「ドリヴンを再評価する時がきた」映画「F1(R) エフワン」 ふぇるさんの映画レビュー(感想・評価)
ドリヴンを再評価する時がきた
F1を題材にした作品といえば、ドリヴンがある。
先に言っておくとドリヴン肯定派だ。F1とはこういうものだというのがステレオタイプだが大筋分かるし、エンタメに振り切っている。
レース映像は映画用に撮影したものではないが、実際のレース映像を編集しそれっぽくうまく見せている。
引退したベテランドライバーが若手のチームメイトになるという筋書きも本作と同じだ。スリップストリームを使ってチームメイトの順位を上げていくシーンも同じだ。コシンスキーはドリヴンが好きなのか?と錯覚してしまう。
また、なにより2時間に収まっている。
F1自体をあまり観たことが無い人はドリヴンの方が何も考えないで観れる分楽しめるかもしれない。(世間的には酷評だが)
本作はF1が戦略的スポーツだというのをかなり突っ込んだ内容になっている。
タイヤ戦略やピット戦略などF1の一番楽しい部分でもあり、一番ややこしい部分である。
慣れていない人からしてみれば何をやっているのかわかりづらいかもしれない。しかし、F1がスポンサードしているからこそ、そこまで突っ込んだ内容に出来たのである。
また、ルイス・ハミルトンやトト・ウォルフがプロデューサーとして参加しており、おそらくAPXGPのモデルはメルセデスであろう。チームカラーも同じ白である。だが、作中にメルセデスは別に存在している。そういった公式や内部の人が制作にかかわっているからこそ、戦略会議や風洞、シミュレーターなど内部のシーンがリアルになるのである。
実在のドライバーはもちろん出演していて、実在のレースの中にAPXGPという架空のチームが紛れ込んでいる点も面白い。主人公に何げなく声を掛けてくるのが実在の人物というのが妙な感じになる。
しかし、このサーキットにはこの戦略というのを理解出来ればいいのだが、その戦略的部分を楽しめないとせっかくのレースシーンもあまり変わり映えのないものに見えてしまうかもしれない。
F1は基本的には上位以外は勝てないスポーツである。
だが、本作のように何かしらのアクシデントで下位チームが上位に挙がってくることがある。そこがF1の面白いところでもある。そこを引き出した本作はコアなファンまで楽しめるものになっていると思う。
意図的にアクシデントを起こしているのは問題外だが...
