「家族の“ほどけていく気持ち”を静かに描いた物語」兄を持ち運べるサイズに 藤宮・アーク・紗希さんの映画レビュー(感想・評価)
家族の“ほどけていく気持ち”を静かに描いた物語
突然の訃報をきっかけに、長いあいだ距離を置いていた兄と向き合うことになる主人公・理子。その姿を見ながら、「家族って、こんなふうに簡単には割り切れないよね」と静かに胸が締めつけられました。
大きな事件が起こるわけではなく、淡々とした時間が流れていくのですが、その中に“生きていた証”や“すれ違いの痛み”がにじんでいて、気づけば感情がゆっくり動かされていきます。
とくに印象に残ったのは、散らかった兄の部屋の片付けを通して、理子が兄の知らなかった一面を少しずつ知っていく場面。重たさと優しさが入り混じっていて、自分の家族のことまで思い返してしまいました。
スローテンポな物語なので、じっくり味わうタイプの作品が好きな人向けではありますが、“わだかまりのほどけ方”がとても丁寧で、観終わったあとにそっと心が温まります。
家族に対する感情って、うまく説明できないけれど確かにそこにある――その曖昧で複雑な気持ちを優しく描いた、とても静かで余韻の深い作品でした。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
