劇場公開日 2025年6月20日

ルノワールのレビュー・感想・評価

全62件中、1~20件目を表示

3.5淡々とした日常の光と影を一枚の絵画のように切り取った作品

2025年6月22日
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鑑賞方法:映画館

本作品は、前作「PLAN 75」で第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で高い評価を得た早川千絵監督の長編監督第2作目になります。また本作品も2025年第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されおり注目度が高い作品です。

1980年代後半の夏を舞台に、闘病中の父(リリー・フランキー)と、仕事に追われる母(石田ひかり)と暮らす11歳の少女フキ(鈴木唯)が、大人の世界を覗きながら、人々の心の痛みに触れていく中で、少しずつ大人になっていくひと夏の成長物語。

さて、
観終わった感想は🤫

起承転結のない物語、ごくありふれた誰かの日常をまるで絵日記のように、ごく淡々と静かにみせてもらったという印象です。11歳の少女フキ役の唯ちゃん、なかなかユニークな女の子でしたね。あの頃の子どもはみんなユリ・ゲラーとMr.マリックに夢中でしたからね😎自分の少女時代を見ているかのようなノスタルジーを覚えました。少しばかり無愛想、無感情にみえたのは、監督の演出だったのかしらね🤫しかしこれだけの注目作品に、あの年齢で堂々と主演を演じ切った度胸に拍手👏今後も期待したいですね。

この映画に何か特別なことは何ひとつない。それがいいと思うか、それが物足りないと感じるかで評価も分かれそうではあります🙄
身近な人の死も、大切な人との別れも、思春期ならではの少し危険な好奇心も、程度の違いはあるにせよ子どもから大人になる過程でみんなが体験する少し痛みをともなった記憶です。とくにこの年ごろの子どもにとって身近な人の死は、大きな心理的影響を与えます。人の命は永遠ではないこと、大切な人がある日突然いなくなってしまうこともあること。それを取り巻く大人たちの対応は、時に滑稽で痛ましく、あらゆる感情と対峙しなければならないことを知ります。

それが
「大人になる」ということならば

少女にとって、このひと夏は
少しだけ大人になることを
急かされた夏
ということでしょう🤫

タイトル「ルノワール」
解釈が間違ってなければ、フランスの印象派の画家ですね。
私はおしゃれなタイトルだなと思いましたよ🧐

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ななやお

4.5幅広い世代に共感と、中高年にはノスタルジーも

2025年6月23日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

楽しい

カワイイ

本作については当サイトの新作評論枠に寄稿したので、ここでは補足的な事柄をいくつか書いてみたい。

評で紹介したように、早川千絵監督は「ルノワール」を作るうえで影響を受けた映画として、ビクトル・エリセ監督作「ミツバチのささやき」、相米慎二監督作「お引越し」、エドワード・ヤン監督作「ヤンヤン 夏の想い出」の3本を挙げた。プロットを引用したり演出を参考にしたりした、いわゆる元ネタを明かすのは作り手としての誠実さが表れているように思う。

と同時に、2014年の短編「ナイアガラ」がカンヌのシネフォンダシオン部門(次世代の国際的な映画制作者を支援する目的で、各国の映画学校から出品された短編・中編を毎年15~20本選出)に入選、長編初監督作「PLAN 75」がカンヌ「ある視点」部門でカメラドール(新人監督賞)の次点と、すでにカンヌからの覚えめでたい早川監督が国際映画祭の“傾向と対策”をしっかり実践していることを示唆してもいる。「ヤンヤン~」はカンヌで監督賞、「お引越し」もカンヌの「ある視点」部門招待、「ミツバチのささやき」はシカゴやサン・セバスティアンなど複数の国際映画祭で入賞。つまり、「幼い子供が大人の世界を垣間見て、少し成長する」筋の映画は、世界の映画人から愛され、評価されやすい傾向があると言える。そうした過去作の引用を散りばめることは、それら名作のシーンを思い出す点でノスタルジーを補強する効果も見込める。

もちろん1980年代を知る日本の観客なら、当時の出来事や流行を単純に懐かしく感じると同時に、その後に起こるバブル崩壊、オウム真理教が起こした一連の事件、1995年の阪神淡路大震災などを連想して、複雑な思いを募らせるかもしれない。ただしそうした時代背景を知らずとも、誰しも通ってきた幼い頃を思い出させてくれる普遍的な情感に満ちており、共感を呼ぶポイントがいくつもあるはず。

評の最後では鈴木唯について、「願わくばその野生馬のようにしなやかな個性と魅力を保ちつつ、女優として大成することを心から期待する」と書いた。早川監督にもぜひ、鈴木唯の成長の折にふれ、たとえば5年後とか、10年後とかにまたタッグを組んでほしい。フキのその後を描く続編の企画なら最高と個人的には夢想するが、まったく別のキャラクターで作るとしてもそれはそれで可能性が広がって面白い映画が期待できそうだ。

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高森 郁哉

4.5大人の境目ってどこなんでしょうね。

2025年6月24日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

斬新

無垢って感じではないか。いろいろな事に興味を持ち行動できてしまう、一番危険で残酷さを持ち合わした年齢。「ぼくのお日さま」でも子供の無垢な残酷さに苦しくてやるせない気持ちになったけど、このフキの人間観察力は周りの大人たちを丸裸にしてしまう力がある。苦しんでる人悲しんでる人、いつもと感じが違うお母さん。フキの魔術で少しは大人に近づけたのかもね。
旦那さんが亡くなった時に号泣していた隣のお婆さん。お父さんが亡くなったのに泣かないお母さん。お父さんが亡くなったのを聞いた英会話の先生は泣いてくれた。自分の感情の置きどころが分からないまま大人へ成長・・・ん?大人ってなんだ?

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アマッポ

5.0主人公11歳女子の目線で見えた, 周囲の人々 とくに大人たちの物事...

2025年6月24日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

主人公11歳女子の目線で見えた, 周囲の人々 とくに大人たちの物事.

父は癌の末期, 母は多忙で苛々が募り.
両親や, 学校など友人らのまわりで日々が過ぎ.

この女子, 飄々としたような, 繊細なような, 掴みづらく. 両側面ともあるんでしょう.

時代はどうも80年代のよう
超常現象ブーム, ウォークマン, 子供による親殺し事件,
学級のマスゲームで YMO "Rydeen" が使われたような当時.

主人公目線で諸々が描かれ,
結論や見え方が画一的にならず, 言語化もされず.
そういう見え方, 心当たりは多々あります.
私的にも, かつて見た諸々の出来事に, いちいち理由や結果を追求してはいないですし.

途中で聞こえたオペラ的な歌 Klaus Nomi "Cold Song"
とてつもなく冷たく感じました. 凍り付いて死ぬような歌詞をもつ歌ですしね.
生死観 - この女子, 学校の作文で "孤児になりたい" と書いたり, 物語上の父が実際に余命わずかであることと, 辻褄が合うような.
そういう意図かはわかりませんが.

題目の画家ルノワールさんは, 劇中で話題には挙がりますが, 意味を深く持つものではない様子.
絵画のレプリカ販売が盛んだった, 当時はそういうこともありましたしね.

童心を思い出すような, 澄んだ心を持っていた頃もあったねえと感じるような.
そのままで美化も劣化もされてない,この年代,この世代のリアル.
切なくて温かくて, 耳が痛くなる, 鑑賞体験でした.

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woodstock

4.0人が死ぬと泣く

2025年6月24日
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鑑賞方法:映画館

「こちらあみ子」を思い出しながら観ていた。あちらのあみ子も、この映画のフキのように周囲と溶け込めていなかったが、関わり合っていた。こちらのフキは、家族とも学校でもどこか世間と隔たりがある。だけど、それを苦にはしていないようだ。というか、そういう感情を持っていないのか?そんな、無感情というか、冷めているというか、愛想なしというか。無垢であり、残酷であり、無遠慮であった。だけどむしろ、だからこそ観察者としての視点で世間と距離を取っているようにも思えた。感情がないと言っておきながら、半面、瑞々しいほどの感性を内包してるようにも見えた。
そして周りの大人たちが、はた目にはどこにでも居そうでいながら、ひと癖もふた癖もある。言い換えればちょっと嫌なところや弱いところを皆抱えている。だけど、そんな大人の集合体こそが、リアルな世間なのだろう。
おそらく、友人宅の引っ越しとか、母親の秘めたる内面とか、描かずとも察することで味わえる、じんわりと面白味を感じる深みのある作品であることは間違いないが、そこを不満と思う人もいるだろう。だけど自分としては嫌いではない。ただ、配役として先生役はどうなのか。どうみても定年過ぎにしか見えない。父親役のリリーフランキーもどうなのか。あの風貌で小学5年生の父親って無理がないか。いや待てよ、もしかしたら結婚が遅く50歳を過ぎてからできた子宝だと想定したら、なるほどこの映画の空気もさらに楽しめるかも知れないな。そして、「人生って素晴らしくて素晴らしくて素晴らしくて、いつか終わるもの」この言葉が妙に引っかかって、離れない。たぶん僕は、フキが夢の中で踊っていたような快楽と厭世観のごちゃ混ぜになった気分で、この映画の世界にふわふわっと翻弄されているのだろう。

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栗太郎

1.0こりゃカンヌ獲れんわ。

2025年6月24日
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闇過ぎ。
日本は変態の国だと世界にアピールしたかったのかな?
主人公は流されるだけで全く自分の意思で行動しない。
ダメだ。こりゃ。
(^_^;

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いのさん

2.5「お引越し」???

2025年6月24日
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鑑賞方法:映画館

誰に感情移入すれば良いにだろうか?
淡々と進む中、不思議ちゃんの主人公に共感できず、父も母も特に何もなく。
河合優実は実在したのか?
相米慎二の「お引越し」のパクリなのか?構成が全く同じでどこまでが現実でどこからが空想なのかをキッチリ描かない手法は同じ。
主人公が不思議ちゃんも同じ。
違うのは監督の演出力のなさなのか?80年代にする必要があったのかは疑問。
ノスタルジックにしたいがためならイマイチ効いてない。

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るい

4.0少女が見つめていたもの

2025年6月24日
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鑑賞方法:映画館

小学5年生の眼から観た大人と呼ばれる人間たちの行動はときに滑稽です。
不思議な事象を超能力と面白がったり、
小学生の書く作文に過剰に反応してみたり、
子どもの泣き顔を集めた動画を観賞してみたり、そんな夫との死別を淡々と受け止めてみたり、
素敵な家族として体裁を整えてみたり、
見えない何かを信仰してみたり、
電話で気の合う人を探してみたり、
懲りずに誰かを好きになってみたり。

たとえ、自分の親であっても理解に苦しむことがあります。
死を覚悟したような佇まいながら、仕事のことを考えながら病床を過ごしたり、何かにすがるように足掻く様子を見せたり。
そんな夫よりも仕事や段取りを優先させてみたり、その職場では言動を問題視されてみたり。
それでいて父母ともに、どこか奥深い場所で家族のことを考えていたり。

そんな大人たちが紡ぐ「社会」と呼ばれる環境を、少女はまっすぐに冷静に見つめながら上手に泳いでいきます。それは楽しんでいるようにも見えましたし、その眼はトランプの模様と数字を見透かすような眼差しでした。そして、どちらが大人なのか?と思えるような姿勢でした。
いろんな人間に出会い、多様な経験を積むことでたくましい大人になっていく未来が予想されるような締めくくりでした。

いつの時代の設定かとか気にならない空気感でしたが、途中YMOの「ライディーン」が流れた瞬間、小学校でこの曲をバックに行われた縄跳び大会が思い出されて一気に昭和に引き戻されました。

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Eiji

0.5完璧な駄作です

2025年6月23日
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単純

 河瀨直美に引続き、カンヌ受け狙いの空疎な駄作です。クレジットからして英語の氾濫、内容にまるで関係ないルノアールの美少女画が一瞬見えるだけでこのタイトル、おこがましいったらありゃしません。ブラウン管テレビの時代と主人公の心理となんの必然もなく、多分監督自身の記憶を描きたいがための1980年代って、普遍性に寄り添えない力量を露呈しているようなもの。

 男の子と違って小5の女の子は複雑でしょう、その曖昧を描きたいのは理解出来ます。 冒頭の自分の葬式シーンは秀逸ですが、後が続かない。孤児になってみたい妄想もきちんと画にして、担任教諭を翻弄して欲しかった。変わっているのは先生の方と、親子そろって変なのを明確にすれば映画のスタートダッシュは完璧になったのにね。

 以降脈略なくエピソードがダンゴ状に描かれる、メリハリもなく落ちもなく、ひたすら退屈地獄。お目当ての河合優美が唐突に現れ、映画冒頭の子供達の泣き顔モンタージュの違和感をセリフのみで語りだす。もう一人のお気に入り役者である中島歩の怪しげなメソッドインストラクターは母親のためのと言うより、フキにとっは宇宙人の如く映ったはず。いかんせん母親の描き混みがいい加減なので、折角の中島が活きない。

 総じて、私って、こんなに変わってて感受性豊かだったのよー、とアピールしているようで、少女の好奇心がまるで昇華してないのです。ロリコン青年の危険な描写も随分とサラリと描くのみ、もちろん少女は危険なんて思って見みないでしょが、唐突に風呂場に押し込まれフタをされる、それだけで相当な恐怖に繋がるのがフツーでしょ。なのにフタを開けても騒ぎもせず、なにより真夏の密室に閉じ込められれば息苦しく汗もかき不安が滲み出る、その「湿気感」がまるで描けないから貶すしかないのです。

 相米慎二や是枝裕和と比べるなんておこがましい。ショーン・ベイカーの
の「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」2017年 の少女と比べれば一目瞭然、画面の中で少女が生きていないのですね。本作の女の子「フキ」は事象を描く媒体にしかなり得てないと思うのです。どうでもいい、なんてことない事象でも積み重ねにより観客の心を揺さぶるのですがね。「スタンド・バイ・ミー」1986年 の刹那は当然監督の頭の中に在ったはず、でもその足元にも及ばないのは、多分、賢過ぎる子役である鈴木唯ちゃんに依存し過ぎたせいでしょう。唯ちゃんを責める気は毛頭ありません、起用の仕方を誤った監督に責任があるのです。

 周りのヨイショに担がれて、実力もないのに、煽てに乗ったのが本質なのかもしれません。豪華ヨットの船上で踊るなんて、夢にしても必然がない。真っ先にカットすべきシークエンスだったのに。

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クニオ

5.0とてつもなく味わい深い作品

2025年6月23日
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泣ける

笑える

悲しい

早川千絵監督による映画『ルノワール』は、1980年代の日本を舞台に、11歳の少女・フキのひと夏の体験を、繊細かつ静謐なタッチで描き出した傑作である。

とはいえ、この作品は単なる少女の成長譚ではない。物語は直線的な時系列で語られるのではなく、相米慎二監督の映画「お引越し」をはじめ様々な作品からの引用、断片的で印象的なカットの連なりによって進行する。そこに見られるのは、日本の80年代にさまざまな表現領域で取り入れられたポストモダン的アプローチ、すなわち脱構築的なサンプリング、カット&リミックスの手法だ。

ビデオテープ、ロリコン文化、超能力、狼男、怪しげな民間療法……。こうした時代の記号の羅列が濃密に織り込まれ、80年代という時代の空気が再現される。そしてその中に、言葉では語りえない感情や傷が、ひっそりと浮かび上がってくる。この手法は、ジャン=リュック・ゴダールが80年代に行った映画言語の解体と再構築にも呼応しているようにも思える。

なかでも特筆すべきは、フキの「抑圧された哀しみ」が、劇中で直接語られることがないという点だ。フキは語らない。だがその沈黙の豊かさを、早川監督は映像と音の配置によって丁寧に、精緻に語っていく。それは「物語」ではなく、「構造そのものが語ってしまう」という、極めて現代的で冷徹な視点がある。
それはまさに早川千絵という作家の映像表現の真骨頂である。

——と、ここまでやや理屈めいたことを書いてきたが、後半、あの雨のシーン以降、フキの喪失と愛と哀しみが、ぐっと押し寄せてきて、涙が止まらなくなった。

名場面が幾重にも折り重なる、宝石箱のような映像体験。ぜひ劇場で、味わってほしい。

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Ouu

2.5タイトル回収って言葉知ってる?

2025年6月23日
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冒頭の苦しむ子供達を見て喜ぶらしい赤の他人の亡き夫の癖(コレいらん。誰?
大学生を名乗る受験生のロリよりの性癖(小6女子の性の目覚め?ソレが趣旨なん?
浮気したんだか不明なママン(石田ネキを脱がす気概が無いならいらんやろ
ギャンブル好きなのか馬を見るのが好きなのか不明なパパン
描くんやったらハッキリ描けや、全部中途半端やないかい!と、鑑賞後にグッタリ疲れてしまった(セルフ2本立ての予定を中止した

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みのまる

3.0少女の視点で日常の風景を描く

2025年6月23日
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鑑賞方法:映画館

カンヌのときに話題になっていたので、「どんな作品?」と興味が湧いた。
200館弱の上映で、思ったほどの公開規模ではなかったので、「どこでもいつでも見れる」わけでは無かったが、観賞スケジュール調整最優先作品として観てみた。

【物語】
舞台は1980年代後半、ある夏の郊外の街。多感で想像力豊かな11歳の沖田フキ(鈴木唯)の日常が描かれる。

会社員の父親沖田圭司(リリー・フランキー)は会社でそこそこの地位まで来ていたが、現在はがんに侵され、入退院を繰り返し、本人、家族とも快方の希望を持てない状況で日々過ごしている。家計を支える母親詩子(石田ひかり)は、会社では部下の指導をパワハラ扱いされ、家庭でも仕事でもストレスを抱えていた。

ふきはそんな大人達に囲まれながらも、周囲に押し潰されることもなく、自分の世界を生きていた。

【感想】
思ってたのとはちょっと違った。

メリハリの利いた感動ストーリーを好む人は肩透かしかも知れない。俺も観る前はもう少し物語らしい物語がある作品かと思っていたのだが、日常描写系の作品だった。少女の身の回りで起きる様々なことは、直面する少女にとっては大事件も含まれるが、他人事として大人が見れば「良くある話」ばかりだ。

それらの出来事が少女の目にどう映り、少女がどう受け止めていくかを描いた作品と言っていい。 そういう意味で、フキの言動のリアリティーがポイントになって来るが、鈴木唯は子供が持つ、可愛らしさ、純粋さ、多感さ、小憎たらしさ、危なっかしさを好演している。 つまり、特別な少女ではなくて、どこにでもいる11歳の等身大の少女がそこにいた。

確かに話題になった鈴木唯の好演は認めることができ、出来の悪い作品とは思わないのだが、俺的には心動かされる作品ではなかったかな。

ちなみに題名のルノワールだが、ルノワール画の特徴をググってみたら、「鮮やかな色彩と軽やかな筆致で、人物や日常の風景を生き生きと描いた」と出て来た。なるほど、そういうところを目指したのかと、納得。

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泣き虫オヤジ

1.0「ナミビアの砂漠」と「かぞかぞ」を足して水で割ったような

2025年6月23日
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鑑賞方法:映画館

 冒頭にゴミに出す為に紐で梱包された「FOCUS」と「FRIDAY」が登場して終わりの方で鵜飼いを映したシーンがあるので「FRIDAY」で刊行された昭和59年以降の岐阜が舞台なのは分かる。当時の小道具を集めるのは大変だったろうな、とは思った。登場したビデオがVHSだったので「ふてほど」で昭和61年の小川家にあるデッキみたい。ベータを使うのはSONYがスポンサーでないとダメなのだろうか?「カムカム」のように「ノストラダムスの大予言」を登場しなかったが主人公はオカルト番組のファンなのが当時らしい。それと郵便受けに入った伝言ダイアルのチラシを使うシーン。いいと思ったところはここだけ。
 しかし内容は主人公の小5の女の子と両親(主に母親役の石田ひかり)との間で作品内の視点が何回も変わる上に抽象的で分かりにくいシーンが多過ぎる。これで河合優実との共演が8回目という中島歩の役どころが「ナミビアの砂漠」と同じ精神科のカウンセラーだ。石田ひかりの夫の訓覇圭プロデューサーが制作統括の1人だった「かぞかぞ」ではマルチの福地桃子と七実の亡父役の錦戸亮が登場するシーンも見ていて楽しいのに「かぞかぞ」くさいシーンが非常に陰気臭い。事務所が売り出したい女の子を「RoOT」の2人に加えて河合優実が出演した「17才の帝国」と「かぞかぞ」のプロデューサーの奥さんを組ませた映画に見える。
 鈍牛倶楽部が制作に関わった映画でも河合優実が主演の「ナミビアの砂漠」は分かりにくいが許容範囲に入っても金子大地が所属するアミューズが制作して堀田真由が主人公の「バカ塗りの娘」のような鑑賞出来る映画を制作してほしい。

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大阪マフ

2.5内容を知らずに見ると寝る羽目になります

2025年6月23日
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”PLAN 75”の監督だから、なにか問題提起した作品だろうくらいの予備知識で観たら・・・あれれ

小六の女の子の日常と家庭の話がずーっと続いて終わった
ただの、思春期前の女の子が少しだけ成長しただけの作品でした

観客席からは、かなりの寝息が聞こえる
多分、同じように内容を知らずに来た人が多数だったんでしょう
日曜日の昼下がりの映画館、かなり人が入ってたんですがね

はい、知らずに入った自分も悪い
でも、この手の映画は数あれど、こんなにつまらないのは珍しい

理由を考えてみました

①女の子が子供すぎる
もう少し大人になりかけの色気がないと、思春期へのムンムンとしたオーラが出ない
足が長くて、これから肉が付いて女性になっていくんだろうけれど、この子はまだ子供
顔にも色気がない
カッパみたい
この体型なら、同じ子役出身の夏帆が子供だったらなあなんて、思いました
②子供が意外に残酷で合理的なのは、人生経験の無さから来るイメージの欠如です
実際、娘に聞いたら、お父さんより飼い猫が死ぬ方が悲しいんだと(笑)
今回は父親の死をきっかけに、布団の中で少し涙が出た
普段からいるはずの人が居なくなった寂しさくらい
つまり、ものすごく初歩的な感情の動き
とても、映画で語るような話しではありません
演技も下手なら、テーマもつまらなすぎる
演出も感動とは程遠い
だから、とーてもつまらない
③ご都合主義
監督が女性だから、残酷な結果を避けたんだろうけどね
都合よく危険をすり抜けて、めでたしめでたしでは、文科省の教育ドラマかっつーの
もっと傷付いてこその映画です
やってはいけない事をすれば、それなりの危険が伴い、フィクションだからこそ、その残酷さを見せる事ができるんです
それに、変態ロリコン男が坂東龍太って
ファンが怒りますよ
ついでにいうと、朝の連ドラで好感度を上げた中島歩が女癖の悪い男役ででてます
それに、なんなん?
何かと言うと不倫不倫
不倫出しときゃ、問題提起してるとおもってるのかな
同じパターン、2回出してるしね
監督の頭の中が単純すぎる
④今の日本状況を知らなさすぎる
日本は安全で、ほとんどの人がいい人だと思ってるんかな
甘々な人だ
問題提起するなら、そこなんだよ
外国人を悪くいうつもりは無いけど、今の日本は古き良き日本では無い
外国と思った方がいい
お父さんは女子トイレに入れないから、女の子をトイレにひとりで行かせれば、待ち構えた人さらいにトランクに放り込まれて誘拐される
学校にひとりで行かせられる時代ではなくなっている
家に鍵をかけないでもドロボウに入られない時代は終わりました
実際、そういう田舎の新興住宅地に住んでいるんですが、人を信用していてか、オープン外構ばかりです
心配なので、うちだけ柵をつけて門を付けましたが、そんな我が家で車のイモビライザーが鳴りました
盗難防止対策は必須ですが
5人組の強盗に押し込まれたら、日本家屋なんて、どこも対処出来ない
香港みたいに、ドアの前に鉄格子をつけないとくらせない時代がやってくる
外国人が法を犯しても、なぜか不起訴になるのは何故?
沖縄の米軍だけじゃないんですよ
なんて、理不尽な事がおこりまくっている
もちろん、父親が死んだ事に同調して、女の子を抱きしめる英語教師のような、いい影響もあるにはある
でも、日本にとって害のある風習だらけです
女の子が夜にフラフラ出回って何も無いのがおかしい時代です

ということで、この映画、なんなん?
となるのは当然ではないでしょうか
寝んかっただけマシでしょ

あ、エンディングの歌だけ良かった
あれ、誰のなんて歌かな
人生は一度きり
先を見るだけじゃなくて、今を楽しみましょうみたいな歌詞
この歌だけで、0.5ポイントアップです

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nakaji

3.0かなりふわっとした映画

2025年6月23日
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ちょっと期待し過ぎたのはカンヌコンペ作品だからだろう。予告編から相米慎二の『お引越し』味があちこちにみえたが、『こちらあみ子』の森井監督もそうだけどこの世代への圧倒的な影響力を感じつつ、早川監督としては前作『PLAN75』からまた大きく舵を切ってきたなあとある意味期待もあった。

『こちらあみ子』に比べても思ったよりスケッチ映画で、そのスケッチの一部分の、特に浦田秀穂の被写体に迫っていくところのカメラやロケ地の抜けの景色の良さがかなり魅力的ではあるものの、それが一向に連続性を持ったカタルシスに向かっていかない。どう繋がるかと思って前半観ていたら、ああこれはスケッチで終わらせるんだな、と思い、淡さの良さは感じつつ、映画としては物足りない。かつ描かれているエピソードのひとつひとつがかなり弱い。弱いのでスケッチにするしかなかったのではという気もしてくる。

おそらく監督の幼年期を彩る超能力番組、キャンプとYMO、テレクラ、両親の関係、すべてがゆらゆらとして不安で心をどこに置いていいかわからない感覚のエピソードがほぼ単発。そしてそれらがだいたい淡いというより薄い。そして面白みがない。主人公もいい子でも悪童でもない。主要登場人物はみんな両面がある。それはいいのだけどだからどうなんだ、というところに向かないふわっとした映画だった。が、『PLAN75』よりはいい。

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ONI

5.0実験してみる世代

2025年6月23日
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2025年。早川千絵監督。小学校5年生の感受性鋭い少女が、末期がんを患う父、キャリア志向の母、できたりできなかったりする友人、などと触れながら、表面的ではない彼らの本心を見抜いたり挑発したりして大人になっていく、奇跡のようなひと夏の話。
少女は催眠術や透視術にはまり、父親が新興宗教的なものにはまっているあたりに時代感覚が現れている。80年代後半の時代設定は見ているうちになんとなくわかってくるが、監督自身の世代と同じようだ。笠松競馬場が出てくるから岐阜県なのだろうが、だとするとあの印象的な川は長良川か木曽川か。
しかし、重要なことは時代や地域ではなく、少女が催眠術や透視術のテレビや本にはまったときに、自分でやらずにいられないことの方だ。伝言ダイヤルの番号を知ったら電話をかけずにいられないし、同年代の少女の三つ編みが気になったらその髪に触らずにはいられないし、友人の父の浮気写真を見つけたらそれを友人に見つけさせずにはいられない。そして、その危険と隣り合わせの好奇心によって、少女は人間の奥深さを知り、あやうく少女趣味の浪人生の餌食になりかけ、友人ができ、その友人が遠くに引っ越していくきかっけをつくることになる。死期が近い父親に向ける視線も、悲しみよりも好奇心の方が強く、その視線によって、表面的な情緒的関係とは別の関係(透視術の成功)を父親との間に築いている。そしてどうやら母親とはそうした関係にはならないらしい。好奇心旺盛な実験精神によって世界と触れ合っていく少女のあやういひと夏を見事に形象化している作品。
ルノワールは画家の父親の方を指すと作品内で言及されているが、息子の映画監督の方を意識していないわけがないと思わせる広々とした端正な画面と落ち着いた展開。

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文字読み

3.0どこか曖昧な掴みどころのなさが残る

2025年6月22日
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末期がんの父親と病気につけ込む怪しげな商法に引っかかってしまう母親。そんな家庭の子、フキは両親から目を離されがち。それぞれが抱える不安定さを、画面の中の登場人物同士は見えていない。何かが起こりそうで起こらないハラハラ感を観客は味わうが、伝えたいことはなんだったのかと問われると困る。わからない。
そういう曖昧さが好きな人には合う映画なんだろうなと思う。

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may 929

3.5日常的なテーマと大胆な筆致

2025年6月22日
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泣ける

興奮

ドキドキ

夢に見た情景を作文にしクラスで発表する。
達者なモチーフと表現力は教師も激賞するほどだが、
鑑賞者には現実なのか夢想なのかもわからない。

冒頭のシークエンスで数回繰り返され、
以降は、はてこれは本当に起きたことだろうかと
観ている側は疑心暗鬼に陥る。

突然喀血した父は末期癌と診断され
余命いくばくもない。

母親は怪しげな療法に頼り、
奇跡的な回復を願いつつも
諦念にも似た思いが一方に有る。

父親に懐く娘は、
母親の態度が受け入れられない。

少女のひと夏の成長譚。

綺麗なものには触れたくなるし、
好奇心は旺盛で、
初めて訪れた場所でも
あら捜しをするのを欠かさない。

見つけたものと起こした行動が、
結果後々の禍の種になっても、
彼女は後悔しているのかいないのか。

表情からは何ら読み取ることはできない。

無邪気さは併存する。

オカルトや超常現象に興味を持ち、
キャンプファイヤーでは『YMO』の〔ライディーン(1980年)〕で踊りまくる。

ああ、自分たちの頃にも
こうしたことはあったなと、懐かしさはある反面、
囲む社会には不穏さも。

世間知らずと無謀さが窮地を招くことはある。

それでも最悪の事態にならぬのは、
脚本/監督の『早川千絵』の主人公に対しての優しい眼差し。

それぞれのエピソードは
自身の体験を膨らませたものだからだろう。

本作のタイトルは、
最初は父親の病室に、
やがては
少女の部屋に飾られた『ルノワール』による
〔イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)〕の複製画から。

描かれた八歳の少女の肖像画は、
今では世界中で愛される一枚と言われている。

が、依頼した両親は、
この画を気に入らなかったと聞く。

それは今までの画家の描き方と
相当に異なっていたから。

{印象派}の特徴は(AIの纏めによると)、
光と色彩、そして一瞬の印象を捉えることを重視した画風。
風景や日常生活を明るい色彩と大胆な筆致で描いた、と
書かれている。

それはこの映画にも当てはまる。

色彩は鮮やかで、エピソードの一つ一つは静かに流れるもののいずれも印象的、
加えて記憶に残る。

各々は独立していても、
総覧した時に一人の少女のキャラクターが立ち上がる。

ただ、幾つもの素行から、
彼女を好きになるかどうかが、
評価の分かれ目なのだが。

『スーラ』の{点描}が
ある程度の距離を置かないと
何が描かれているのかも判然としないのと同様、
本作でも個人に寄り添い過ぎて
もやっとした作品に感じることは否めない。

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ジュン一

1.5ハートの5

2025年6月22日
Androidアプリから投稿

単純

難しい

1980年代後半の岐阜県で暮らす独特の感性を持った11歳の女の子の人夏の話。

自宅で倒れて救急半袖される父親から始まって、超能力や催眠術やオカルトに興味があり、先生が心配しちゃう様な作文を書いたり、少し危なげな大人の世界を覗きみようとしたり…。

父親のことも感じている描写は有りはしたたものの、他人事の様などこか冷めた感覚を持っていたり…。

ユニークではあるけれど、様々な出来事を淡々とみせていくつくりで、特にこれと言って見せどころみたいなものもなく、これをみて何をどう思えば良いのか、自分には理解できなかった。

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Bacchus

3.0海外ではウケるのだろうが刺さらない

2025年6月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

観終わった後に胸の奥にずっと残るような、静かで切ない余韻をくれる作品、と言えばいいのだろうか。
派手な演出は一切なく、むしろ物語の中に流れる「空気感」が全てを語ってくれるような作品。

それぞれの心の奥にある孤独や、純粋な。感情が、画面を通してじわじわと伝わってくる。
映像もすごく美しい。

が、とにかく構成がぶつ切り過ぎて残念すぎる。
コレでめちゃくちゃ損してると思います。
前述の通り派手な演出はないので、人によっては全くハマらないと思います。

PLAN75の時も思いましたが、海外ではこういう作品がウケるんだろうなぁ。

河合優実とリリーフランキー以外は、うーんというかんじでした。

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さかもと
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