MELT メルト

劇場公開日:2025年7月25日

解説・あらすじ

少女時代のトラウマを抱える女性のはかなくも美しい復讐劇を描いた、ベルギー・オランダ合作によるリベンジスリラー。「オーバー・ザ・ブルースカイ」などへの出演で知られるベルギーの女優フィーラ・バーテンスが長編初監督を務め、大人になった主人公が過去の忌まわしい出来事を回想する構成で描き出した。

ブリュッセルでカメラマンの助手として働くエヴァには親しい友人も恋人もおらず、両親とは長らく絶縁状態にある。そんなエヴァのもとに、彼女が少女だった頃に不慮の死を遂げた少年ヤンの追悼イベントが催されるというメッセージが届く。その報せをきっかけに、かつて起きた惨劇のトラウマを呼び覚まされたエヴァは、謎めいた大きな氷の塊を車に積み、故郷の村へと向かう。それは自らの人生を大きく狂わせた過去と対峙し、すべてを終わらせるための復讐の始まりだった。

本作が長編映画デビューとなるローザ・マーチャントが13歳のエヴァを繊細に演じ、2023年サンダンス映画祭のワールド・シネマ・ドラマティック部門にて最優秀演技賞を受賞。「トリとロキタ」のシャルロット・デ・ブライネが大人になったエヴァを演じた。

2023年製作/111分/PG12/ベルギー・オランダ合作
原題または英題:Het Smelt
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2025年7月25日

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(C)Savage Film - PRPL - Versus Production-2023

映画レビュー

4.0 氷をめぐる上質かつミステリアスな語り口が重く冷たくのしかかる

2025年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

物語の中で二つの時間軸が併走する。一つは大人になった主人公エヴァが人に心を開かぬまま、凍りついたように生きる現代。もう一つは彼女が自然に囲まれた故郷で多感な少女として駆け回っていた過去。同一人物でありながら性格はまるで真逆だ。なぜこれほど豹変してしまったのか。そして大人のエヴァは序盤から段ボール級の氷を運び出して、一体何を起こそうとしているのか。それらの謎を一向に明かさぬまま、二つの道筋はそれぞれ暗雲立ち込めるラストへと突き進んでいく。過去のトラウマが人生にどのような影響を及ぼすのかという、多少目を背けてしまいそうな展開を秘めながら、しかしそこに至るまでのミステリアスな語り口が上質で洗練されているため、我々もグイグイと引き込まれる。中でも特筆すべきは13歳のエヴァ役のマーチャントの存在感だろう。演技初挑戦ながら、俳優出身監督の導きのもと練り上げた人物像や心理表現が際立ち、異彩を放っている。

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牛津厚信

3.0 映画史に残る胸糞悪さが、まさかの○○害とは・・・・・・・!!

2025年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

驚く

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ナオック

3.5 救い…

2025年8月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

子供時代の夏のノスタルジックな色彩と、現在の冬の暗い色彩と、対比しつつどちらも悲劇的な結末へ向かう。
現在パートはもう救いがないことが分かってるので顛末だけ。子供時代パートは夏の豊かな色彩でひと夏の経験も含めた少女の揺らぎも含めた繊細な描写で。
子供時代のエピソードはいずれも万国共通というかあるあるなんだけど、積み重ねの結果取り返せないくらいの結果をもたらすのが脚本的には見事。
ただ、あまりにも救いがないので、それが現実なんだとしてももうちょっとどうにかならないかと思う…

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ぱんちょ

5.0 重いけれども考えるきっかけにしなければならない

2025年8月29日
PCから投稿

重い映画です。これ以上ないほど救いもないし
解決方法を見つけることも不可能です。
でも、私は、この映画を観るべきだったことを
鑑賞後に思い知りました。ちょうど、昨日、
ご近所の方の友人が長年にわたって、旦那から
精神的暴力を受け続けているということを
聞いたのです。この映画の少女が近くにいて
彼女の被害を知ったからといって、どうやって
助けたらいいのか、どんなに考えても思いつく
ことは何もないし、モラハラ夫に苦しんでいる
女性を白馬の騎士のように救い出せるなんて
思えません。でも、知ってしまったのなら、
何もしないのではなく考えられる限り手を
尽くしてみるべきだと強く思ったのです。
単純な話、学校でイジメに遭っている級友が
いるのに、何もできないから何もしないのと
同じ事をしてはダメだと強く気づかせて
もらえたという意味で、この映画を観て
良かったと思えたのです
でも、その方を支援するために、ご近所の方に
協力していただくことを強要しては、ひとり
よがりでしかありません。
主演の少女役のほうは、撮影時、16歳だった
そうです。
演技指導についてはオーディションの段階から
心理セラピストに参加してもらったとのこと
です。子役たちには一緒の家で生活してもらい
互いを知る時間を十分に設けて、ハードな
撮影の後は一緒にゲームをしたり、おしゃべり
したりするクールダウンの時間を作ったとの
ことです。演技の記憶よりも、皆と楽しく
遊んだ記憶が残るように配慮したということ
ですね。
映画自体は、緻密に練り上げられていて、
そのことが、ややもするとリアリティを損なう
傾向もあったかもしれませんが描かれた事、
そのものに重要なメッセージがあり、それを
受け取ることが観客としての義務だと思い
ました。
この映画には、いくつも大切なことが描かれて
いて、そのひとつひとつを咀嚼するためにも
原作を読みたいと思いましたが邦訳版はなくて
オランダ語の原書しか見当たりませんでした。
これは、どうにもなりませんねぇ。そのうち、
翻訳本が出ればいいのですけど、もっと、
この映画が話題になってなければねぇ。
子役の女の子の卓越した演技力と監督の
細やかな神経が行き届いた画面づくりと
何よりも、原作の持つメッセージ性の強さが
細かな減点を大きく上回ったので、初めて
5.0と採点しました。
この映画を観て欲しい層がありますが、たぶん
加害者は自分の冒した罪に無頓着で何も響く
ことがないだろうとあきらめてしまわねば
ならないことが、いちばん悔しいのかも
しれません。

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何処吹く風