「芸術とファッションと、少し哲学」ザ・ザ・コルダのフェニキア計画 らんさんの映画レビュー(感想・評価)
芸術とファッションと、少し哲学
この作品は、ファッション系の雑誌で多く取り上げられていて知りました。
ウェス・アンダーソン監督は、名前も知らなかった素人です。
作品のサイトにも、本物のルノワールを美術館から借りていたり、カルティエやプラダが協賛しているとあったので、ほとんど美術目的で鑑賞しました。
予告編で「ファミリーコメディ!」と紹介されていましたが、コメディというほどポピュラーな感じはありません。
自家用飛行機で資金集めに奔走し、飛行機が墜落しても撃たれても全然死なない、商談も何故かバスケの勝負で交渉をまとめるなど、ツッコミどころは確かにありますが。
むしろ、チェ・ゲバラ似の共産革命家が登場して協働したり、修道女が持つ宝石付きの十字架のネックレスは果たして神の意に沿うのか、など宗教・思想に絡めたエピソードで、ストーリーに深みを持たせていると思います。
ザザコルダが新たな人生へ進む結末も、哲学的。
気楽に見れるオシャレ映画と思っていましたが、予想外に深い内容で、ウェス・アンダーソン監督は鬼才だと感じました。
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後日談。
ウィキペディアでウェス・アンダーソン監督のプロフィールを見たら、『ダージリン急行』の監督だったとは。
テキサス大学で哲学を学んだ、とあり、なるほどと思った。
アメリカでは映画は開始5分で意味が伝わらないと売れない、と聞いたことがあるが、本作もどちらかと言うと、商業的成功と言うよりは、ミニシアターに馴染む作品ような気がする。
滅多に行く機会のないシネコンの大スクリーンで見れたことは幸い。
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