ORLIKのレビュー・感想・評価
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BLACKOUT
斬新なアニメーションというところが気になり鑑賞。
上映マナーの時点でただならぬオーラを醸し出していましたが、本編でもその禍々しいオーラは発揮されていました。
全編渡ってカオスの連鎖で埋め尽くされており、コラージュアニメーションという実写と切り貼りのテイストが不思議な良さを出しまくっていて痺れました。
映画作り映画ではあるんですが、主人公オルリックの映画愛がとんでもないばかりに狂気じみた行動に繋がっていくという作品で、戦争に巻き込まれようと、時代に飲み込まれようと、いつ何時でも映画のことを考え続けているのは狂気よりも熱が感じられてとても良かったです。
アニメーションは生きている動物の頭がぐりぐり動いているけど、首から下は人間のそれといえ良い意味でのアンバランスさが不気味さに拍車をかけていてとても好みでしたし、セリフと表情が噛み合っていたり噛み合っていなかったりするのがギャップになっていて面白かったり、めっちゃ動いているようで動いていない錯覚があったりしてアニメ好きの自分でも未知の領域を開かれたなぁと嬉しくなっちゃいました。
会話の間がかなり特殊なのも面白く、そこでテンポ落とすんだとかそこで言葉たくさん詰めるんだとか、聞いたことない未知の体験を味わえました。
フジキの「わかるぅ?」がクセになってきて、たくさん「わかるぅ?」が登場した時にはテンションぶち上げでした。
かと思ったらハイテンポで会話を畳み掛けてくるキャラクターもいたりとそれぞれのキャラクターが思い思いに生きていて良いなぁってなりました。
終盤の展開もそれまでのカオスがしっかりと収束していくような終わり方で、オルリックあんたスゲェよ…と唸らされるばかりでした。
音楽も心地よいピアノのメロディもあればダークな雰囲気を纏った音楽もあったりとで耳が大変なことになっていました。
監督が音楽も作られているという事で凄っ!とエンドロールでなりました。
上映後にトークショーがあり、haiena監督、金子さん、黒崎さんでのトークショーで制作での裏話やおじさんたちのイチャイチャなんかが観れてほっこりしました。
パンフレットにサインもいただけて光栄です。
評価点について釘を刺されたのが面白かったです。
次回作では口が動くようになるみたいなのでどんなアニメーションもとい映画が展開されるのか、今からとても楽しみです。
鑑賞日 6/2
鑑賞時間 20:30〜21:48(鑑賞後舞台挨拶あり)
ゴダール・・・
正直、意味不明で、まさにゴダール的な難解さ。それでも、ゴダール作品を受け入れられなかった自分でも、この作品は、しっかりとゴダールみたい…と思いつつも愛しい…と思っちゃいました。その要因、それはアニメーションだから?我ながら安直な帰結と思うのですが、意外とバカにならないかも─と。ゴダール最後の長編?「イメージの本」などはまさにアニメのようなコラージュ作品で、行き着くところはこんな感じだったのかと今更ながらに想起してしまいます、ゴダールのは全く自分的にはダメでしたけど・・・。
この「ORLIK」は、自分的には、ゴダールを超えていた!と思いました。それは多分、ゴーストバスターズの要素がたくさん含まれていたからなのでしょう、どこが?と問われると返答しかねますが、めっちゃオモロかったことだけは確かです、あくまで個人的見解で。
といいつつも、最初はかなり眠気と戦っていましたが、この映画こそが世界だというまさにゴダール的など思想を感じ取れた瞬間、めっちゃ見入りました。もう何が起こっても、どんな展開になろうとも、全く臆することなく、ただただ作品を楽しんでいたような気がします。音楽の使い方は意外と分かりやすかったので、それも手助けになったかも。
世界が滅亡する瞬間、自分はこの作品を見ていたいかも─、と思ったり─。自分が死ぬ瞬間はべつの作品がいいんですけど─。
映画監督の逆襲!
映像から広がるイマジネーションは、自身の記憶や体験を呼び覚まし、
まだ知らない世界や、見て見ぬフリをしている世界が広がります。
美しいもの汚いもの。喜びや悲しみ、楽しさや辛さ。怒りや妬み僻み、理不尽なことでさえ。その全てが映画になりうる。
映画の優しさと危なさ。
他人の息づかいを感じながらスクリーンに目を凝らすこの時、一人一人が平和の体現者。
映画を観るって、なんてエキサイティング!
美しくノスタルジックなピアノの旋律が素晴らしい。
私は単純な人間なので、もしかするとこの音楽に泣かされたのかもしれませんが。
劇場のシーンは涙が止まりませんでした。
しかし!ノスタルジーやセンチメンタルに浸らせてくれないのがhaiena監督。
スタイリッシュな映像と辛辣なユーモアがやみつきになります。
映画への逆襲であり、自分自身との決別。
次回作が楽しみでならない。
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