「く〇カッコイイ!」罪人たち TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
く〇カッコイイ!
監督・ライアン・クーグラー×主演・マイケル・B・ジョーダンでアメリカで大ヒット中の本作(原題:Sinners)。日本公開も急遽決まったとのことで、私も楽しみにして公開初日にTOHOシネマズシャンテで鑑賞です。
物語は1933年、ミシシッピにある黒人教会の日曜礼拝に始まり、「そのこと」が起きる前日に遡って語り始めます。シカゴから故郷へ戻った双子のスモーク&スタック(マイケル・B・ジョーダン/一人二役)。二人はシカゴで手に入れた金を元手に、ある白人から製材所跡地である土地建物を買い付けます。従弟のサミー(マイルズ・ケイトン)を引き連れ、昔馴染み達を誘い、雇い入れてそこに酒場を開くスモーク&スタック。その晩、噂を聞きつけて続々と客が集まり、盛り上がる客前で自慢のギターと歌を披露するサミーa.k.a."Preacher Boy"。神父を父に持つ彼が奏でるのは、当時の黒人社会において「悪魔の音楽(Devil's Music)」とも言われることのあったブルースですが、客は皆サミーの演奏と歌に酔い痴れて盛り上がり、酒場は一時トランス状態となります。そしてその演奏はさらに、“招かれざる客”を呼び寄せることとなり…
本作は「ジム・クロウ法下におけるアメリカ南部ミシシッピ州」、「ルーツ・ミュージックとしてのプランテーション・ソング、ゴスペル、ブルース…」、「黒人教会とキリスト教」そして「(本作における)“招かれざる客”について」など、日本人にとっては馴染みが薄くて(どちらかと言えば)取っ付き難いテーマが重層的に扱われて語られていることもあり、日本公開がなかなか決まらなかったことが解るような気がします。そのため、鑑賞しながらそれらの「意味」を自分なりに解釈しつつ、鑑賞後に(いくつかのことについて)確認作業と答え合わせをしながらレビューを書いているため、間違っていることがあってもご容赦ください。
と言うことで、まずネタバレせずに紹介や感想を述べることが難しい本作ですが、ジャンルとしては「音楽×ホラームービー」となると思います。で、まず音楽について言えば「難しい、、ただく〇カッコイイ!」と思わず失言してしまうレベルで良きです。今までだって機会は多くなくとも他の映画などでも触れてきた黒人音楽ですが、やはりこうやってメインとして扱われると背景も解りますし、その奥の深さに更なる興味も沸いてきます。(今回も配信サービスでサントラを聴きながらレビューを書いています。)また、ホラーについては怖さ(Horrible)は前半に度々差し込まれるフラッシュバックにビクッとさせられますが、総じて言えば苦手な方でも大丈夫なレベルだと思います。(勿論、人によりますが。。)むしろ、ネックなのは前述にも触れたとおり、ある程度の基礎知識を押さえていないと理解できないことが少なくなく、逆に目的として音楽、或いはホラーだけを楽しむ意図で本作を選ぶと、或いは物足りなさを感じるかもしれません。
また、これからご覧になる方へ毎度のアテンションですが、本作もエンドクレジット後に1シーンあります。たとえ観なくても物語に影響はしませんが、ちゃんとご覧になりたい方もいらっしゃると思いますので、先んじてご退出する場合はお気をつけて下さいませ。
ここまでくれば敢えて言わなくてもお判りかもしれませんが、私個人としては「知的好奇心」をくすぐられて楽しませていただきました。満足の一本です。
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