「「井の中の蛙大海を知らず」」わたしの頭はいつもうるさい 寒村さんの映画レビュー(感想・評価)
「井の中の蛙大海を知らず」
「井の中の蛙大海を知らず」を絵に描いて額縁に飾っているような18歳の自分からの問いかけが聞こえる25歳の主人公。主人公は、過去の自分からの問いかけに答えようともがき、あがく。
ある意味「海の広さと深さ」を知ってしまった主人公は、過去の自分からの問いかけに戸惑ってもいる。いっそ、過去の自分からの問いかけを聞こえないフリをしたり、忘れたりしたりできるから(主人公の同棲相手の新平は完全に忘れているに違いない)。
でも、主人公はそうしない。真摯に答えて、自分が今どんな人間で何ができるのかを認めようとしている(それはとてもツラいことだから)。物凄く真面目。でも、今を認めることで、見えてこなかった風景が見えてくる——。
宮森玲実さんと笠松七海さんの2人も良かったけど、主人公の母親役を演じた藤田朋子さんがいい。主人公よりも主人公のことを信じている姿が健気。そして、藤田朋子さんがいる実家がとても柔らかい光に満ちている。
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