劇場公開日 2026年2月20日

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センチメンタル・バリューのレビュー・感想・評価

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4.0お父さんは芸術家

2025年12月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

初期からの家のヒビは家族の不幸と不和を象徴。父が家をはつる度、家族の形も変化するのが面白い。父と娘が互いの存在を認め合うまでの物語、かな。
血の繋がりは大好きで大嫌いになりやすい。
姉は他人と名前のつく関係を持つ事に不安を感じていたけど、妹は姉がいたから誰かと一緒に過ごす生活に安心を覚えた事に、凄く救いを感じて一番泣けた。

彼女は嫌いなパパと同じ業界に入った時点で父親コンプレックスがすごいと思うけど、家族がうまく機能していないのに、自分の家族を使って作品を撮ろうとするお父さんは、多分芸術家かもしれないけど「お父さん」に成りきれなかった人なのかもなあ。子どもを子どもじゃなくて自分の作品の要素の一つとしかみてないのかしら。どうかしら。と思っていたけど、愛がないわけでもなさそう。

長年の不在を気にするそぶりもなく、次回作は君の物語だと成長を愛でた記憶もなかろう娘へ言ってしまえる無神経は、父である前に芸術家が先に出てしまうからか?
娘の気持ちより、自分の作品への絶対の自信を押し付ける彼の身勝手さに腹も立つけど、不安定な娘を心配する気持ちに嘘もなさそうで、なんかとても複雑な気持ちになった。
家族は誰よりも近くて当たり前の存在だから、うまく機能してないと軸がおかしくなる。

それでも好きな作家をはじめ、なんかセンスの類似に血の繋がりを感じないわけにはいかない父と娘。
なんだかんだ会ってなくてもお互いの存在を心のどこかには置いてたんだろなぁ。

あと、彼らの家は絵本の『おおきな木』(シェル・シルヴァスタイン作)をなんか思い出した。
それと『HERE 時を越えて』もなんとなく脳裏に浮かびながら観ていた。
変わらずそこに存在し続けるものが、愛を持って変わりゆく人々を見守る、優しい物語だった。

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icco

3.0「家」が擬人化

Kさん
2025年12月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

《試写会にて鑑賞》

父と娘の修復と再生の物語。
直接対峙するということを全面には出さずに
父が作る映画を通してのコミニュケーションが良かった。

冒頭のナレーションから感動して身震い。
ヒビの入った家が歴史を吸収し、語っていく。

かなりギクシャクしたストーリーなのかと
思っていたら激しい争いは一切なく、
あっても少しの口論で留まっている。

人の感情に寄り添った優しい映画。
個人的に姉の精神的な病に深く共感。

家族ドラマだけではないテーマ性が非常に深い。
笑えるシーンも最高のタイミングで登場。

監督の素晴らしい手腕を感じました。
ラストは、じんわりと心に沁みる…。

俳優陣の繊細な表現力が驚くほど見事です。

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K