メイソウ家族 : 特集

なんだこの面白そうな映画は!?　世にも奇妙な衝撃作
「“教祖の瞑想”狂気に陥る家族の運命」「正体不明の
生物を轢き殺したカップルの悲劇」「男性教師と失声症
の女子中学生が、急速に接近する雨の日の放課後」…

皆さん、突然ですが、最近“刺激”足りてますか？

「見たことない刺激的な物語を味わいたい！」という方へ。8月29日公開「メイソウ家族」がオススメです!!　じゃあ、何も考えずに、まずは以下の3つの物語をご覧ください。

なんだこの面白そうな映画たちは!?

「メイソウ家族」はこの3作品で構成される映画…しかし、オムニバス映画ではなく、てんでバラバラに見える3作品が、まさかのひとつにつながる…!?　一体どうやって…!?

【なんだこの強烈な3本は!?】尖りまくりの“普通
じゃない”オススメ作。物語と感想をお伝えしよう――

冒頭で紹介した各作品の“一行”で、「めちゃくちゃ面白そう」と、期待値が爆上がりしている方へ。あ、その期待感、まだまだ序の口です。

予想を裏切りまくりながら突き進んでいく展開にニヤニヤし、カオスなカットに頭を抱え、ラストでは感情がぐちゃぐちゃに……。これまで行ったことのない境地に、問答無用で連れて行かれる超刺激作。

どうしても観たくなる詳細をお伝えしていきますね！

▽あらすじ

一見、幸福そうな吉田家。しかし娘は万引きしたり、年上の彼氏の家に入り浸ったりと、トラブル続き。父は禁煙のストレスからか、仕事中でも発作のように、お菓子を食べる手が止まらない。

そしてある日、優等生の息子がペンキまみれで帰宅し、部屋に引きこもるようになる。まさか、いじめ？　優しい母親は激しく動揺し、ネットで見つけた“教祖”が説く瞑想に没頭。吉田家は静かに、しかし急速に狂っていく――。

▽レビュー

40分足らずの短尺で、平凡な家族に潜む“異常性”をさり気ない描写で描きこみ、観客に“わからせる”のがうますぎる！

家族の秩序を保っていた母が瞑想にハマり始めると、物語はあり得ないスピードで崩壊へと突き進み、この“観てはいけないもの”感、むちゃくちゃゾクゾクさせられますし、前半にちりばめられていた“綻び”が後半にガチッと噛み合う感じが非常に心地良い。

ポスターにもあるキラーショット＝ずぶ濡れの家族4人が手をつないで、祈りを捧げているかのようなシーン。「一体どうしてこんなことに？」－－答えは全部、映画のなかにあるんです。

▽あらすじ

夜道をドライブするカップル。カノジョは、話を全く聞こうとしないカレシに、不満が爆発寸前。キスをせがむカノジョが、運転中のカレシの視界を塞いだその時、正体不明の“何か”を轢き殺してしまう。

カレシはそれが、数億円の価値を持つ UMA（未確認⽣物）だと確信し、「MONOS」と名付けて⾃宅へ持ち帰るが……。

▽レビュー

3作品のなかで、最もジャンルレスかつカオスだった“ヤバい物語”（もちろんいい意味で）。一瞬も退屈する暇がありません！

さらに言うと、最も伏線にシビれた物語でした。まずは開始5秒で、「YUI」の世界とのつながりが明らかになり仰天。ラジオやテレビで流れるニュースなどに、注意深く伏線が張られていて、まさかの結末へ……。

MONOSの正体とは？　轢き殺してしまったがどうなる？　ウソだろ、そうなるんですか!?　最後はまさかのホロリと感動……。そして、段々かわいらしくも見える（見えないかも）MONOSの絶妙なビジュアルにもご注目を！

▽あらすじ

国語教師は、⼩さな町の中学校に 1 年間、赴任することになった。彼は不安を抱えていた。それは、なんらかの事情で⾔葉を話せなくなってしまった生徒の個別指導を任されたこと。当初はぎこちないふたりだったが、筆談を通して、心を重ねていく。

しかし、教師は婚約者の家業を継ぐため、間もなく町を去ることが決まっていた。ある雨の日の放課後。ふたりの距離は近付いて……。

▽レビュー

あらすじ、スキャンダラスすぎるでしょう！　お互いの“本心”めいた感情が漏れ出すシーンに思わずドキリ……しかし！　本作の“本当の良さ”はそこじゃありません!!

言葉を交わせないからこそ、ふとした視線や表情で魅せる教師役の木村了さん、生徒役の⻄岡奏さんの純度100％、みずみずしい演技が素晴らしかった！　早朝、ともに校門を開けるふたり。この何気ないシーンで“心の距離の変化”を表現する描写が堪りませんでした。

前2作の刺激とは打って変わって、繊細な心理描写が穏やかなさざ波のように寄せては返す。ぐっとくる。余韻が心から消えない。豊かな時間がいつまでも続いてほしくて、終わってしまうことがどこまでも悲しい、美しい物語でした。

さて、本作を“観る意欲”がぐんぐん上がってきたと思いますが、気になることがありますよね。

この3人――日本映画界トップクラスの名匠・巨匠――が集まったのには、理由があります！

【実はこの映画…】つくったのは、大阪芸大でした。
学生×超一流監督で紡いだ“超野心作”だった――！

上述した3人の共通点、それは、大阪芸術大学（主な出身者：庵野秀明、石井裕也、島本和彦、時任三郎、古田新太、山下敦弘ら多数！）。

そう、本作は大阪芸大出身の超一流監督と、映画の道を志す同大学の学生たちがタッグを組み、授業で作り上げた、チャレンジ精神満載の超野心作なんです。

「学生の授業でつくられた映画」と侮っていると、ぶっ飛ぶことになりますよ！

というのも物語は全て、大阪芸大の才能豊かな歴代の学生たちが書き上げた、大学所蔵の膨大なシナリオ……そこから厳選に厳選を重ね “超秀逸な3本”にしぼったうえで、授業の域を超えた一流の製作現場を実現、予算と時間と人員を可能な限り投入し、映画化しているから!!

そして言わずもがな、学生とプロがその垣根を超えて、ガチで真っ向勝負したことも、炸裂する面白さを生み出した秘訣！

金田監督は、「『これはどうか』とネタを提案しても、学⽣は『それは面白くないと思います』とはっきり⾔ってくるんです。元のシナリオを脚⾊するなかでも『そうすると、⽭盾が⽣まれるんじゃないですか』と⾔われましたから。あまりにズバッと⾔われるので、僕も結構、傷ついたりして（笑）」と証言しており、双方の“本気度”が伺えます。

こんな経験を授業で積めるなんて、むちゃくちゃ素敵ですね、大阪芸大……！

本編の素晴らしさもさることながら、製作過程がまぁ楽しそうで、めちゃくちゃ“青春”！　監督たちのコメントも、「楽しい」が滲み出ちゃってます。

熊切監督「自分にとって原点に立ち返ることができた作品ですし、何より現役の学生たちが映画を発見していく瞬間に立ち会えたことをとても光栄に思います」

金田監督「（撮影中）びしょ濡れになった学生たちの背中から濛々と湯気が上がっている。作品に対する自分の熱量を見られた気がしたのか、恥ずかしそうにお互いを笑い合いハニかんでいた」

「『一生懸命は当たり前！　努力なんてしてませんよとさり気なく観客に届いてこそ価値があるんや』そう学生たちを叱咤激励している天邪鬼な監督の背中からも湯気が……。恥ずかしいやら誇らしいやらの撮影期間だった」

「メイソウ家族」。世にも奇妙な衝撃作。未知の強刺激を摂取できる、唯一無二の逸品です――ぜひ劇場でどうぞ。