「女優2人の好演技により家族の温かさを感じ、視聴直後はとても暖かい気持ちになったのだが・・・」兄を持ち運べるサイズに Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
女優2人の好演技により家族の温かさを感じ、視聴直後はとても暖かい気持ちになったのだが・・・
中野量太監督による2025年製作(127分/G)の日本映画。配給:カルチュア・パブリッシャーズ、劇場公開日:2025年11月28日。
村井理子による原作エッセイ「兄の終い」は未読。ただ多分、とても優れたエッセイなんだろうとは思えた。
死んだはずのオダギリジヨー演ずる兄は、主人公である妹の柴咲コウの前に何度も現れて会話もするが、それは映画オリジナルの様。元妻の満島ひかりがそれを羨ましがるのが、微笑ましくはあった。取り残された息子の味元耀大も、生活してきたアパートで父親に会うことができた。そういう中で、嘘つきで生活力に欠けお金をたかり母親を見捨てた兄が、優しいときもあり憎めないとこがあったことを思い出していく展開は泣かせる脚本で、中野量太なかなかにお上手。
子供にとっても楽しい父親だった様で、2人で行った場所あちこち(お金がかからないとこ)を主人公と共に巡る展開も映画的で、お見事。ただ、主人公は作家ということでか、画面上で頻繁に出てくる文字が細かくて読みきれずに、ストレスがかなりたまった。映画なんだから文字に頼らず、会話とか映像にきちんと落とし込むべきだろうとは思った。
妹役および元妻としてほぼ出ずっぱりの2人の女優、柴咲コウと満島ひかりの演技は素晴らしく、死者(オダギリジョー)の度々の登場に説得力を与えていた。それで、映画を見終わった直後は、やっぱり家族っていいよなあ、と暖かい気持ちになり、良い映画を有り難うとは思った。
ただ、少し経ったきたところで、泣かせるためのかなりあざとい作りだなあと思えてもきた。そして、遠くから見る分には可愛げのある奴だったで済むかもしれないが、実際にあんなのが身内にいたらやっぱり悲惨だよなあとも思えてきた。それを忘れさせる中野量太脚本監督の強引な力技みたいなとこはかなりあったと。あと、大きなスクリーンで見る意義はあまりなかった映画かなとも。
監督中野量太、原作村井理子、脚本中野量太、製作崔相基 小林敏之 和田佳恵 エリック・ル・ボ 高丹 篠田学、エグゼクティブプロデューサー後藤哲、企画プロデュース小川真司
プロデューサー片山武志 若林雄介 久保田恵、アソシエイトプロデューサー黄茂昌 黄寶嫻
撮影岩永洋、照明谷本幸治、録音猪股正幸、美術大原清孝、装飾榊さくら、スタイリスト
西留由起子、ヘアメイク山田みずき 石川奈緒記、編集瀧田隆一、音楽世武裕子、音響効果
勝亦さくら、助監督本田大介、キャスティングディレクター杉野剛、ラインプロデューサー
天野佑亮、宣伝プロデューサー平下敦子。
出演
村井理子柴咲コウ、兄オダギリジョー、加奈子満島ひかり、満里奈青山姫乃、良一味元耀大
斉藤陽一郎、岩瀬亮、浦井のりひろ、足立智充、村川絵梨、不破万作、吹越満。
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