ハルビンのレビュー・感想・評価
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人間安重根
今年5月にソウルに旅行した時、南山公園を散策していたら、ソウルタワーの近くに立派な銅像と記念館がありました。よく見ると、アンジュングン、
安重根でした。
彼については、日本史の授業で、伊藤博文をハルビンで暗殺した人物と習った程度でしたが、ソウル滞在中、韓国では独立運動の英雄として広く知られていて、多くの人々から崇敬されていることを知りました。
この映画は英雄安重根を讃えた愛国映画なのかなと思いながら観ましたが、見事に裏切られました。
安重根は英雄としてだけでなく、国と平和を愛する一朝鮮人として描かれており、彼の苦悩や心の揺れが映像から伝わりました。
安重根が伊藤博文を射殺したところで、韓国併合の流れは止められず、むしろ逆効果かもしれない、しかし行動を起こさないと、リーダーとして多くの同志の死を無にすることになる、、、
そうした苦悩が映画で良く理解できました。
また、伊藤博文も韓国併合を推し進めた極悪人としてではなく、朝鮮の発展のために尽くした品格ある政治家として描かれていたのがやや意外でした。
日本軍人の日本語がおかしくなければもっとリアリティが出て良かったのに、と思いました。
日韓関係の長い歴史は非常に複雑で、安重根の事件ひとつをとっても解釈や評価が様々で、両国民が共に正しく理解するのは困難です。
ですが、この映画を観て、事件の背景やその後の韓国併合について色々考えてみるのは意味があるのではないかと思いました。
日韓交流や韓国の文化に関心のある人には一度は観てもらいたいと思います。
そして併合へ
伊藤博文暗殺事件とそれに至る安重根(アン・ジュングン)と大韓義軍の話。
第二次日韓協約に関する字幕説明から、クラスキノで大韓義軍が集まる様子で始まっていく。
韓史に詳しくないけれど、安応七歴史に記されている内容がもとになっている感じですかね?
作中の大きな出来事は実際にあったことが概ねというところなんだろうけれど、相変わらずの都合良い解釈が…植民地と併合の違いも、清や露との関係や韓の立ち位置もわかっていないしね。
満州が朝鮮だったことがあったなんて知らなかったですよw
お隣さんはこれをそのまま信じている人が多いのだろうからプロパガンダになっていることすら気づいていないのかも知れないけれど、とりあえず大韓帝国民は謙虚で高潔、大日本帝国民は傲慢で卑劣と言いたいんですねww
伊藤博文役こそリリー・フランキーだけれど、他の日本人役は全て日本人ではなく、通訳役と同程度のカタコトの日本語しか喋らないし、日本語にも字幕ついているのは良いけれど、その日本語自体がちょっとおかしかったりするし。
事実をアレンジしたエンタメとしてはそれなりには面白かったけれど…という感じ。
韓国で、安重根が英雄視されていることは、間違いない。 伊藤博文役だ...
紋切型で退屈
「反日」以前に、サスペンスやアクションとして盛り上がらない
反日や抗日のプロパガンダ色は致し方ないにしても、単純に、サスペンスやアクションとしての盛り上がりに欠けていて、あまり楽しめなかった。
民族の英雄である安重根を、日本軍の捕虜を解放したり、敵の密偵となった裏切り者を許したりした「人格者」として祭り上げたい気持ちは分からないでもないが、その分、人間くささや面白みのない人物造形になっていて、キャラクターとしての魅力が感じられなかったのは致命的と言ってもよいだろう。
ヴィランを務める森少佐にしても、冷酷で威圧的なステレオタイプの日本の軍人でしかなく、威張り散らしているだけで、とても「強敵」とは思えないし、リリー・フランキーが演じる伊藤博文も、最後に倒すべきラスボスとしての威厳や重厚さに欠けていると言わざるを得ない。
ストーリーの面でも、大連に向かう列車内で遭遇したり、ウラジオストクのアジトを急襲したりしても、ことごとく安重根を取り逃がした上に、彼が伊藤博文の暗殺を企てていることを知りながら、ろくな警戒や警備もせずに、みすみすそれを成功させてしまう日本側の対応が、余りにもお粗末で呆れてしまう。
朝鮮側にしても、密偵を逆利用して、ハルビンの手前の駅で陽動作戦を仕掛けるのは良いのだが、囮になるのは、どう考えても、日本軍がマークしている安重根が適任だったのではないか(そうすると、歴史が変わってしまうのだが•••)と思えてならない。
何よりも、伊藤博文を暗殺する理由が、「これまで命を落としていった同士のため」としか説明されておらず、主人公たちを困難な任務に駆り立てる動機に、これといった必然性や説得力が感じられなかったのは、ドラマとしての欠陥であると考えざるを得ない。
さらに、氷結した豆満江や、満州の雄大な砂漠の風景は、大作としての風格を醸し出しているものの、その一方で、「このシーン、本当に必要だったの?」という疑問も残った。
死に損ないと殺し損ないの報復合戦
ハルビン
安重根にカトリックの教義が戦場で浮かび上がっると、
殺せないから、死に損ないが生まれた。
そんなラストは、同邦人、同民族、同志を意識すると、
むざむざと生き残りたくなる、
死に損ないたくなる、
殺し切りたくなる。
これは報復合戦の序長でしかないとの宣告である様だ。
「一日不讀書口中生荊棘」
安重根が獄中で書いた遺墨。
(韓国の国宝)だそうです。
中国の古いことわざで、
直訳すると「一日も本を読まなければ、口の中に荊棘(けいきょく、つまり「いばら」や「とげ」が生じる)」という意味です。
現代的に解釈すれば、
「学びを怠ると、心や頭が荒れてしまう」という教訓として捉えられます。
( ̄▽ ̄)
ハルビン
1909年10月に中国・ハルビンで起きた歴史的事件を映画化し、
祖国独立のために闘う人々とそれを阻止しようとする勢力の攻防を描いたサスペンス。
1908年、参謀中将アン・ジュングン率いる大韓義軍は日本軍との戦闘で大きな勝利を収めた。
アン・ジュングンは万国公法に従い、戦争捕虜である日本陸軍少佐・森辰雄らを解放するが、これをきっかけに大韓義軍の間ではアン・ジュングンに対する疑いとともに亀裂が生じる。
1909年、アン・ジュングン、ウ・ドクスン、キム・サンヒョン、コン夫人、チェ・ジェヒョン、イ・チャンソプら、祖国奪還のために強い絆で結ばれた同志たちがウラジオストクに集まった。
彼らは伊藤博文がロシアとの交渉のためハルビンに向かうことを知る。
一方、日本軍は大韓義軍の密偵から、ある作戦についての情報を得る。
「コンフィデンシャル」シリーズのヒョンビンがアン・ジュングンを演じ、
パク・ジョンミン、チョ・ウジン、チョン・ヨビン、イ・ドンウクが共演。
日本からも伊藤博文役でリリー・フランキーが出演。
「KCIA 南山の部長たち」のウ・ミンホが監督を務め、
「パラサイト 半地下の家族」のホン・ギョンピョが撮影を手がけた。
ハルビン
Harbin
2024/韓国
日本的にはいろいろあるが、だが 隣国の方々にとって共感は当然 故に 平均以上。ただ エンタメ振り切り 中立
まあ 日本では 名画座除いて 安重根氏の映画はあんまり公開されてないと思うけど
まあ 本宮さんのコミック サラリーマン金太郎さんのいう 『ヤラれた立場にお前は立ったことがあるのか❓拳🤛は受けたもんじゃねぇとわからねぇ』の視点が重要。
お隣韓国🇰🇷さんでは 昔の王様 豊臣秀吉を阻んだ方、と並んで 安重根氏が 三大英雄だそうだ。
本作に限っては 有料パンフは必須かも。ポイント知識が書かれてる🈶
純然ジャパニーズの俺としては遺・だが、立場が変われば 英雄というのも腑に落ちる。何しろ併合寸前だから
本作は 全国公開だけあって 基本中立 基本 サスペンス アクション→エンタメです。
リリー・フランキーさんの伊藤博文さんも好演 正直悪い奴よのぉ。
もう一人の日本人役 少佐役は スキンヘッドの韓国の俳優さんが演じている
チコっとだけ 日本語アクセントに難があるのは事実だけど だんだん慣れて馴染んできた 不思議だな。
とにかく エンタメですね 基本
有料パンフ🈶見てるとよくわかる もう大韓・軍とか 盛ってるとこあります。
しかし 最終根幹部分は 事実。だろう。
ハルビンって微妙な土地だということが映像からもわかる
実は 俺のガキの頃の記憶だと この事件の映像は 画質はともかく悪いが 映像として残ってるはず 消えちゃったか❓
最後の描き方は良いね👍劇場で確認を
映像は氷河から砂漠まで とにかく綺麗。建物も美しい。
しかし 問題が俺的にあった とにかく会話劇で 眠くなってきた😪😪😪
だいたい人間関係はわかります 有🈶有料パンフあるとさらにわかります
有料パンフ🈶は 正直 コラム除けば 説教くさく無い 読みやすいパンフです。コラムも邪魔になるレベルでは無い。
まあ 昔の実写映像でも もうよくわからないレベルなので 浜口雄幸の東京駅事件よりも更に全く銃撃関係不明
そこは リアルな描写
そのことの是非は皆さんの解釈自由と思いますが まさにスナイパー あれだけロシア兵いたのにすごいなぁ。
ただ 物語前半の真偽はよくわからないジジイでした。
お隣の国なので🇯🇵🇰🇷🇰🇵仲良くしましょう。よろしくお願いします🙇♂️とマジ思った。
面白かった!
【訴えてくるものが…】
これから歴史を勉強します。。
まずはこの作品を日本で上映してくれた配給会社の決断に感謝。🙏🏼
この事件を取り上げる映画は恐らく日本では作られないだろうと思い、映画館で観てきました。
ストーリーの事実関係云々はともかく、この事件を映画にしてくれた製作陣と泥だらけの戦闘シーンや極感のロケだったろう俳優陣の熱演にも感謝。
韓国俳優の日本語発音が変だとかいう難癖は評価の対象にはしませんが、★4つにできなかったのは、カタカナの登場人物を満足に覚えきれずストーリーを追っかけ辛かったせいで、主人公にイマイチ感情移入できなかった点。(登場人物のカタカナ字幕は漢字の方が覚えやすかったかも。)
あとは伊藤博文の行動をもう少し紹介して、主人公との対立関係をもっと演出して欲しかった。(まあ私の勉強不足なんだけど)
映像はひたすら美しく儚い。 特に凍結した豆満河に横たわる主人公のシーンが白眉。
100年以上前の街の風景にも没入できたが、この事件に疎い私のような鑑賞者には、もう少し丁寧にストーリー展開をしてくれる海外公開版を用意してくれた方が良かったかも。(今後、別編集版が出てきたら是非観てみたい)
言葉は大切
思ったよりドラマがない
英雄か、又はテロリストか
歴史ものではなく、あくまでもスパイ活劇ものとして楽しんでください。
本作に関しては歴史ものではなく、あくまでスパイ活劇ものとして楽しむのが正しい鑑賞法。
安重根に関してはどうしても伊藤博文との関係から興味をそそられる人物であり、またこの時代の歴史に興味があり何冊か関連本を過去には読んでいて、その中には日本人作家による素晴らしい作品から捏造された内容のものまで数多く読んでいるだけに今回の映画化にはかなり期待して鑑賞した。
しかし蓋を開けばかなり大味の作品で歴史的事実はかなり無視されて脚色された娯楽作品であることに少々落胆した。劇中はほとんどが暗殺活動を内容としたものだが伊藤暗殺は安重根がほぼ単独で行ったことで組織的犯行ではない。爆薬の調達などの事実もないはず。安が日本の捕虜を解放したのは事実だが。
この物語は日韓激動の時代のものだけに歴史的意義のある内容のものを見たかった。
撮影はとにかく素晴らしい。特に冒頭の凍結した豆満江を徒歩で渡る安重根の姿は予告編で見ていただけにいやがうえにも期待が膨らんだ。
他にも砂漠のシーンやハルビンの町を模したどこかの国で撮影された映像もすべてが一級品である。それだけに内容が伴わなかったのが残念ではある。
共に東洋の平和と祖国を想い闘った二人の志士。かたや幕末期に尊王攘夷運動において勤王の志士として活躍した伊藤博文。かたや自国の独立のために義士として命を懸けた安重根。
この二人には相通ずるものがあった。ともに自国を憂いそして自国を取り巻くアジアの平和を願うという。それが立場や民族の違いから皮肉にも互いに憎み合う関係に。
東学党の乱で義士として活躍した安重根はかねてから東アジアの中で先んじて近代化を果たし西欧列強に対抗しうる力を得た日本を支持していた。日清戦争での天皇の詔勅による朝鮮の独立確保やアジア平和という大義名分を信じていたのであろう。
しかし日露戦争後、それが詭弁だと思い知らされた彼は義兵闘争へと向かう。謳われたアジア平和は日本のための平和でしかなく朝鮮は日本の属国として取り込まれる運命でしかなかった。
日清戦争後に宗主国清から独立を果たし大韓帝国となったのもつかの間、次第に不平等条約による外交権剝奪を皮切りに保護国化が進められ韓国軍の解散にまで至り、独立国として手足をもがれていったのだ。
思えば日本が日米修好通商条約などの不平等条約に苦しめられていた構図がそのまま日韓関係で再現されることとなったのも皮肉なことではある。
ロシアによるシベリア鉄道建設で朝鮮がロシアの手に落ちれば、凍らない港を確保したロシアによる日本への脅威が危ぶまれる。当時陸軍を率いていた山縣有朋は朝鮮半島こそが日本にとっての利益線であるとの考えから何としても自国の影響力を及ぼしたかった。
自国を侵略から守るためには他国を侵略するもやむなしというのが当時の日本の戦略的方針であった。
日露戦争に乗じた日本軍駐留を利用しての恫喝による強制的な第二次日韓協約締結の不当性に異を唱えた皇帝高宗はハーグ平和会議に密使を送ったが、その訴えは帝国諸国により黙殺され、逆に激怒した伊藤が高宗を退位させその息子純宗を据えて傀儡とした。またそれ以前には日本軍の謀略による王妃閔妃暗殺事件も起きていて、朝鮮の民の日本への反発はより大きくなった。
それでも安重根は天皇を信じ、伊藤こそが天皇の意思に背く者として、彼を討つことに執念を燃やす。
伊藤さえ討てば日本は朝鮮を独立国と認めるはず、そしてアジアは日中韓すべてが協力し合う関係になり西欧列強に対抗しうる存在になれると信じていた。彼が劇中で日本人捕虜を殺さなかったのもそう信じて疑わなかったからだ。
これは彼が逮捕後、獄中で書き終えることのなかった東洋平和論に書き記されている。彼の日韓パートナーシップという思想は今の時代にも通ずるものだ。
だが日韓併合は伊藤暗殺の三か月前にすでに確定していた。安重根の思いは虚しい願いでしかなかったのだ。安には日本で伊藤の後を継いだ山縣有朋が今後の朝鮮半島を武断政治で牛耳ることになるなど思いもよらなかったであろう。
安重根は逮捕直後こう答えている。このまま伊藤の思うがまま日本による植民地支配を続けていけば朝鮮だけでなく日本もまた滅ぶだろうと。これが後に無謀な日米開戦を起こし自滅してゆく日本を予想していたとまではさすがに言えないだろうが、なんとも示唆に富んだ言葉ではある。
確かに伊藤とて、初代統監として韓国の国権を奪いはしたがそれは日本本国の意思を体現したに過ぎない。むしろ彼は最後まで朝鮮の独立に固執していた。しかし本国からは軟弱外交と非難され、最後には併合も認めることとなる。
もとはといえば長州藩の文人と知られる伊藤は武断政治の山縣有朋とは対照的な人物。彼が併合を望まなかったのは一説には朝鮮の地を愛していたのではないかとも言われている。実際に彼が朝鮮の地を想い詠んだ詩も残されている。
それだけに本作では朝鮮半島植民地支配への道筋を作り上げた先兵のような描き方をされているのが残念でならない。もちろん彼が行った行為は客観的に見ても朝鮮の人々には許しがたいものではあったが。しかし彼の複雑な立場や心境も描かれていたらなおよかった。伊藤博文も間違いなく安重根義士と同じ志を持った勤王の志士であったのだ。女好きだけがたまに傷だったが。
そしてこの安重根についてはこの暗殺を成し遂げた後にこそ、そこに見るべき物語があるのだが。すなわち、彼の逮捕後の拘留や裁判過程を通して日本側の人々との交流にこそ。
ここで日本側は彼がどれだけ的確にアジア情勢を理解していたか、そしていかに義士として誇り高い人物であったかを法廷の場で知ることとなるのである。
逮捕された安重根を取り調べた担当者は日本が今後併合を行うであろうことを彼が見抜いていたことに驚かされるのである。彼にはだまし討ちは通用しないと。三国干渉に準ずるがままに日清戦争で獲得した遼東半島を清国に返還させられた事実を上げて、日本が西欧列強に逆らい朝鮮を植民地支配するなどありえないだろうとの言葉に対しても、安はすでに西欧諸国とは話がついていると見抜いていたのだ。
なかには暗殺現場にいた伊藤の従者であった田中なる人物は当時こう証言している。この状況で正しい行為を行ったのはまちがいなく安重根であると。自分の国が侵略されたとき、どういう行動をとるか、その模範が安重根の行動であると。
純粋に国を想うその高潔な志の彼に敬意を払う日本人は少なくなかった。それがゆえに彼らは安に揮毫を求め、それが今も日本には数点が残されている。
また日本の著名人の中にも安重根を支持する人間は多い。大逆事件で天皇暗殺の罪をかぶせられた幸徳秋水など。総理経験者の石橋湛山などはこの日韓併合をあからさまに批判していた。
そして安重根が処刑される際に身に着けていた純白の朝鮮服は彼のいた監獄の日本人の所長栗原貞吉が妻に縫わせたものだという。彼は安重根に尋ねた、自分にできることはないかと。それで彼から朝鮮服を頼まれて縫わせたのだという。他にも日本人の中からは彼に対する死刑を免れさせる嘆願書がいくつも出されたという。日本の要人である伊藤を死に至らしめたる張本人たる安重根への減刑を嘆願したのがまさに日本人だったという。彼は漢文の書を幾通もこれら日本人の関係者に揮毫したという。
それだけ安重根は義士として多くの人々に感銘を与えた人物だったのである。
かつて韓国で安重根の記念館が建設されるときに時の日本の政権の官房長官である人物は安重根はテロリストであり、そのような記念館は許しがたいと発言したという。しかしえてしてテロリストという言葉は都合よくつかわれる。
侵略者にとっての反抗分子は常にこう呼ばれる。かつては南アフリカでアパルトヘイトと戦ったネルソン・マンデラもテロリストと呼ばれた。かれはイスラエルの占領政策に苦しむパレスチナ支援も訴えた。
テロリストという言葉はとても便利な言葉である。それは聞く者を思考停止にしてしまうから。テロリストイコール悪であると。
しかし間違いなく国の未来を憂いて自らの身を犠牲にするものはテロリストではなく義士というにふさわしいのだろう。
本作はそんな安重根の裁判の状況や死刑までの彼の姿を追うことなく終わりを告げるのが残念でならない。できればこの題材を扱う作品を作り直してもらいたいくらいだ。
ちなみにこの伊藤博文を暗殺したのは安重根ではないという説もいまだ有力である。やはり伊藤に随行し、自身も被弾した貴族院議員室田義文の証言によれば、伊藤の解剖に立ち会った際に銃痕が上から撃たれたものであるというのだ。肩から下脇腹へと抜けたような。これだと駅舎の二階から撃たれたということになる。
安重根以外の真犯人を思わせる証言だ。まるでJFKを思わせるような。ただいまとなってはそれを立証するのは困難だが。
日韓の歴史認識齟齬を知ることができる
伊藤博文を暗殺した安重根(アンジュングン)は韓国独立運動の最大の英雄とされ、ソウル中心部南山には記念館がある。
だが、歴史を振り返ると、伊藤博文は日本国内では韓国併合反対派であり、アンジュングンの行為は何ら歴史を変えるものではなかった。翌1910年には桂太郎内閣の下日韓併合が行われ、韓国の独立は日本の敗戦によってもたらされたものである。ところが最後のエンドロールでは36年後の独立への道を開いた英雄としている。韓国民は棚ぼた式の独立ではなく運動によって勝ち取った独立という神話を欲しているのだろう。
一方多くの日本国民はアンジュングンどころか日韓併合すら知らない人が多い。
韓国好きの日本人でも思い浮かべる韓国はKポップ、韓流ドラマ、コスメなどであり、訪韓旅行者もこれらを目的とする者が多い。
35年間にわたる併合を未だに恨んでいる韓国人と、その事実すら知ろうとしない日本人。その溝はなかなか埋まらないのかもしれない。
なお日韓の歴史を扱った韓国映画「金子文子と朴烈(パクヨル)」(2017年)の日本人役韓国人俳優の日本語の方がはるかに上手い日本語であった。この映画では日本語指導はなされなかったのかもしれない。
これを実話と思ってしまう人がいるんだろうなぁ。
昭和の時代に「悪者のドイツ軍をやっつける正義のアメリカ軍」・・って設定の軍隊ドラマが何本も放映されて、子供心に「ドイツ軍は悪い奴」って思ってた記憶がある。今になっていろいろ知るにつけ、ドイツ軍もソ連軍もアメリカ軍も日本軍も中国軍(蒋介石)も、それぞれの背景があってそれぞれの戦争を戦っていたこと。どっちがいい悪いじゃなくそれが戦争だった・・・と冷静に見られるようになったが、
本作では「日本軍」=「植民地支配する極悪人」として描かれていて、伊藤博文暗殺は「韓国独立を目指すレジスタンスの正義の抵抗運動」であったとの設定。
もちろん日本から見れば突っ込み所満載だが、戦後80年、朝鮮戦争後75年経ってこの映画に「史実」を見る人がいるのかと思うと暗澹たる気持ちになる。
ひとこと: 日本軍を悪者にするのは映画の主題から仕方がないが、準主役級の日本軍大佐や、他の日本兵の日本語がひどい。伊藤博文に日本人俳優を使ったんだから、他の日本人にも日本人を使うべきだった。もしかしてロシア語も同じようにひどいのかも。
他にも自国のことを「韓国」と呼んだり「朝鮮」と呼んだり、考証がバラバラなのも気になった。もっと細部に手間(と金)を掛けないと本国以外での高評価は受けないだろう。
全46件中、21~40件目を表示
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