劇場公開日 2003年4月19日

「『NINE』の監督だったのね。」シカゴ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5『NINE』の監督だったのね。

2021年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

興奮

萌える

ところどころ、似たようなダンス・演出あり。

舞台未鑑賞。

どのミュージカルシーンも圧巻だが、特に
 『Cell Block Tango』
  ロキシー以外は、男に人生を狂わされたのか。その怒り・哀れが心に響く。
 『Mister Cellophane 』
  本当の愛に気が付けない哀れなロキシ―のおバカ度が際立つだけに、夫エイモスの歌が心に沁みわたる。
 『Razzle Dazzle 』
  風刺が効いている。この演出を成し遂げたことに喝采を送りたい。
は圧巻。

というように、楽曲、演出、ギア氏の歌・ダンス以外の役者の演技とも満点評価。
なのに観ていてむかつく。

ロキシーのむかつくほど自分本意なおバカ度。そのくせ、つい守りたくなるほどの華奢さとしたたかさ。それを見事に演じきったゼルウィガ―さんに拍手。
 ゼダさんや他のダンサーよりも、ちょっとダンスが危ういが、プロのダンサーとして舞台に立っていたヴェルマと違い、ダンサーに憧れながらも舞台に立てなかった設定だから、ちょっと下手な方が良い。

彼女と好対照なヴェルマの強気度。でも空回り。それを見事に体現した歌・ダンス・演技のゼダ=ジョーンズさん。

ビリーを演じたギア氏は歌・ダンスは、他の方々が凄すぎるだけに残念に見えましたが、演技ではばかばかしさを体現。

ママ・モートンも、うさん臭さも含めて良い味出しています。

裁判の場面に、タップダンスを交差させる演出は秀逸(とはいえ『NINE』でも似たような演出があるんだよね。こっちの方が先ですが)。

ショービジネスがらみの物語。
華やかなスポット。
刑務所・裁判がらみの物語なのに、華やか・ゴージャスさに目を奪われる。

と、芸達者がその力を遺憾なく発揮して堪能させてくれる。
本来ならお気に入りの映画になるはずなのに。
ああ、道徳的に受け入れられない。
正直者が馬鹿をみるこの映画に対する反発心。

マスコミに踊らされる私達を風刺した映画・ミュージカル。真実を見極めるのって難しい。

自分の欲にどん欲な人生。
道徳にどうであろうと、他人を傷つけようと、自分がかわいい。
そんなどん欲さを潔いとみるのか。振り切った生き方。

やったもん勝ちで、その勇気がない自分が意気地なしなのか。
人生って奥深いなあと思います。

とみいじょん
momokichiさんのコメント
2022年2月7日

>自分の欲にどん欲な人生。
>道徳にどうであろうと、他人を傷つけようと、自分がかわいい。
>そんなどん欲さを潔いとみるのか。振り切った生き方。

まったく同意です。
まだエイモスの件がなければ面白く観れたのですがねえ。ちょっとどうなのと思っちゃいますよね~。でもこの振り切った世界を強調するためには必要な演出だったようにも思えますし。う~ん。

momokichi