劇場公開日 2025年9月5日

ふつうの子どものレビュー・感想・評価

全109件中、1~20件目を表示

5.0なんてすばらしい子役たち

2025年9月30日
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鑑賞方法:映画館

どこからこんな味のある子どもたちを見つけてきたのだ。特に主役の子どもが最高だ。と思ってたら、呉監督の前作「ぼくが生きてる、ふたつの世界」にも出演していた。
でも最後には瀧内公美が全て持っていった。なんという強烈なインパクト。でも、実際ああいう人いるよね、と思わせる絶妙な存在感があった。

物語は環境問題への意識から子どもたちが街で、啓発活動をするのだが、子どもの発想だからそれはいたずらじみていて、しかし次第にエスカレートしていき騒動へと発展していくというもの。子どもじみたいたずらだったとしても、彼らはきちんと地球の未来を考えている。時に恋心で揺らいでしまうのもリアル。そして、何かを達成した、注目されたという高揚感に心が囚われてしまうと周囲が見えなくなることの危うさも描かれていた。
大人はこの子たちの声に耳を傾けているだろうか、責任を取っているだろうか。大人はこの子たちのことを叱る資格があるだろうか。そんなことを痛烈に突きつけつつも、笑いの絶えない96分だった。

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杉本穂高

3.5前提ではなく、結果が生み出す群像劇。

2025年9月7日
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鑑賞方法:映画館

知的

呉美保監督の『ふつうの子ども』を観た。
『そこのみにて光輝く』(2014)はもちろん観ているが、『きみはいい子』(2015)は未見だ。『酒井家のしあわせ』(2006)、『おかんの嫁入り』(2010)は当然観ていて、今改めて彼女は家族を描き続けきたのだなぁと感慨ひとしきり。ひとりの人物にフォーカスすることは、その傍らに居る人たちを描くことになる。だから豊かな群像劇になる。それは前提ではなく結果だ。

『ふつうの子ども』の最大の成果は撮影にある。背景を飛ばし、ソフトフォーカスな映像で子どもたちの「顔」を映し出す。まるで往年のハリウッドのスターを映し出すかのようなその絵に驚嘆した。

細かいことを突き詰めていくと、日常=つまり「普通」の描写は成立しなくなる。そんなことはとっくに分かっているとばかりに、監督は敢えて彼らを暴走させる。というか、成り行きに任せる。おいおい、一体どこまで連れて行くんだ…。男ふたりと女がひとり、三人揃って走る姿は、ルルーシュの『突然炎のごとく』(1962)であり、ロベール・アンリコの『冒険者たち』(1967)そのものではないか!

その時、たまたまめぐり合わせた三人が、迷うことなく挑戦する。その様がなんとも心地良い。子どもたちの疾走を描いた先にあるのは、至って普通な大人たちの反応だ。子どもたちの周りで、至って普通な大人たちがオロオロした先で、素朴だけれど、人生を変えるようなひと言が飛び出し。あ、そうなのかと合点がいった。それが「ふつう」なのだ。子どもたちの日常にある普遍を導き出す編集が効いている。

新宿で『ふつうの子ども』を観終わった後、地元で信号待ちをしていると、道の向こうで子どもが飛び跳ねて手を振っていた。三歳手前の少女が隣に住む僕を見つけて喜んでいるのだ。子どもの健やかなまなざしを育てることは、環境問題の手前にある、最も大切なことに違いない。この一文を書かせてくれた、少女の飛びきりの笑顔に感謝を込めて。ありがとう!

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髙橋直樹

4.0幼少期からこそ培うべき想像力と判断力の大切さ

2025年12月25日
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鑑賞方法:映画館

純真無垢ゆえの思想の暴走。同じ目的に向かっているようで水面下の目的は異なり、同調圧力あり、自分の立ち位置を知る場であり…大人社会の縮図がすでに幼いうちから形成されていることを実感させられた。

まだ保護者や大人の目がある程度行き届き怒られうる/非難されうる時期に、能動的に考えて試して失敗することの大切さを巧みに伝えてくれていると思った。

昨今、叱られることは減ったとは言え、意見する監視する人間は低い年齢層の方が関わりが多い。

失敗回避と受動的な生活習慣下である程度身体が成長し自我が確立された後の想像力・判断力・忍耐力の欠如ゆえの暴走が一番タチが悪い。

そして、色々な親がいるなぁと視聴者が感じている日常を、作者も監督も演者もよく理解し観察した上で丁寧に映像化されていて、現実味があって良かった。

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niro

5.0とても緻密に、かつ繊細に作られていました。

2025年12月24日
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鑑賞方法:映画館

斬新

ドキドキ

某ミニシアターで、「この映画本当に面白いですよ。」という声を背にしながら、鑑賞。パンフは売り切れということだったのでネットで監督さんのこの作品についてのインタビュー記事を見つけて、参考にさせていただきました。
全くのフィクションでありながら(本当だったら大変だ)主役の3人の子どもをはじめ、登場人物がそこに実在するようなリアリティを感じました。前出のインタビュー記事によると、
例えば休み時間の教室の様子も主役級の子どもだけでなく、一人一人の動きや台詞が決まっていてとても緻密に作られていたということがわかりました。
この映画を観てから、アメリカ映画の「KIDS」のリバイバル上映を観る機会がありました。結果的に無軌道になっていく若い人たちの姿を描いているということは実は共通しています。その映画では男の子や女の子が集まってお喋りをするシーンが多いですが、アドリブはなくてそのほとんどが脚本通りで、あまりのリアリティに主役級の男性俳優の方は役の人物(セックスマシーンとして描かれていた)と同一視されて困っていたそうです。心愛を演じた瑠璃さんにはそんなことはないと思いますが。(有名なスウェーデンの環境活動家の少女と重なるかもしれません。)
別の話です。私は元小学校教員ですが、何年かに一度、担任や同じ学年の子どもに心愛のような子がいたような気がします。(女の子ばかり)めちゃくちゃ頭が良くて、よく言えば純粋、悪く言えば原理主義者的で他人と群れず、子どもの中に大人が紛れている「ふつうの子ども」じゃない子でした。そういった子にとっては背伸びしているのでなくて通常運転なのかなと思います。心愛が架空の人物ながら、どんな大人になっていくのかドキドキします。いい方向に育って、社会を動かすような人になって欲しいなあと思いました。

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ひろ702

5.0「ふつう」とは?

2025年12月22日
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普通の子供、普通の親、普通の教師…そんなものはありません。みんな問題山積みで、闇もあり、それでも必死に、矛盾を抱えながら、現実と折り合いつけて、奮闘してる。環境問題などはその筆頭で、解決するには、産業革命前に?イヤイヤ文明捨てる?まで戻らなきゃだし。小学生の少し成長が早めの女子は、物事の深遠をアッサリと見抜くような事をサラッと言う子、いるよね。はうであゆー、って言われて、ドキっとしない大人なんて、いない。

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みるく

3.5ふつうの怖さ

2025年12月14日
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カワイイ

どこにでもいるようなふつうの子供達が織りなす、大人から見るとふつうではない行動。
子役達の演技が自然で、風間俊介演じる先生が微妙な感じでイラッとさせるところも、いい匙加減。

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ぽん

4.5子供たちがかわいかった。

2025年12月14日
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鑑賞方法:VOD

こどもたちが自然な演技でよかった。

ゆうしたちが起こす事件が、だんだん大きくなっておもろい。

最後の意気消沈する姿も良かった。

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マイク

5.0ちびっ子三人組

2025年12月13日
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鑑賞方法:VOD

笑える

驚く

ドキドキ

子どもたちの個性豊かな
自然な演技に驚かされます
呉監督の"きみはいい子"も好きな作品
でしたがこの作品もじんわりと心に響く
子どもたちの心理や顔の表情とか
主役の嶋田鉄太くんは
目が離せないほど可愛い
心愛ちゃんに好かれたくて
ひたすら言うこと聞いて
心愛ちゃんに惑わされる姿は
ちょっと切なく可笑しい
リーダー格の心愛役の瑠璃ちゃんも
堂々とした態度は大物そのもの
(何となく母親に似ているかな)笑
動じない所は大人もタジタジ
秘密基地での三人は楽しそうで
ウシの下りはそこまでやるか~と
結末はそうなるよねという終わり方
この三人のやったことは行き過ぎた行為
だったけど後に思い出として笑える日
がくるかな~?…と思う
環境問題は興味なかったのに…
唯士をはじめとし
子どもたちの目線で楽しめました
みんな…ふつうの…子どもだよね
とにかく鉄太くんは最高でした

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しろくろぱんだ

4.0環境その他イロイロ変わっても子どもは子どもですね🎶 『はうであゆー ?』

2025年12月10日
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鑑賞方法:VOD

環境その他イロイロ変わっても子どもは子どもですね🎶
『はうであゆー ?』

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おち たけ

4.5ふつうの学校、ふつうの教室、ふつうの先生、ふつうの親たち、そして…

2025年12月7日
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鑑賞方法:VOD

オープンスペースの教室も
机の上に置かれたタブレットも
黒板に映写される動画スクリーンも
給食のカレーライスも
どれも、今どきの学校の風景。

そんなふつうの学校、ふつうの教室に
ふつうの先生、ふつうの親たち、
そしてふつうの子どもたち。

彼らの日々の生活の
そこここにある日常を
映し取るカメラの高さが
子どもの目線に合わせていることからも
とてもリアルに伝ってくる。

時代は変われども
子どもたちの中に渦巻く
様々な出来事の中に
大人になった自分にも
身に覚えのあることや
共感できることが見つかるだろう。

そして、本作中の子どもたちがやっていることを
下手な道徳観や倫理観で
簡単に定義づけしようとはしない
映画の作り手側の構え方が好ましい。

『ふつうの子ども』
楽しんで見ることができた。

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saitall

4.0耳の後ろのタトゥー

2025年12月3日
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鑑賞方法:映画館

話の展開が、これからどうなるのだろうと、大人の良識を持った自分は、劇中の子どもたちのワクワクに不安を覚えながら観るのだった笑

耳の後ろのタトゥーによって、自分が如何に偏見を持っているのか思い知らされた(でもまあ多数派の偏見であるからこその演出なのだろうが)。

ヒーローに対する強い憧憬というものは自分の環境や能力を省みることなく、対象と同様の言動によって、自分も対象と同化できるような気になるものだが、幼い頃は特にその傾向が顕著だよなあと、遠い昔の自分を思い出していた。

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し

4.5快作!

2025年11月30日
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子どもたちの演技が秀逸!
面白かったです!

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ひげしっぽ

4.0瀧内公美の優勝

2025年11月4日
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子どもだって必死で生きている。
元子どもの大人なら皆んな分かる。

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センタ

ふつうじゃない!

2025年10月31日
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鑑賞方法:映画館

テアトル新宿で呉美保(お みぽ)監督『ふつうの子ども』鑑賞。意識高い人が陥りがちなセクト主義のメカニズムを小学生の社会でやっちゃうという超おもしろくて、ある意味怖い映画だった。劇場内は笑声が起きていたけど、あたしゃ永田洋子やウルリケ・マインホフを見てるようで笑えませんでしたわ。#61

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はにわさん in 2025

5.0How dare you って何?

2025年10月29日
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鑑賞方法:映画館

ここ十数年、世界各地での異常気象に伴う災害、生態系の変化による弊害は収まる気配はない。明らかに環境問題が元凶であるが、トランプ大統領などはそんな問題などない。と開き直っている。我々のような年寄りが生きてる間は壊滅的なことは起きないだろうが、今の子供たちが社会の中心にいる頃は今とは大きく違う生活環境になっているだろうし、考えられない程大きな災害も起きるのだろうと思う。何かとても申し訳ない、。
心愛(ここあ)の環境問題を解決する気がない大人に対する怒りはとても正しい。そんな彼女に憧れる唯士(ゆいし)の純なところもわかる。大騒ぎすることが好きな陽斗(はると)のような危なっかしい子どももいるだろう。そのほか出演した4年生の生徒(特にいきものかがりの子どもたち)を含め、皆が「ふつうの子どもたち」である。そして、先生を演じた風間俊介も唯士の母親の蒼井優も、かなりキツめの心愛の母親の瀧内公美も「ふつうの大人たち」でしかない、。
心愛のその大人に対する怒りの作文に対しふつうの大人の「ふつうの先生」の風間俊介は「先生まで怒られちゃいそう」と茶化し「SDGsの授業でね」と逃げた。先生には自分の意見などはないことを悟った3人は(色んなやり取りの後)、自分たちの行動で社会を変えようとする。イタズラ半分なところもあったが真面目に考えてやったのだと思う。げっぷがメタンガスの原因となる牛たちが行き場を失い学校や街中に出現し大騒ぎになり、3人は学校で呼び出され父兄も呼ばれてしまう、。3人の子どもの母親の、子どもの守り方や突き放し方がとてもリアルであったが、それに全く屈しない心愛は母親を無視し持論を喋り続けた。凄い子ども(もはや、ふつうの子どもではない)に脱皮したように私には見えた。心愛の「はうであゆー」に首をかしげる唯士の方が将来大物になるかもしれないけどね、。
映画はとにかく子どもたちの自然な演技が素晴らしく良質なドキュメンタリーを観ている気にさせてくれる。今、子どもを育てている監督やスタッフの皆さんが等身大の今の子どもたちに愛情を込めて作ったのだからだろう。良い映画をありがとうございます。

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アベちゃん

4.0ホントにふつうの子ども

2025年10月26日
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笑える

楽しい

斬新

そして普通に居そうな親達。子供独特の小さな世界で起こりそうな出来事と、キャストの妙でコミカルに見えてしまう親達が、観ていて微笑ましかった。

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カジ

4.5なんとまあ、おしゃれな終わり方

2025年10月25日
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鑑賞方法:映画館

「ふつうの子ども」の「ふつう」は、「その環境にあったら、“ふつう”にそうなるよなぁ」のふつうで、それぞれに違った「ふつう」が描かれつつ、そのどれにも心を寄せられる作品だった。

主人公唯士役の嶋田鉄太や、母役の蒼井優がいいのはもちろんなのだが、今作は、突然、後半から出てくる瀧内公美が優勝!

全体として、中々よく練られた作品だと思った。

<ここからは、ネタバレあります>

・学校や課外の生活が、今どきのリアリティを大切に、とても自然に描かれていて好印象。

・公立小学校で、「私の毎日」という作文を宿題にして、全員があのレベルで発表できるとしたらすごすぎる面はあるが、内容のバラエティさが程よくて面白かった。

・風間俊介が、モロに小学校教諭の風情。「集団」を押し付け過ぎない、開かれた学級の雰囲気が伝わってきた。

・唯士の作文、先生にバッサリ切られてしまったけれど、当たり前に思っていたことを粒立てられる感性が伸びたら、末は星野源並みの歌詞が書けそう。

・どの親がいい悪いではなく、それぞれの親子が思っている「ふつう」が違うことが提示された会議室の場面は、特に面白かった。

・お兄ちゃんと呼んでいる時点で、半分アウトなところをちゃんと描く脚本が鋭い。

・とにかく、瀧内公美!
ビジネスの世界では有能なのだろうということを匂わせつつ、「それ、平気で子どもに言えちゃうんだ」という「とんでもセリフを言いそうな雰囲気」をビシバシ醸し出していて、素晴らしかった。思わず声を出して笑ってしまった。

・テロの起こし方がだんだんエスカレートしていく感じや、目的が自己顕示欲の方向に変わっていくのに、それを正当化する瑠璃と、ついていけなさを感じ始めても引きずられる唯士とか、ちょっと「ワン・バトル・アフター・アナザー」の感じや、かつての過激派の末路と重なった。

・相手のせいにして押し付け合わない展開が、子どもを主人公とした作品として、とてもよかった。

・ラストの瑠璃のセリフ。口の動きだけでは全然分からず、自分は唯士と全く同じで「え?」だったのだが、妻に「あれは、“はうであゆー”って、つまり“よくもまあ、ぬけぬけと人前で好きなんて言ってくれたよね”ってことだと思うよ」と解説してもらって納得。
なんとまあ、おしゃれな終わり方でしょうか。

・・唯士のことを多分好きな女の子。とっても豊かな子だなぁと思った。孫たちがあんな子に育ってくれたらうれしい。

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sow_miya

「ふつう」の映画ではない「ふつうの子ども」

2025年10月23日
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鑑賞方法:映画館

 ドキュメンタリーでなく、子ども達は演技をしているに違いないのだが、何だ、この自然さは。意識高い系の女の子に翻弄される男の子を「ふつう」に描いている。こんな子をどこで見つけて来たんだろう。

 しかし、最後の最後に大人の俳優の持つ底力に腰を抜かした。うひゃぁ、何だこの映画は。

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La Strada

4.5「普通」と『不通」が入り混じる

2025年10月21日
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鑑賞方法:映画館

驚く

斬新

カワイイ

 この映画での「ふつう」は、「普通」と「不通」の二つが入り混じっている。十歳の少年が同級生の少女を好きになる。きわめて「普通」だ。しかしその少女は他の少年が好きで少年の恋心は彼女には「不通」だ。

 二人の少年と一人の少女三人で地球環境問題を考え実際に行動に移していく。最初はいたずらの範囲であったが、一人の少年と少女はさらにエスカレートしていく。残った少年は彼女を「好き」がまさって同調していき、ついに問題がおこる。

 それでも少女は環境問題に貢献し大人に罰を与えていると信じ、もっと行動を続けると言う。しかし少年二人は徐々に引いていく。ここで少女と少年二人の思いは「不通」になる。学校でびくつく二人。逆に少女は堂々とした姿を変えない。

 少女が環境問題について作文で発表するとき、環境の悪化は「大人のせい」を強調する。彼女は頑なに大人を「不通」扱いする。しかしそこには彼女の家庭環境がそうさせたことを呉美保はのちに明らかにする。

 この映画の主役は子どもであるが、もう一方の主役は母親だ。問題をおこした一人の少年が母親に告白する。そこで子どもたちと三人の母親と担任の先生、校長先生と話し合うシーンが、子どもと母親の関係性を見事に描写している。

 子どもは家庭環境をうつすこともあるし学校で別人になることもある。この話し合いで一人の子どもと母親が「普通」に接するが、他の二人の子どもと母親が「不通」であることが明らかになる。ここで主役は完全に母親になる。一人の少年は母親にしがみつき泣きじゃくり、母親は自分の子どものせいではないと強調する。特に少女の母親、瀧内公美と少年の母親、蒼井優の母親像は真逆である。前者は子どもを攻め、後者は子どもを見守る。

 攻められる子どもは大人を攻める「普通」ではないか。見守ってくれる少年は「普通」にぼそぼそと理由を明かすことができる。ラストシーン、少女は少年に微笑み、言葉にせず口パクするが伝わらない。少女の顔は「普通」にうれしいという感情にあふれていた。

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かな

4.0リアリティ以上のリアルな子供たちの演技

2025年10月20日
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子どもたちの演技がとても素晴らしい。
どうしても騒動の中心にいる女の子の自然環境論理がグレタ並みに破綻しているのが気になり、作りごとの創作とはいってもイラついて仕方なかった。
実際に近くにいたら殴りたいw

逆に言えば、そのくらいヒロイン役の瑠璃ちゃんと、主人公の嶋田鉄太くんの演技が上手くて、ほんとに彼らが作中の悪戯をしでかしたと思い込みそうになるほどリアルでした。

また、なんでそんな子供に育ったのかがよくわかる、子供に対する親の態度を、脇を締める大人の実力派俳優たちが完璧に演じていて。
脚本的にも楽しかった。

ただ……
始まって2分で、画面酔いして吐きそうになりました。
子ども目線で、子どもの動きを追う意図はわかるが、全編手持ちカメラは、4DXより遥かに強く三半規管を直撃して船酔いみたいになりました。
要注意。

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コージィ日本犬