コラテラルのレビュー・感想・評価
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主人公と悪役の化学反応。その表現が上手い。
○作品全体
タイトルである「コラテラル」は作中でも主人公・マックスのセリフに登場する。「巻き添え」という意味だが、その意味合いにおいても、マックスが口にする状況においてもネガティブな印象しかない。しかしその「巻き添え」によってマックスの中で眠っていた行動力を目覚めさせる。マックスにとっては強制的に起こされた、とも言えるが、「巻き添え」にした側であるヴィンセントにも様々な影響を及ぼしていく。マックスとヴィンセント、それぞれがマックスの心情の変化に翻弄されていく姿がおもしろかった。
高速道路へヴィンセントのカバンを投げ捨てるまでのマックスは、自分の世界に閉じこもるような人生を送っている。お気に入りの写真を眺め、現実的でない「いつか」に想いを馳せる。ゆったりとしたBGMとロサンゼルスのネオンも相まって、マックスにとっては居心地の良い世界が演出されている。乗客のアニーとも話が弾み、マックスにとって悪くない世界が展開される。
しかし、マックスの目標にシビアに目を向けるのであればそれは空想でしかない。その空想にメスを挿れたのが、ヴィンセントだ。
物語の展開を見れば、話が動き出すのはタクシーに死体が落ちてきたシーンからだろう。マックスの環境に変化が起こったのも、もちろんこのシーンだ。しかし、マックスの精神世界をヴィンセントが侵し始めたのは母への見舞いのシーンだ。
近親者に殺人者であるヴィンセントが近づくだけでも、ヴィンセントへの敵対心が募るのがわかる。それに加えてマックスにとって希望の光である将来の夢をもヴィンセントに侵食されてしまった。これがどれほどマックスにとって辛い出来事だっただろうか。その証左はヴィンセントのカバンを捨てる、という「今の任務」にしか興味のないヴィンセントへダメージを与える行為。マックス自身が大事にしているなにかに触れ、それによってマックスが「ハンドルを握らされるだけ」という状況から変わり始めた証でもあるこのシーンは、マックスの心情の変化を捉えるうえで重要なシーンだ。
「いつか」に思いを馳せるだけのマックスを利用しているのもヴィンセントだが、そのマックスを変えたのもヴィンセント。「いつか」でなく「いま」のために立ち向かうマックスの行動はさらに鋭利になっていくが、ヴィンセントの「いま」だけに注力する行動との化学反応とも言えるだろうか。心情変化とそのスピード感が魅力な作品だ。
ラストは「地下鉄で死んだ男がいる でも誰も気づかない」というヴィンセントのセリフが良い。ヴィンセントは人間を、そして自分を宇宙の塵でしかないと考えている。過去になにを成したか、未来になにをするか、そういった夢は持ち得ない人物だ。そんな自分の考えを貫き通すようなセリフでもあるし、「宇宙の塵」として消えていく無情さや哀愁を感じさせるセリフでもある。序盤で何気なくでてきたセリフをラストに持ってくるところにも「一夜の物語」という刹那的な情景を演出する一要素にもなっていた。
これは個人的な受け取り方だが、ヴィンセントがマックスへ向けた「手向け」の言葉のようにも聞こえた。未来を見据えてなにかを成さなければ誰にも気づかず死に、放置された人間のように…ヴィンセントのようになってしまうと。そのために動かねばならないということをマックスへ残したような気がした。
ラストカットはヴィンセントを乗せてマックスたちから離れていく列車を映す。巻き添えにされて列車から降りたマックスは、アニーを連れて夜空の下を進んでいく。ヴィンセントから逃れたとも言えるし、ヴィンセントによって空想世界から抜け出せたとも言える。役目を終えたかのように離れていく列車から伝わる余韻が心地良い。
○カメラワークとか
・アクションの撮り方が上手い。最初の犠牲者の部屋に入っていくロス市警の刑事。寝室のドアを開ける前のカットは長回しで刑事の周りを回り込むカメラワーク。刑事の緊張した表情を見せたあとにその視線の先を映す、ということを繰り返すのだが、カメラのパンの速度に緩急があり、刑事の緊張感と呼応するような動きが面白い。
韓国人の経営するクラブで打ち合うシーンも撃つ、撃たれる以外に視線の動線が示され、誰が何を見て、何を狙っているのか、というのが提示されていく。スピード感あるアクションの中にキチンと順序がある、と言ったような。
・車内シーンが多いけれど、アニーとのシーンはカメラが車外にあったり、車外から映すカットがあってユーモラスな印象があった。一方でヴィンセントが乗った後は車の前方から中身を映すようなカットがほとんど。前後の位置関係を強くすることにより、マックスがヴィンセントの囚われ(ヴィンセントの視界の中に囚われている状況)になっていることを印象付けていた。
一方で俯瞰で上空からタクシーを映すカットもあった。主に2人が乗るタクシーだけが反対車線を走る車と逆の方向を走っていたり、タクシーのみが映るカットで使われている。これは物語の流れとも呼応していて、一番わかりやすいのはマックスがタクシーを横転させる前のシーン。誰も走ってない道路を走るタクシーはマックスの精神世界の体現化ではないだろうか。マックス1人だけの世界というような、自分自身と会話をするような姿とシンクロしているように感じた。
○その他
・マックスがタクシーを横転させるまでのシーンが本当に素晴らしかった。唯一の救いの手だった刑事を殺され、またしてもヴィンセントの囚われとなったマックスが、「ハンドルを握らされている」状況から「ハンドルを支配している」状況になるまでの心情描写が上手だった。心情の変化をそのまま動きとしてタクシーが暴走するのも、シンプルながら実直に伝わってくる。アクションとドラマが同時に加速するシーン作り。これが凄く上手い。
匂う×クサいが生み出したもの
トム・クルーズ
この人ほど過小評価されている役者は存在しないのだが、30年近く第一線で活躍した彼の代表作を挙げるのは難しい。
5位・インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
4位・デイズ・オブ・サンダー
3位・M:I-2
2位・コラテラル
1位・ナイト&デイ
これがオレの彼の名演ベスト。それぞれめっちゃ語りたいが、それはまた今度。
5位・7月4日に生まれて
4位・コラテラル
3位・アイズワイドシャット
2位・オール・ユー・ニード・イズ・キル
1位・宇宙戦争
これがオレの彼の出た名作ベスト。
そう、ほぼ一致していない。
ある意味アル・パチーノもそうなのだが、彼自身の評価と出演作の評価は必ずしも一致しない。
個人的には「求められたイメージの踏襲と別解釈」こそが彼の唯一無比の存在にしていると思っている。
マイケル・マンは「ラスト・オブ・モヒカン」が猛烈に好きだったのだが、それはオレのケツが青かったせいでもある。「ヒート」は無駄に長いだけ。ほかどうでもいい作品群が並ぶが、共通していえるのは、
「匂うほどのロマンチスト」。
「コラテラル」。
トム・クルーズの役柄とルックスの違和感、それでも醸し出すクルーズらしさの天然さと、マンの匂い立つ夜景描写とストーリーそっちのけのロマン優先の絵作りと設定が混ざり合って「気持ち悪さ」になる。
そこにFOXXXXX。ジェイミー・フォックスがこのめんどくさいやつらに緩急をつける。
トム演じるヴィンセントに散々振り回されるのだが、こいつの言うことが一言一言がキモくて、それにマジでビビるのが、XXX演じるマックス。
最初の仕事の後もさっさとマックスを殺せばいいのに、それはしない。
そう、この映画、このやり取りがほしいからこその映画。
ほかの設定ははっきり言ってどうでもいい。ほかのつじつま合わせ、マックスの境遇、成長などどうでもいい。トムも暗殺者に見えない仕事っぷりがマジですか?というぐらいザルだ。
整合性。マイケル・マンに一番求めてはいけないことでもある。
だが、トムの似合わない白髪頭とそれに真反対なまっすぐな瞳とキ〇〇イな言動がとにかく謎の男、と呼ぶにふさわしい、素晴らしい効果を見せている。
それは、ラストの逃走劇。
ヴィンセントは逃げるマックスの行く先をちゃんと迷わず、まかれることなく追跡する。これまでの得体のしれないヴィンセントという存在の見せ方の積み重ねが、ここで一気に爆発、昇華する。
トムがヴィンセントを演じるという違和感、彼らしさ、天然さを随所に生かしたキモさ、それこそがこの映画の吸引力である。
そしてラストの明け方の電車。
匂うほどのマンのキモいLAの夜景と、ヴィンセントとの一夜の終わりとともに映画は終わる。
素晴らしいラストだ。トム・クルーズ一世一代の渾身の演技の終わりにふさわしい。
一方オープニングのヴィンセントとマックスが会うまでの昼間のLAの顔がとてもいい。マンの夜景信者はその意味をこの映画でもう一度かみしめるといい。
追記
それ以外のダンスフロアでの銃撃戦とかもう、ダッサイの、うるさいの、つまらない。
オレの、マンの一番嫌いな部分だ。
実はこの映画の主役は、冷酷な殺し屋ヴィンセント(トム・クルーズ)で...
キャストはすごい!脚本はガバガバかも
冒頭、ジェイソン・ステイサムがちょい役で出てきてまずビックリ。
本当に一瞬の登場だったけど、彼特有の声とあのアクセントでシビレた!私は彼のコックニー訛りの汚い(差別発言失礼)英語が大好き…♡
そしてアニー役のジェイダ。彼女も好きな役者さん。
マックスといい感じ♡と思っていたら、あらら標的の1人なのね。世間は狭いわぁ…て、初っ端にヴィンセントとすれ違ってますやん。え、凄腕の殺し屋なのにそんなことある?
何だかこの映画のトム・クルーズは感情ぶっ壊れた殺人マシーン、頭も切れるし腕もピカイチ…風を装ってるけど、一人目の殺人からマックスの車に死体降らせちゃうし、ひと前に顔は出さない…😏みたいに言ってるくせにクラブで大勢の前でバンバン殺すし、割とマヌケ?あんまりすごくないんじゃ…?と思ってしまう。
マックスも殺し屋を母親のところにノコノコ連れて行くとか、あり得なくない?逃げるタイミングもいくらでもあったのに逃げないし、何か前触れもなく急にアドリブが上手くなるシーンとかも視聴者からしたら「え?なに?突然の覚醒?なんかあった?」て戸惑う。
このように、ストーリーは結構ガバガバでツッコミどころ満載だけど、なにせキャストが豪華だし(刑事さん、どこかで見たことあるけど誰だっけ?と思ったらマーク・ラファロ!若い!かっこいい!)俯瞰で見るロサンゼルスの街や挟まれるジャズシーン(何でジャズのエピソード挟むのにNYじゃないんだろう?LAでやることに何か意味があったのか?私にはわからなかったけど…)や工夫されたカメラワーク、音楽もセンス良くて総合的には見て良かった、と思える作品でした。
若い頃は特にかっこいいなー
ジェイミーフォックス前回ベイビー・ドライバーで悪役上手だったけど善人役も上手
銀髪かっこいいなー、オオカミみたいって思ってたら途中本物出てきてちょいびびった
さすがにあんなにぶっ放してたら通報されるだろ
急にスイッチ入れるじゃん
てかタクシー乗り換えれば良いのに
何で撃たれて生きてんの? 不死身で不気味
最後そこまで大きな伏線回収とかなく終わってちょっと物足りなかった
圧巻で圧倒される
2004年の作品
解説にあったようにクライムサスペンス
そして多層的な意味を持つ「コラテラル」をタイトルにしているのは圧巻ともいえるほど秀逸さを感じる。
当時、地上波で見た記憶があったが、酒を片手のエンタメ作品としての認識しかなかった。
冒頭に登場するジェイソンステイサムとトム・クルーズの共演に心が躍るが、ジェイソンの出演はそれだけ。
つまり、ここで物語の余計な部分がはがされる。
監督はこの部分を使い、「視聴者のそんな期待度を超えて見せよう」と言っているのだ。
そしてその通りだった。
映像はもちろん、脚本も圧巻なハリウッドだが、2004年にこんな大作を作っていたのは驚きで、今でもまったく色褪せることのない面白さが詰まっている。
この作品の脚本と構成は本当に凄い。
トムの起用は、ミッションインポッシブル2の後ということもあり、ビンセントとイーサンは真逆のポジションに位置しながら、その思考、つまり任務に対して極めて冷静かつ論理的な行動や、感情に流されず、状況を分析し、最適な手段を選ぶ姿勢は共通しているように感じる。
ヴィンセントは「誰もが孤独で、死は避けられない」と語る一方、イーサンも、仲間を持ちながらも常に孤独な選択を迫られる存在 どちらも「孤独を受け入れた者」という点で共通している。
このイーサンの雰囲気を我々は最初から勝手に感じ、勝手にビンセントに対する受容を持ってしまう。
これこそが監督の罠
同時にタクシードライバーのマックスの紳士的かつ人間的な性格に受容を持つ。
このビンセントのスマートな殺し方 顔色変えずに射殺する姿 彼の任務が何かわからないが、そこに視聴者は、勝手に悪と戦っているような錯覚に陥る。
ところが実際は逆
マックスは淡々と語るビンセントに心の底から震えが止まらないのだろう。
「人が必ず持っているものを、お前は持ってない」という言葉で揶揄する。
加えてビンセントは非常に賢く、知識があって哲学的思考を持っている。
しかしその思考はスロットマシーンのようにその時々で、状況次第によって変更される。
まるで弁論部の弁論大会のようだ。
ビンセントの無駄のない動き方と派手なアクションと知性によって、視聴者の視点はあくまでビンセントを追うのだろう。
同時に視聴者はマックスの視点でこの物語を考える。
しかしどうしてもビンセントから逃れられない。
この面白さ
4人目を殺すまでは、この物語はクライムアクションだが、5人目のターゲットがあの女性弁護士アニーだったことで、マックスのスイッチが切り替わる。
このスイッチを切り替え、目の前の問題に対処することをずっと教え続けていたのが、他ならぬビンセントだった。
この面白さ
そしてここからは急にクライムサスペンスになる。
事故を起こしたタクシーの中にあった死体を発見した警察官
拳銃を奪い警官に手錠してアニーのところへ向かうマックス
ハラハラドキドキもちょうどよく、地下鉄での対峙
マックスの夢と母についていた嘘
できるのにいつまで経っても踏ん切りがつかない人生
そして、
客のアリーと同じ質問をするビンセントという設定
この面白さ
ビンセントはサイコともいえるほどの人格
あのようなやり方でトランぺッターを殺すというのは、視聴者もマックスにとっても驚きでしかない。
この仕事のために捨てた人格
「人であれば誰もが持っているもの」を捨てたビンセント
アリーの仕事の大変さを気遣って渡したモルジブのポストカードに込められた想い
この想いがビンセントよりも「先」だったのだろう。
マックスがアリーに言った「この写真を持っているといいことがありますよ」
その良いことは、自分自身の行動だった。
この人生の因果関係が、まわりまわっているということと、ビンセントの「ロスの地下鉄で男が一人死んだところで誰も無関心だ」という言葉
ここが考え方の大きな違いだったのだろう。
ビンセントの話す正しさも、正しいように思える。
マックスが思う考えは、弁論部のようになってしまうと簡単に負けてしまえるように感じる。
しかし、マックスのウィークポイントをほんの少しだけ修正すれば、ビンセントにさえ勝ってしまうことができる。
タイトルから汲み取ることのできる意味
巻き添え被害 人間関係の担保 副次的な出会いと変化
タイトルなどは後付けだと思われるが見事なセンスだった。
スリリングで飽きの来ないアクションも1流だろう。
やっぱり何よりも良かったのが脚本と構成だったように思う。
単純明快なビンセントの仕事に、その過程で起きたこの物語
どこをとっても素晴らしい作品だった。
主人公ふたりの対比が楽しい
夢見る運転手:仕事で走り銃で脅され走り最後は自分の意思でどんどん走る。走りながら殺し屋の大切(らしい)バッグをでえい!と放り捨てたシーンは可愛かった。怖い殺し屋を怖がってるのにその怖い男が激怒するだろう行動をそこで取っちゃうのか君は。
瞳煌めく殺し屋:レオンのノーマン・スタンスフィールドやダイハードのハンス・グルーバーを思い出しながら見たが、また違った壊れ方をしていて良かった。「親は子の欠点を自分の中に見出して咎める」。殺す事だけに秀でた哀しいはずれ者。
肝の冷えるユーモアもあればタイトな銃撃戦もあり、パズルのピースがパチンパチンと嵌って気持ち良く、大都会の酷い詩情をもって終わる。
(この後は現実を直視してリスク計算もちゃんとして有効性の高い努力を積むんだよ、でないとあっという間にアニーに振られるからね…… と観終わった後ずっと心配してる)
マックスがいつ殺されるのかとハラハラドキドキでした
感情移入したのがタクシードライバーのマックスでした。警察やFBIから犯人と間違えられて殺されるのではないかとハラハラドキドキでした。ただ、殺し屋ヴィンセントには感情移入できず。アランドロンの「サムライ」のような殺し屋だったら感動したかも。
空港にいたジェイソン・ステイサムは、いつ再登場するのか期待していたら、結局出てこなかったのは、なんとなく詐欺っぽい。
トムがシュワちゃんみたいで
…前半はトム・クルーズのクールな
立ち振舞いがカッコよかった~
マックスの性格の良さと
相対的な考えの二人がおもしろい
トムのどこかいい人という
先入観もあって悪人とは思えない
市警に追われる様になってから
いつまでもタクシーの運転手をするのか
一歩踏み出せとマックスに持論を話し
女性検事に電話をかけろ…と
そしてマックスは彼女助けるために
一歩踏み出す
ヴィンセントは
最後のターゲットがマックスの大切な人
と知っての事だったのかも知れない
一歩踏み出したマックスに多分…
(殺し屋がマックスと彼女を殺すことは
簡単なことだから)敢えて撃たれた?
電車の中で顔をうな垂れて
そのまま電車が過ぎ去っていく
…余韻の残る作品でした
かっこいいトムだけど顔が若くて
髪が白髪なのはちょっと違和感でした
M:Iとは一味違うトム・クルーズとさすがのジェイミー・フォックス!
6月9日(月)
本当はピューを観に行きたかったのだが、見逃していたトム・クルーズをBSでやるじやないか。20年前のトムを観ておこうとNHK-BSで「コラテラル」を。
私は監督マイケル・マンと言えば「ラスト・オブ・モヒカン」なのだが(「フォールガイ」でも出て来たね)、2004年公開で見逃していた本作も一味違うトム・クルーズが観られた。
LAに着いたビンセント(トム・クルーズ)は、ぶつかった男(このシーンのみのカメオ出演ジェイソン・ステイサム)と持っていたカバンをすり替える。この後十数分はビンセントは登場せず、タクシードライバーのマックス(ジェイミー・フォックス)の姿が描かれる。ある意味、主人公はマックスである。
稼げる夜のタクシーをやっているマックスは乗せた女性客の身なりから弁護士とふむ(観察力がある事が判る)が「検事よ」。
アニー検事とどの道を行くと早いか賭けて勝ち、困る事があったら連絡して、と名刺を貰う(これがちゃんと伏線になる)。
その後にビンセントを乗せたマックスは、一晩の稼ぎの倍額で一晩彼の運転をする事になる。
最初に行った場所で死体が降って来てタクシーを直撃し、トランクに死体を入れて次の場所へ向かわされる。ビンセントは麻薬組織に雇われた殺し屋で、次々と検察側の証人を殺していく。
耐えられなくなったマックスは、彼のカバンを奪い逃げる。本作でもトムは走る!ジェイミー・フォックスを追って走る。
マックスは陸橋の上からカバンをハイウェイに投げ捨てターゲットのデータを破壊する。
しかし、ビンセントはマックスに依頼人から再度データを貰いに行くよう脅される。母のいる病院に寄ったから母の存在を知られてしまったマックスは、覚悟を決めてデータを貰いに行く。ヤバい緊張感の中、度胸のすわったやり取りでデータをゲットする。4人目のターゲットを殺したビンセントを乗せたマックスは、減速せずにタクシーをクラッシュさせるが、ビンセントは最後のターゲットに向かう。マックスは、最後のターゲットがアニー検事だったと知り、なんとか彼女に電話しようと試みるのだが、…。
夜のLAを切り取ったスタイリッシュな映像と半端ない緊張感に包まれたスリリングで見応えのある作品だった。
改めて言うけど、ジェイミー・フォックスは、上手いね。
これまで見逃していたが、とても面白いことを発見
本作「コラテラル」と同時期の「コラテラル・ダメージ」が自分の中で重なって区別がつきませんでした。本日、本作がNHKBSプレミアムシネマで放映されていたのを見逃したので、アマプラにアップされていた本作を視聴しました。
プロット、ストーリー、演出のどれもがよくできています。加えて、全編に流れる音楽(インストルメントもボーカルも)がストーリーの流れに合わせて繊細な気分に寄り添ったり、気分を盛り上げたりと、良く出来た作品です。トム・クルーズの悪役の人物造形、巻き込まれた運転手役(ジェイミー・フォックス)の人物造形は、それぞれに面白いです。イーサン・ハントが殺し屋になって襲って来ると想像すると、とても怖いです。
是非、本作をご覧ください。
ヒットマン、トム・クルーズ‼️
あのトム・クルーズが、銀髪&無精髭で本格的な悪役ヴィンセントをカッコ良く演じるクライム・サスペンス・アクション‼️不幸にもプロの殺し屋を乗せてしまったタクシー運転手マックスの壮絶な悪夢の一夜を、マイケル・マン監督お得意のスタイリッシュかつ緊張感ある演出で描いた傑作ですね‼️まず冒頭、空港でヴィンセントがスーツケースを交換する男がなんとジェイソン・ステイサム‼️このシーンだけの登場がスゴく勿体無い豪華共演‼️マックスのタクシーの上に死体が叩き付けられる一人目の殺しから、クールに冷静に次々と殺しを実行していくヴィンセント‼️「60億の人間の一人がいなくなっただけだ」とのヴィンセントのセリフ‼️まるで「第三の男」のハリー・ライム‼️狂ってますね‼️殺害のターゲットである女性弁護士のアニーを連れたマックスが、地下鉄内でヴィンセントと対決するクライマックスは、凄まじいドキドキ感で観る者を圧倒‼️そして地下鉄の客席に座ったまま息絶えたヴィンセントを乗せて地下鉄が走っていくラストも、クールな余韻が残る‼️まさしく「嵐の後の静けさ」ですね‼️
夜のla
【”巻き添え運転手、悪夢の一夜。”今作は、人心を失った哀しき殺し屋を自身のタクシーに乗せてしまった人心ある男が経験する悪夢の如きスリリングな一夜を描いたクライムアクション映画である。】
■ロサンゼルスの12年の経験に基づき街の道路を知り尽くしているタクシー運転手マックス(ジェイミー・フォックス)は、ヴィンセント(トム・クルーズ)というビジネスマン風を拾い、マックスのドライバーの腕を見込んだ彼から、600ドルで一晩で5カ所を回るよう依頼される。
だがヴィンセントの正体はプロの殺し屋で、麻薬組織から検察側の証人殺害を請け負っていた。そしてマックスは彼の運転手をさせられるのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・マックスは夜専門の雇われタクシー運転手。漠然と独立を考えているが、12年間同じ仕事をしている。
最初に乗せたアニー・ファレル(ジェイダ・ビンケット=スミス)という女性検事を乗せた際に、どの道を行くのが早いか賭けをして、見事に勝利し彼女から”困った時は連絡して。”と名刺を貰う。
ー この最序盤の何気ない設定が、最後半に効いてくるのである。ー
・序盤の空港でヴィンセントが、男(ジェイソン・ステイサム!)とぶつかった後に、マックスのタクシーにスーツケースと共に、乗り込むシーン。
マックスはご機嫌だったが、ヴィンセントの申し出を躊躇いながらも引き受ける。
ー だが、そこから悪夢の一夜が始まるのである。-
・”ちょっと待っててくれ”と言われ、一カ所目でノンビリタクシー内で待っていると、彼のタクシーの上に突如死体が落ちて来る。
ー そして、戻って来たヴィンセントが本性を出して行くのである。”地球には60億人いる。その一人が居なくなっただけだ・・。”ー
・その後、次々に証人殺害を実行していく冷酷なヴィンセント。タクシー車内でのヴィンセントとマックスの会話。”親父から虐待を受けて、里子に出されたり戻ったり。””で?””12歳で親父を殺したよ。”
ー マックスは、ヴィンセントの心に人心がない事を悟り、彼のスーツケースを奪いハイウエーの陸橋の上から投げ捨てるのである。-
・だが、ヴィンセントはマックスに対し、殺しの依頼人のフィリックス(ハビエル・バルデム)の所に行き、スーツケースの中のデータを再度貰いに行くように脅すのである。
ー このシーンの、マックスがフィリックスからデータを貰うシーンの緊迫感が凄い。マックスが胆の据わった男である事が、分かるシーンでもある。-
・そして、マックスはヴィンセントを乗せたまま、猛スピードでタクシーを走らせ大クラッシュをした際に、彼の最後の殺害対象が、アニー・ファレルという女性検事である事を知るのである。
■ここからの、マックスの人心ある行動が凄い。
逃げれば良いのに、彼はアニー・ファレルに電話し逃げるように指示しながらも、自らもアニーのいるビルに侵入したヴィンセントを止めようと、彼を追って行くのである。
そして、最終盤の地下鉄で逃げるマックスとアニーを追うヴィンセントのシーンは、スリリングでハラハラドキドキである。
<今作は、人心無き殺し屋を自身のタクシーに乗せてしまった、人心ある男が経験するスリリングクライムアクション映画なのである。>
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