劇場公開日 2025年11月14日

「感情も社会も法律も、解きほぐしていきたいという願い」ブルーボーイ事件 Jugem2さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 感情も社会も法律も、解きほぐしていきたいという願い

2025年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

驚く

前情報は予告編のみで興味を惹かれたので観ました。
作り手の熱意によって、丁寧で純度の高いメッセージに昇華された、良作だと思いました。
当事者達の感情が想像され伝わってきて、同時に社会的に重要な視点を与えてくれました。

まず出演者の演技が素晴らしいと思い、鑑賞後に調べるまで知らなかったのですが、トランスジェンダー役の俳優は実際にトランスジェンダーの方々だったんですね。誇張や歪曲など、嫌味や過剰な演出が一切感じられなかった、この作品の魅力に納得がいきました。空想ではない実地の感性や精神性によって構築されていたからこその表現力だったのかと。

そして社会的な観点からは、「個人の人生の問題」「社会の認識の問題」「法律などの制度の問題」これらが絡み合っている問題の構造を示してくれています。
特に「男」「女」は論点によって定義が変わる言葉です。「生物学上の性別」「精神や社会通念」「法律上の定義」。この3つをごちゃ混ぜにした議論は、現代でもしばしば混迷の原因になりますが、作中の裁判のやり取りは、その構造を解きほぐす糸口を示しています。

描かれているのは過去の悲しい局所的な一事件ですが、それ以上の多くの心情や周辺情報が読み取れるほどに丁寧に作られていると思いました。それはマイノリティの苦難だけではなく、これは解決でき得る問題なのだというメッセージに感じられました。

Jugem2
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