「明日は自分に起きるかもしれない通過儀礼」兄を持ち運べるサイズに 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)
明日は自分に起きるかもしれない通過儀礼
人によって“家族”(=親子や兄弟姉妹)の形はさまざまで、強い絆で結ばれた家族があれば、そうでない家族もあったりします。それでも当たり前の存在だった家族の誰かが亡くなると、その形が急に揺らぎ、変化し、今まで見えなかった家族の姿が露呈したりします。しかもその死が突然となればなおさらです。「兄を持ち運べるサイズに」というタイトルだけを見たら、自分の家族の形によって人それぞれとらえ方が異なることでしょう。
本作は、人生において多くの人が経験することになるであろう家族の死、それを見送る葬儀を通して、家族との関係と自身を振り返り見つめ直していくことになります。結局のところ兄とはいったいどんな人だったのか。自分の知らなかった家族の生前の人生や人間性を知った時、家族であってもその一面性しか見えていなかったことに気づき、人は何を思うかを問いかけてくるような作品です。
他人である恋人、結婚した妻や夫、その間に授かった子どもに対する以上に、家族だからこそ近すぎて、愛情とともに何とも言えない憎しみを抱いてしまったりもします。それは家族にしかわからない、他人には理解できない感情なのではないでしょうか。
明日は自分に起きるかもしれない通過儀礼。愛する人や親しい人が亡くなった後に、あんなことをしてしまった、ああしてあげればよかったとか、もっと話をしたり、お酒を一緒に飲んでおけばよかったなどと後悔しないよう、映画を見終わったら、先延ばししないで一歩踏み出し、“家族”と素直に向き合ってみようと思わせてくれる作品です。
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