入る事になり、家を出て行った。2人きりになった夫婦は、だんだんと相手に対する不満や嫉妬、軽蔑などが現れてきて、最初は嫌味を言い合う程度だったが、次第に口論、罵り合い、店の邪魔、建築家生命を断つようなフェイク動画の拡散、そしてナイフや銃まで持ち出す大喧嘩へと発展した。互いに一歩も引かず、攻撃し合うことになった2人は、命懸けの大喧嘩を繰り広げていき・・・さてどうなる、という話。
前作、ローズ家の戦争は未鑑賞。
最初の頃の立ちションする子供、内股貸すよ、という下品なエイミーなど、笑わせてくれた。
喧嘩と言ってもほとんどラストだけで、アイヴィは店の支店を何件も出し、経済的に家族を支え、夫が作りたいと思ってた家を建てさせてあげ、頑張ってたと思う。
テオは子供が出ていき、夫婦2人になってから、やはり仕事がしたかったのだろう。2人とも離婚したいと思うに至る気持ちはわかるが、離婚しようとしてる夫婦が離婚協議中に一緒に住む、ってありえない。
あんな立派な家をもらって1人で住んでも虚しと思うけど。
妻はただ単に夫の邪魔をしたかっただけかも。
いい日だけ見ろ、と弁護士の友人に言われてた様に、パートナーの悪いところを見だしたらキリが無い。良いところだけ見る様にすれば良いのに、と思った。
で、あれほど拘ったお気に入りの家は漏れてたガスで・・・というラストは笑うところだろうが、悲しくなった。
オリビア・コールマンとベネディクト・カンバーバッチの夫婦は2人とも芸達者でさすがだった。
エイミー役のケイト・マッキノが下品で面白かった。
良くもなく悪くもなく…
砂浜に打ち上げられた鯨を夫のテオ・ローズが仲間を集め助けたことがきっかけで妻のアイヴィ・ローズと仲直りをすると思いきや離婚を切り出す夫。
面白くなってきたぞ!と、どういう結末を向かえるのかワクワクして観てましたがなんだかモヤモヤ感が残る結末でした。
ベネディクト・カンバーバッチとオリビア・コールマンの息の合った演技は見ものです
軽口と余計な一言と、皮肉と中傷の間には色んなものが詰まっていますね
2025.10.30 字幕 イオンシネマ四條畷
2025年のアメリカ映画(105分、PG12)
1989年の『ローズ家の戦争』のリメイク映画
缶とkはジェイ・ローチ
脚本はトニー・マクナマラ
原題は『The Roses』
物語は、イギリスのロンドンにて、建築家として活躍しているテオ(ベネディクト・カンバーバッチ)が描かれて始まる
彼は建築されたマンションのバルコニーが気に入らなかったが、ボスたちに負けて、それを採用せざるを得なかった
その場に居られなくなったテオは厨房へと逃げ込み、そこでシェフのアイビー(オリヴィア・コールマン)と出会った
彼女も自分の案が採用されずに悶々としていて、近くアメリカに渡ることになった
テオは咄嗟に「ついていっても良い?」と聞くと、彼女は「セックスもしていないのに?」と見つめ返す
シンパシーを感じた2人はそのまま貯蔵庫に駆け込んでセックスを始めてしまった
それから10年後、2人にはロイ(オリー・ロビンソンズ、青春期:ウェルズ・ラパポート)とハティ(デラニー・クイン、青春期:ハラ・フィンレイ)という2人の子供がいた
順調に思えた生活だったが、台風によって壊れた博物館の事故をきっかけに、立場が逆転してしまう
テオは失職状態になり、アイビーの店は評論家のレビューによって大盛況となった
そこでアイビーは、店を大きく展開する代わりに自分が家計を支えると言う
そしてテオは専業主夫となって、子どもたちの面倒を見ることになったのである
映画は、その後も子育てに専念するテオを描き、アイビーの店はますます発展していく
そんな折、アイビーはテオに自分たちの家を建てて欲しいと言い、彼はそれに夢中になっていく
やりがいを取り戻したテオだったが、アイビーの稼いだお金を湯水のように使い出し、さらに関係が悪くなってしまう
物語は、皮肉混じりのウィットな会話が徐々に歯止めが効かなくなり、それが攻撃的になっていく様子が描かれていく
仕事によって子どもとの距離ができてしまうアイビーはテオの子育てに文句を言い、さらに悪態を続けていく
子どもたちの態度もさらに悪くなり、それがアイビーの神経を逆撫でする
子どもたちはテオに馴染んでいき、さらにアイビーは仕事にのめり込んでいく
アイビーは家事をしてくれているテオへの感謝を忘れ、畳んでいた服を床に置いたりとテオの感情を逆撫でする
彼女なりにプレゼントを渡したりするものの、態度は徐々に傲慢になっていき、周囲が感じるほどに夫婦関係は悪化していくのである
映画の冒頭はカウンセラー(ブレンダ・プロミロウ)との会話になっていて、そこでは修復不能と言われてしまう
だが、本音をぶちまけ、お互いに愛情を持っていることを感じたことによって修復への兆しが見えてきた
だが、それまでの行動は彼らに審判を与えるかのように、ある出来事を誘発してしまった
映画でははっきりと描かれていないが、誰でも想像がつくエンディングとなっていた
映画には3組の夫婦が登場し、テオの弁護士となるバリー(アンディ・サムバーグ)とエイミー(ケイト・マッキノン)の夫婦、建築家時代の同僚サリー(ゾーイ・チャオ)と彼女の夫ロリー(ジェイミー・デメトリウ)の夫妻だった
バリーはセックスレスのようで、大麻依存症のエイミーに手を焼いている
サリーはアイビーと同じように成功し、夫を召使のように罵倒する
テオ夫妻も事あるごとにセックスの話を持ち出し、関係性はサリー&ロリーと似通っているが反応は全く違う
そこに愛があれば問題ないと言うものではなく、むしろ愛情と夫婦生活は別物であるようなメッセージがあった
バリーもロリーも妻の無茶苦茶さを受け入れているのだが一線を超えないようにコントロールしていた
エイミーは不倫はしないが一夜だけは女になりたいと考えているし、その欲求をバリーは知りつつも無茶はさせていない
そういったところに夫婦間の相容れぬ何かがあって、彼らも幾度となくあった危機を乗り越えてきたのではないだろうか
いずれにせよ、リメイク元とは「夫婦の致命的な戦争状態」以外はかなりのアレンジが入っていて、イギリス人夫婦がアメリカでおかしくなると言う設定を存分に活かしていたと思う
仕事と家庭の両立さは困難なものだが、その根底には夫婦間の風通しの良さと言うものは必要なのだろう
愛情があっても表現が足りないとうまくいかないと言う典型だが、この2人には「余計な一言が多すぎる」ように思う
イギリス人特有の「抑制」が結局は別の形で露出していて、それが嫌味となって随所に出ていた
夫婦間だけではなく、友人たちにもそれが波及するのだが、アメリカ人が2人の軽口を真似ると「誹謗中傷」になっているところが面白い
テオたちにはそれがウィットな会話だと思っているのだが、それが間違っていることを友人たちは伝えようとしている
この軽口が真剣な話も茶化すことになり、双方の聖域というものを汚している
何気ない会話の先にある関係性というものは崩れやすく、そう言ったものの大切さというものを伝えているように思えた
夫婦
最期の結末を見たいと思う人はあまりいないはず
ウィットに富んだ台詞の応酬と、エッジの効いたラスト
【イントロダクション】
完璧な結婚生活を送っていた夫婦が、互いの立場が逆転した事を皮切りに次第に不仲となり、やがて命懸けの夫婦喧嘩に発展していく様子を描くコメディ。
ウォーレン・アドラーによる1981年の小説『ローズ家の戦争』及びそれを原作とした1989年のダニー・デヴィート監督による同名映画のリメイク。原作タイトルは、夫婦仲の亀裂とそれによる争いを中世イングランドの薔薇戦争(1485〜1487)にたとえた洒落である。
夫婦の夫・テオ役に『ドクター・ストレンジ』、『アベンジャーズ』シリーズのベネディクト・カンバーバッチ、妻・アイビー役に『リトルハンプトンの怪文書』(2023)のオリヴィア・コールマン。
監督に『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(2015)のジェイ・ローチ。脚本に『クルエラ』(2021)、『哀れなるものたち』(2023)のトニー・マクナマラ。
【ストーリー】
イギリス、ロンドン。建築家のテオ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、自身のアイデアを却下して建築されたマンションの祝賀会を抜け出し、迷い込んだ厨房で料理人志望のアイビー(オリヴィア・コールマン)と運命的な出会いを果たす。アメリカに移住して自身の店を持つ事を夢見るアイビーに、テオは一緒に移住する事を提案し、2人は結ばれる。
10年後のアメリカ、カリフォルニア州メンドシーノ。夫婦となったテオとアイビーは、双子のハティ(ディレイニー・クイン)とロイ(オリー・ロビンソン)と共に、幸せな家族生活を送っていた。しかし、2人の子育てスタンスは異なっており、デザートや楽しい遊びで子供を甘やかすアイビーに対して、テオは健康志向のスタンスを取っていた。子育ての為に料理人の夢を諦めていたアイビーに、テオは海辺のレストランをオープン出来るように手配する。テオは自身の手掛けた船をモチーフにした海軍歴史博物館の建築を果たし、仕事は順風満帆に思われた。
ある激しい嵐の晩、テオの設計した博物館は彼が忠告を無視して取り入れた帆の設計ミスによって倒壊してしまう。一方、アイビーの店「カニカニクラブ」には嵐で足止めを食らった人々が避難場所として次々と集まって来ていた。そして、その中には有名な料理評論家の姿もあった。
後日、テオは自身の設定ミスによって会社からクビを宣告され、対するアイビーは料理評論家の絶賛レビューによって店が瞬く間に人気店となる。アイビーは、テオが新しい仕事を探すまでの間自身が家計を支える事を提案し、テオはアイビーから家事と子育てを引き継ぐ事にする。テオは自身の方針に従って子供達に厳しい食事制限とトレーニングを施し、アイビーは子供達から疎外されていくようになる。アイビーが華々しく成功していく反面、テオは彼女への嫉妬心を抱いていった。
互いに夫婦関係に亀裂を感じていた2人は、夫婦だけのニューヨーク旅行やカウンセリングを受けるが、関係は次第に悪化していく。相手への憎しみが募り、原因を相手のせいにして互いに謝罪せず譲らない。そんな中、アイビーは結婚生活を修復する最後の手段として、テオに新しい家の設計と建築を依頼する。だが、拘りの強いテオは庭に埋める苔にまで予算を掛け、出資者であるアイビーを困惑させる。
3年後、無事に家は完成し、13歳となったハティ(ハラ・フィンリー)とロイ(ウェルス・ラパポート)はスポーツ奨学金でマイアミの学校へ入学すべく両親の元を離れる事になる。しかし、子育てから解放された事により、アイビーとテオの仲には更なる亀裂が生じていく。
【感想】
事前情報として、「過激な夫婦喧嘩を扱った1989年作品のリメイクである」という程度の情報しか持たずに鑑賞した。なので、冒頭の製作会社クレジットで、本作がインディーズ映画やアート映画製作を行う「サーチライト・ピクチャーズ」作品だと知って驚いた。しかし、内容的にもビジュアル的にも、なるほどサーチライトらしい作品だなと感じた。
原作及び旧映画版は未読・未鑑賞だが、夫婦間の亀裂を扱ったコメディとして楽しく鑑賞出来た。テオの建築やアイビーの料理等、美術にも非常に力が入っており、全編渡ってオシャレな雰囲気が漂っていてビジュアル的にも楽しい。反面、誰も彼も台詞は下ネタや暴言のオンパレードで、夫婦喧嘩は容赦無しレベルにまで発展していくというギャップが楽しませてくれる。
夫婦喧嘩の内容も、AIを用いたディープフェイク映像や音声認識家電を用いた注文キャンセル等、現代的な要素も含んだものが盛り込まれており、時代を感じさせる。やっている事が洒落にならない犯罪なのも笑わせてくれる。
テオの建築した博物館の倒壊映像がネットミーム化するというのは、現代ならではのギャグで面白かった。
ビジュアル的には、純白のナフキンに描かれて紡がれていく2人の出会いと亀裂を表現したオープニングアニメーションから既にオシャレ。
テオの建築する海軍歴史博物館も、船をモチーフにしたデザインは面白いと思ったし、アイビーとの理想の家は思わず憧れてしまう。
アイビーの作る料理も美味しそうで、子供達とお菓子作りをしている姿は微笑ましい。
ベネディクト・カンバーバッチは、神経質で意識高い系の建築家を好演している。子供達をスポーツマシーンに育て上げる件は笑えるが、しっかりと子供達の才能を開花させたという意味では良い父親と言えるかもしれない。反面、建築家としての才能は、その拘りの強さが裏目に出る自己満足意識の強さも感じさせ、マンションのアイデアを却下されていた冒頭からも実力的には怪しい気もする。
「大丈夫。倒れない。帆のバカ野郎」
対するオリヴィア・コールマンは、家庭的で優しい母親ながら、子育てに関してテオと衝突した際の表情には、ちょいヒステリックな印象も抱かせる。また、何処となく『リッツ』のCMの沢口靖子を彷彿とさせる。
しかし、ベネディクト・カンバーバッチと比較すると、まだ10歳の子供を持つ親にしては少々老けて見える気もする。作中の設定がどうかは分からないが、ベネディクト・カンバーバッチの実年齢が49歳なのに対して、オリヴィア・コールマンは2つ年上の51歳。だが、2人が並ぶとそれ以上の年齢差を感じさせる気がした。晩婚化する昨今、歳の差婚も妻の方が年上でも何ら問題はないのだが、何処か不釣り合いな夫婦に見えたのは私だけだろうか。
ウィットに富んだ台詞のやり取りも面白く、テオとアイビーの出会いから既に
「セックスもまだなのよ」
「これからするさ」と、キレキレ。
夫婦仲が険悪になってからの
「たまにアナタのが入ってるのか分からない時があるわ」も強烈。
アイビーが自身のレストランの倉庫で致している従業員を発見した時の
「衛生管理上、お互いの身体以外には触らないでね」は笑った。
【夫婦生活を通して描かれる、人間関係の複雑さ】
以前、職場の先輩に「(夫婦生活における)“愛”って何ですか?」と尋ねた事があるのだが、その先輩は「我慢」だと答えた。
テオが友人のバリー(アンディ・サムバーグ)に、妻のエイミー(ケイト・マッキノン)と何故別れないのか聞いた時、彼は「惰性だ」と答える。
しかし、先輩は何だかんだで奥さんを愛しており、休日は一緒に出掛けている。バリーにしたって、エイミーがテオに度々気がある素振りを見せたり、オープンマリッジを提案しようと、決して見捨てる事はせず、心の奥底では彼女を愛しているのである。
恐らくだが、両者ともそこには「相手に求め過ぎない」という思いがあるのではないだろうか。
テオとアイビーは、互いに相手に「自分を見てほしい」と求め過ぎてしまっていたのが夫婦仲を悪くする要因だったのではないだろうか。お互いに被害者意識を第一に持っており、だからこそ、カウンセリングで指摘されたように「相手に謝罪する事が出来ない」のである。
また、別の先輩は「カップルにしろ、夫婦生活にしろ、男女関係はどちらかの相手への思いがより多くの比重を占める。そのバランスが互いにとって理想的なものならば関係性は上手く持続していくが、バランスが崩れれば別れや離婚に繋がる」と話していた。
テオとアイビーの場合、一見上手く行っていた夫婦生活が、家計を支える役割と子育ての役割が入れ替わった事で次第にバランスを崩していく。
テオは、職を失うまで「家計を支えるのは自分の役割」だと信じて疑わなかっただろうし、だからこそアイビーの夢をサポートする余裕すら見せる。「君の夢だろ」という台詞には、彼の驕りも見え隠れしていたように思う。
しかし、アイビーのレストランが軌道に乗ると、途端に彼女への嫉妬心を抱く。これが、彼の「自分の役割を奪われた」という被害者意識に繋がるのだ。
対するアイビーは、夢を叶えて自己実現を果たした事で、子育てをテオに任せて子供達と距離が出来てしまう。テオによって徹底的に管理され、糖分を控えてトレーニングに励む彼の理想を反映されてしまう。ハティの初潮を知らず、思春期真っ只中のはずの娘は、父親であるテオに助けを求めていたのだ。同性として、娘の成長は自分が一番近くで見守るものだと思っていたアイビーはショックを受ける。これもまた、「自分の役割を奪われた」という被害者意識に繋がるのだ。
そして、そんな思いから互いに自分の非を認められず、謝罪する事が出来ないまま旅行やカウンセリングを受ける。カウンセラーに「修復不可能」と匙を投げられるのも納得だ。
そして、そんな生活に耐えかねたテオは、アイビーに離婚を申し出る。離れて暮らしていたハティとロイは「それが良いと思う」と、両親の離婚を素直に受け入れる。2人は面食らうが、子供は親が思う以上に、冷静に物事を捉えているものなのだ。
しかし、この離婚の提案が更なる混乱を招き、遂には命懸けの夫婦喧嘩へと発展していく。
ラスト、テオはそんな夫婦喧嘩にまで発展したにも関わらず、それでも「まだ愛している」とアイビーに本音を告げる。それを受けてアイビーも「私も寂しかった」と、相手に「自分を見てほしい」と求め過ぎていた事を認める。
私としては、年齢=彼女居ない歴の童貞なので、これらが男女関係、夫婦関係における真実なのかは分からない。しかし、結局のところ、全ては“人間関係”という言葉に集約され、「相手への思いやりや言葉にして伝える事を怠らずにいられるか」が鍵なのではないかと思った。
ようやく夫婦仲を修復出来た矢先、夫婦喧嘩で破損したコンロから漏れ出たガスに気付かず、テオはスマートホームシステムに「暖炉に火を焚べてくれ」と命じてしまう。そして、かつて真っ白な状態で始まった2人の愛は、同じく真っ白になって終わりを告げる。
「死が二人を分かつまで」と決意を新たにした矢先、あまりにも早く訪れた“別れ”である。この皮肉が何ともエッジが効いており、素晴らしいラストである。
【総評】
実力派俳優による泥沼化していく夫婦生活のコミカルながらも毒舌な様子は、ビジュアルの美しさも相まって楽しく鑑賞出来た。ラストの演出もクールで印象的。
1989年版も観てみたいと思った。
最後に、『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』(2019)に登場するこの台詞をこの作品に贈りたい。
〜憎しみは純粋、愛は命取り〜
金持ちケンカせず。
原作小説および1989年の「ローズ家の戦争」とは全く別物と思われた方がよろしい。最近は便利な言葉があって「リ・イマジニング」とかいうらしい。
まあ熟年夫婦の喧嘩を描いたホームコメディということでしょう。面白いのは最初の夫婦で受けるカウンセリングのところだけ。お互いに相手の長所を10個挙げてくださいというやつです。ここがかなり黒みが利いているのでフムフムと観ていたんだけどこの夫婦、なかなかに険悪な関係にならないのですね。最後の2〜30分のところでようやく離婚という話にはなるのだがどうにも大人しい。家の中でモノを壊して大暴れっていうのも少しはあるけど、それだけかい!ってなものです。仕事柄、離婚ケースは割と見ているんだけど、やっぱり分けるものが少ない夫婦の方がもめますね。収入や資産がそれなりにあると最初からある程度の落としどころを腹に持って離婚協議に臨むことが多い。今回の「リ・イマジニング」では建築家と料理家のカップル設定にしているんだけど、もともとそれぞれの才能がそれぞれの財産として分割されているからね。余裕があるわけです。金持ちケンカせず。クジラを海に返したり、ハウスキーパーのAIの名前が「ハル」だったり、偽のサインが「ゼンデイヤ」だったり、いちいちエピソードがハイブロウな感じもヤラシイ。壮絶な夫婦ケンカって感じがなく最後まで中年夫婦の痴話喧嘩を見させられてる感じでつまんないでした。
すごかった
アイヴィが、年相応の老け方で堂々としている。中年になっても20代の容姿でいるのがよしみたいな風潮があるのだけど、恐ろしいことである。そんなことに四苦八苦していると精神を病むに決まっている。若さはどこかで諦めて、別の何かを目指すべきだと常々思っている。アイヴィはお酒を飲みすぎなところはあるけど、ユーモアがあり料理の腕は超一流で、旦那さんのテオも建築士として超一流の超ハイスペ夫婦だ。そんな彼らが夫婦喧嘩をして殺し合いにまで発展する。子どもにまで離婚した方がずっといいと思っていたとまで言われる。
弁護士を交えての離婚調停があまりにつらい。テオも家なんか新しく建てたらいいし、心の安息を第一に考えるべきだ。
とんでもない夫婦喧嘩は、仲直りで収まるのだけど、最後の最後はガス爆発で死んでしまうことを匂わせたまま終わる。
バカっぽいコメディだと思って見ていたらけっこうシリアスだ。
アメリカ人はゲラゲラ笑うのかな
不快と愉快
最初から面白い!からの…
ハイレベルなブラックユーモアに
苦情が来ないか心配になるレ・ベ・ル!
お下品なシーンもエンジン全開ですが
社会風刺の描写があって重要ポイントあり。
全部が全部おふざけ映画ではございません。
語彙がある夫婦ですが、本音は抑圧。
そして徐々に2人のすれ違いがヒートアップ!
最後まで容赦ない展開を見守りました。
友人のクレイジーさもなかなかのもの。
“類は友を呼ぶ”のお手本でした笑
この作品のラスト、私はとても好きです(小声)
スクリーンから色々な無礼を浴びたせいか
感覚がおかしくなったのかもしれない😅
鑑賞後は英国の人たちの反応も知りたくなりました。
個人的に、アレルギーのシーンはアウトのような…苦笑
当事者が観たらどう思うか、、
カニ食べ行こう〜♪
仕事を失った旦那と仕事でうまくいった妻の生活が逆転し…いがみ合う2人が取り返しのつかないバトルが始まり…といった物語。
最初から微妙にチクチク刺し合う感じはあれど、何だかんだ仲良しで良い夫婦だなぁ〜と思ったりしたが。。
男としてテオの気持ちもわかる一方、よりテオに懐く子どもたちの姿をみて切なげなアイビーの哀愁もねぇ。
ってか子ども達、心配だったけど寧ろ楽しんでいたようなw
終始、お下品なギャグを散りばめつつ喧嘩したり仲直り(!?)したり。新居ディナーの空気は最悪でしたけどねw
んで、バトルらしいバトルは本当に最後にちょっと。AIやディープフェイクを駆使した現代戦(!?)には声出して笑いそうになったりしたが、そこで暖炉に火をつけたら…。
全体を通し、お気軽に観れるコメディ作品といった感じで面白かった。
…が、日曜のレイトショーとは言え、数百人入る広めの会場にお客はワタクシ1人…。コメディは観客の笑い声があって完成する感ありますからね。。
贅沢と言えば贅沢だが、少し寂しかったし何故か申し訳ない気持ちになったw
刺激が強いってw
名優同士の演技合戦、つまらなくはないけど、言葉が汚いと言うか直接過...
全72件中、21~40件目を表示












