「答えの出ない聲、そしてその意味…」ブルーボーイ事件 鈴吉さんの映画レビュー(感想・評価)
答えの出ない聲、そしてその意味…
「素人役者さんも含めた演出でしょ… 映画として成り立つの?」
そんな感情を持っていた自分の頬を引っ叩きました
各俳優さんの全霊の演技、セリフに頼らない背景表現、必要最小限にして的確な編集、
「映える」なんて陳腐な言葉では無い「伝える」事の必死さが心に刺さる
年度末にかけてなんて凄い作品を捻じ込んでくるのか
年代的にはカルーセル 麻紀さん辺りが当該となるのかと感じながら
中川未悠さんを始め当事者としての出演を決意頂いた方々に感謝の念を抱きました
飯塚花笑監督を始め皆様の活動が何らかの身を結びます事を心から願います
事前知識がまったくない状態で予告だけを見ての鑑賞でしたが
主役だけでなく「嫌なキャラ」は嫌な印象を「サブキャラ」は地味ながらの存在感をといった細かい演出が出演者全員を本作の主軸として成り立たせていると感じました
ラストシーンの切り取り方も美しく、そして決して見て残念な気持ちになる作品ではありません
生きていくための水商売そして売春、生活する場所どころか出生・性別すら「無い」ものとされた方々がどのように扱われてきたのか
保護してくれと言っているわけじゃない、危害を加えると脅してなんていない、
只、「普通に生きたい」 それが叶わない現実がかつて実際に有った
そして現在、それは「過去のもの」ですか?
LGBTQX当事者の方々が自ら表舞台に出てきて、時にはわざとらしいくらい派手な行動をしなければ話題として取り上げられない
その事による負担は計り知れないものが有る
本作の主義は「感じ・考える事の提案」ではないかと思います
法律が変わったとしても世間の「見方」は変わらないかもしれない
では「それ」を規定しているものは何なのか?
「治療」でなければ施術出来ない 「障害」でなければ認められない
医療界としての限界、法曹界としての限界、そして「判断を下されるだけ」の当事者達
「変わるのは自分ですか?」「それとも環境ですか?」
答えは今でも…
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