兄を持ち運べるサイズにのレビュー・感想・評価
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関係の締めくくりは美しく
満島ひかりさん、相変わらず素晴らしい演技でした。彼女の出演作は今後も観続けたいと思いました。原作の村井理子さんの文章が、ところどころで使われてますが、丁寧で的確でほんのり情緒的。素晴らしい力量ですね。よかったです。近頃、映画で泣かされてばかりです。
うその裏側、うそを許せない裏側
柴咲さんもオダギリさんも満島さんも、とてもよい年齢の重ねかたをしているなあと思った。無理している感(無茶している感)がなく、自然体にみえてとてもよい。
しかし生活保護の審査がされていたということは、あの子の環境を行政も把握していたと思うので、生前からなにかしらの支援はできなかったのだろうか、とちょっと思いました。
主人公がすこし冷たいというか、他者への思いやりのない感じに描かれていて、それでいてちょっと過剰なくらい嘘に敏感なところもあったりして、なんだかんだでいちばんこじらせていて、それはたぶん幼少期の環境なども影響していると思われ、いやもう子どもっていうか人間育てるのってほんとおそろしいわ、とあらためて思う。
『文章で思考する』タイプのひとのあたまのなかをとてもうまく視覚化していて、とてもよかったです。
⭐︎3.9 / 5.0
家族の“ほどけていく気持ち”を静かに描いた物語
突然の訃報をきっかけに、長いあいだ距離を置いていた兄と向き合うことになる主人公・理子。その姿を見ながら、「家族って、こんなふうに簡単には割り切れないよね」と静かに胸が締めつけられました。
大きな事件が起こるわけではなく、淡々とした時間が流れていくのですが、その中に“生きていた証”や“すれ違いの痛み”がにじんでいて、気づけば感情がゆっくり動かされていきます。
とくに印象に残ったのは、散らかった兄の部屋の片付けを通して、理子が兄の知らなかった一面を少しずつ知っていく場面。重たさと優しさが入り混じっていて、自分の家族のことまで思い返してしまいました。
スローテンポな物語なので、じっくり味わうタイプの作品が好きな人向けではありますが、“わだかまりのほどけ方”がとても丁寧で、観終わったあとにそっと心が温まります。
家族に対する感情って、うまく説明できないけれど確かにそこにある――その曖昧で複雑な気持ちを優しく描いた、とても静かで余韻の深い作品でした。
その兄は存在した
好きな邦画『湯を沸かすほどの熱い愛』や『浅田家!』の中野量太監督の5年ぶりとなる新作なので鑑賞。
人によっては好き嫌い分かれるかも知れない作風。主人公が作家だけに、心情がタイプライターされる。
村井理子が自身の体験をもとにつづったノンフィクションエッセイ「兄の終い」の中のセリフが今作のタイトル『兄を持ち運べるサイズ』になっている。
と言うことはホントにいたのか、、、あの兄貴。
今回 "親" を演じた三人、柴咲コウ(本名:山村 幸恵)も44才、オダギリ ジョー(本名:小田切 譲)も49才、満島ひかりも40才だ。
しかし表情豊かな満里奈役の青山姫乃(nicola専属モデル)、良一役の味元耀大(呉美保監督に『ふつうの子ども』で抜擢)など若手の俳優が育っているのも感じる1本。
内容が薄い
ふぅ〜
観終えて吐息が漏れた。
この感じが何度続いているだろう。
ちょっとしんどくなってきた。
ラストの方で怒涛の4日間とか言ってたが、は?
この程度で?
原作者の実体験らしいが、単なる自己満の日記としか思えない。
ユーモラスなところがあるわけでもなく、感動的なわけでもない。
そもそもオダギリジョー演じる兄がクソでしかなく、全く感情移入できない。
それをなんとか良さげに誘導しようとするのは、感動巨編にするためか?
大いに鼻白んだ。
原作者は存じ上げないが、この原作自体の評価は高いのだろうか。
少なくとも私は手に取る気にはなれない。
それに蛇足ながら、句点多すぎない?
最近、ネトフリのドラマを観ている。
最近観た映画より数段おもしろい。
若者は映画を観ないらしいがさもありなん。
プロジェクターを買って自宅をホームシアター化して
アマプラやネトフリのドラマを観た方がいいのでは?と感じ始めた。
迷惑な兄も思い出すと、とってもいい兄になってたりする。誰にも共感できる、ちょっといい話。
疎遠だった兄の突然の訃報。
遺体を引き取りに行く妹は、道すがら過去を思い起こす。
荼毘に付された兄は、持ち運べるサイズになった。
冒頭からめちゃくちゃ嫌で厄介者の兄だが、母親からは愛され嫉妬していた妹。
久々に普通の人役の柴咲コウの少し天然であったかい演技が、とってもいい雰囲気です。
ちょっと控えめで甘えん坊っぽい「妹」という感じがよくでてます。
対する兄のオダギリジョーが、そのユニークなパブリックイメージにちょっと近い?(失礼)役柄で、いかにもぴったり。
回想シーンでのリアルな兄は、本当にしょうもなく、迷惑かけられて嫌われるのも至極当然。
しかし、終盤、みんなが思い起こす「いい部分のイメージ」の兄には泣かされる。
誰にもあるような感情、家族への想いをうまく描いていて、いい話でした。
脚本とキャストで決まるらしい。
普遍的なテーマ
人はいずれ死ぬ、という普遍的なテーマを感じた。
クズ兄に振り回された妹と妻や子達。
オダギリ・ジョーさんのクズっぷりが実に板についている。
「湯を沸かすほどの熱い愛」と同じ中野量太監督。
コメディタッチであるにも関わらず、あちこちで笑いと涙が交錯するような作りにも関わらず、私はこうやってジタバタしていても人はいずれ皆死ぬし、人生って短いとか、その儚さとか悲しさを感じてしまった。
結果、人の一生はその人だけのものだし、だとしたらやはり今日を精一杯生きねばならないだろうとは思えた。
精一杯は無理だとしても、死ぬまでは生きるしかないし。
役者さん達は皆さん適役だと思った。
子役さんも上手。
ラストシーンは特に印象に残った。
突っ込みどころは沢山ある。
でもあえて突っ込まないで、流していい作品なんだと思う。
出演者さんがみんな素晴らしい。 最初は涙そそられる場面がいくつかあ...
違う目線から見た家族の新たな姿。
残念に感じました
あなたは家族の呪縛を支えに昇華できるか
予告編を観てホーム・コメディかと思っていた。
おまけに「ダメ親父」「クズ男の兄」の役でオダギリジョーという設定は、今までに何度か観た記憶があるし、もう賞味期限切れではないか? 観なくても良いかな? と。まぁでも柴咲コウと満島ひかりの芸達者が久しぶりに前面に出ているし、せっかく新宿に『ゴールデンカムイ』を観に来たので、1本だけじゃもったいない。せっかくだからもう1本観ておくか、時間も合うし……程度に高を括っていた。
序盤のオダギリジョーのクズっぷりはスクリーン越しに首を絞めてやりたいくらい。西のダメ親父・クズ男はディカプリオ、東のそれはオダギリジョーで確定だ。
あーそうか、監督の中野量太は『湯を沸かすほどの熱い愛』の監督か! 道理で同じ世界線でオダギリジョーを起用したわけだ。
それが見事にやられてしまった。
今年観た邦画の中でベスト10に入るかもしれない。
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まず技術論から。
この映画、ともかくショットが美しい。美しい景色が写されているのではなく、人、もの、空間の撮り方が極めて映画的で心地よい。
最初に引き込まれたのは、40年前のレストランで、順に写される食品サンプルと主要キャストの名のコンビネーションだ。これは言葉では伝えられないので観ていない人はぜひ御覧いただきたい。
こういった感覚で撮影しているから、あらゆるシーンのアングル、俳優のアップ・引き、すべてに安心し信頼して観られる。
監督とシネマトグラファーは、めちゃくちゃオーソドックスな名作を山ほど観てきたんだろう。
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そしてテーマへ。
誰にでも生物学上の家族として、父母は必ず居る。
場合によっては兄弟姉妹が居るかもしれないし、子、あるいは孫、その他にも血縁親族が居るかもしれない。その親族と婚姻によって結ばれた人びとも社会的家族として居るかもしれない。
その独特の家族関係の中で育った自分の内面には、曰く言い難い「家族同士のわかり合えなさ」 があり、程度の差はあれ拭い難い感情や確執を持て余している。
だから誰もが、「家族」というものには一家言を持っている。
そして「家族の物語」に触れた時、無意識のうちに良くも悪くもさまざまなハレーションを自動的に引き起こす。
これがあなたが持つ束縛、もっと言えば呪縛の正体だ。
だが、その呪縛が自分の出生~成長とほぼ一体となって培われたものである以上、まったく別の人生、別の家族関係、別の記憶を生きることはできない。
だからその家族関係に呪縛を見るのか。支えを見いだすのか。
それは単なるすり替えではなく「一番向き合いたくない他者としての家族」に向き合い、----それは同時に自問と内省によって自分に向き合うことなのだが---家族の中に自分を見、自分の中に家族を見る、「その溶け合った化学反応としての自分」の存在を知るプロセスとなる。
この作品は、派手な事件やエピソードは一切ないけれど、理子(柴咲コウ)にとっても、加奈子(満島ひかり)にとっても、満里奈(青山姫乃)にとっても、良一(味元耀大)にとっても、自分の呪縛を発見し、辛い直面を経て昇華し、支えにしていこうとそれぞれが静かに決意する魂のプロセスの物語である。
終盤、図書館のレストランで良一が理子に「あること」を訊くシーンは不覚にも落涙した。
それは、人生の中で誰でも直面しうる自責であるし、少年の吐露だけによけい胸に刺さる。
女の子で芸達者な子役は多いが、男の子でここまで出来る役者は初めて見た。
ファンタジーだね
家族ってなんだろう
妹のバイアスと誤解 ~兄はつらいよ~
原作はノンフィクション・エッセイ「兄の終い」(著者:村井理子)
時はコロナ過以前。
3.11から復活した東北(塩釜市・多賀城市あたり)が舞台。
全体的に登場人物が少なくてわかりやすい作品です。
主演は柴咲コウさんですが、リコの兄(オダギリジョー)の元嫁カナコ役の満島ひかりさんもほぼ主演でした。
満島ひかりさん、演技を超えて本当に笑って本当に泣いていたように見えます。
終盤、満島ひかりさんが骨を手掴みするシーンがあります。『川っぺりムコリッタ』(2019年)を思い出しました。
冒頭の少年のシーンが、いったい何なのか、それが最後にわかってスッキリします。
リコの想像にも変化があり、笑えたし泣けたしで大満足です。
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