「クーグラーの新境地」罪人たち ふぇるさんの映画レビュー(感想・評価)
クーグラーの新境地
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昨今の映画製作では原作や続編物が多い。もちろん、それらの前提がある物の方が興行的な見通しも立てやすすく、制作会社からしたらリスクが少ないだろう。
本作はライアン・クーグラーによる完全なオリジナルである。この挑戦的な作品を作ろうとしたクーグラーやそれに賭けてみようとしたワーナーには賞賛を送りたい。
これまでにも人種問題を取り上げつつ、エンタメとして成している作品は主にスパイク・リーなどが作ってきた。クーグラーはブラック・パンサーの一作目からその傾向が強かった。
白人の純血以外は認めないというジム・クロウ法をもとに白人=ヴァンパイアという視点やパブの扉を人種の境界としている点、アイリッシュミュージックとの対比も素晴らしい。
ヴァンパイアが感情共有を共有して苦しむ様はどこかカルト宗教的なものを感じる。
また本作は劇中にほぼ絶え間なく音楽が流れている。
彼らがつらい扱いを受けているときでも歌を口ずさんで乗り越えてきたような文化を象徴とさせる。
クーグラーには続編には向いていないのかもしれない。
ブラックパンサーやクリードも一作目が素晴らしいが続編になるにつれて弱くなっていく。
本作のインタビューではフランチャイズから離れたかったという発言もしている。
フランチャイズで実績を積みつつ、本作の様な作品が今後も観れるのであれば否応なく彼の作品は観続けるだろう。
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