劇場公開日 2025年6月20日

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「世界は不思議にあふれている」ルノワール 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 世界は不思議にあふれている

2025年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

子どもの無軌道さ、世界の不思議に触れた時の興奮や感動が静かに描かれていて、「子供ってこうだよね」と思った。理路整然としていない主人公の行動はむしろとてもリアル。危険なものも美しいものも、うさんくさん超能力も、初めて経験する時は、等しく世界の不思議だ。断片的なエピソードの積み重ねで一直線に進まない物語が、モザイクガラスのように個々の鑑賞者の思い出を刺激する。
面白いのは、この女の子にとって両親の不和や父親の死さえも初めての体験として、他の経験と等しく受け止められているようなところがある点。
主演の鈴木唯の不思議な存在感はこれから大物になる予感を感じさせた。リリー・フランキーとの父娘の関係に説得力がある。どっちも何を考えているのか、腹の底がわからない不思議な空気が似ている。河合優実は1シーンの出演で、強烈なインパクトを残していた。ルックも音もキレイで素晴らしかった。

杉本穂高